2024年に売り出しを実施した3社の株価推移を確認

今回は2024年に株式の売り出しを実施した企業のなかから、「ホンダ」、「ヤマハ発動機」、「浜松ホトニクス」の3社の株価推移を確認したいと思います。

1. ホンダ（7267）

ホンダは7月4日に2億5987万9700株の売り出しおよび上限3898万1900株のオーバーアロットメントによる売り出しを行うと発表しました。売り出し価格は1664.5円で、割引率は3％でした。

受け渡し日となった7月24日の株価ですが、始値1653.0円、高値1665.5円、安値1627.0円、終値1630.0円となりました。高値では売り出し価格をわずかに上回りましたが、利益確定のチャンスはほぼなかったように思います。

その後、株価は底堅く推移するもののなかなか売り出し価格を超えられない展開が続きます。そして、株価暴落に直面することになりました。8月5日には終値で1251.5円まで下落し、売り出しで取得した人は損失を抱えることになりました。

しかし、大幅な下落は一時的な動きにとどまり、株価は持ち直しています。9月と10月でも株価が1600円を超える場面がありました。

売り出し価格近辺では戻り待ちの売りが待ち構えていますので、1700円台到達というのは簡単ではないと思いますが、年末に向けて売り出しで取得した人には小幅な損失で逃げるチャンスはありそうです。

【ホンダの日足チャート（2024年5月1日～10月9日）】

2. ヤマハ発動機（7272）

ヤマハ発動機は8月23日に、3791万3300株の売り出しおよび上限568万6900株のオーバーアロットメントによる売り出しを行うと発表しました。売り出し価格は1248円で、割引率は4.04％でした。

受け渡し日となった9月9日の株価ですが、始値1177.0円、高値1218.0円、安値1170.5円、終値1218.0円となりました。終日売り出し価格を下回りました。しかし、その後は徐々に水準を切り上げる展開となり、9月19日には終値（1272.5円）で売り出し価格を上回りました。

そこからも堅調な株価推移が続き、10月7日には1390円まで株価は上昇、売り出しで取得した株主は利益が出る状態となっています。売り出しの実施タイミングが8月の全体相場の暴落からの緩やかな戻し局面だったことが良かったと考えられます。

【ヤマハ発動機の日足チャート（2024年7月1日～10月9日）】

3. 浜松ホトニクス（6965）

浜松ホトニクスは8月30日に730万4400株の売り出しおよび上限109万5600株のオーバーアロットメントによる売り出しを行うと発表しました。売り出し価格は3278円で、割引率は3.02％でした。

受け渡し日となった9月17日の株価ですが、始値3423円、高値3439円、安値3357円、終値3421円となりました。終日しっかりと売り出し価格を上回る展開となっています。

9月27日は株式分割の権利落ちとなりましたが、実質的に株価は堅調な推移が続き、10月7日には終値で2000円の大台（分割前では4000円の大台）に乗せるなど、売り出しによる需給悪化を感じさせない上昇となっています。売り出しが8月の全体相場の暴落からさらに株価が一段安となったタイミングで実施されたことが要因と考えられます。

【浜松ホトニクスの日足チャート（2024年7月1日～10月9日）】

まとめ

今回は、2024年に株式の売り出しを実施した企業のなかで「ホンダ」、「ヤマハ発動機」、「浜松ホトニクス」の3社の直近の株価の動きを確認しました。

3社を見比べると売り出しの実施タイミングの重要性がわかります。今年の高値水準から少しだけ水準を切り下げたタイミングで売り出しを実施したホンダは売り出し価格を超えられない展開が続いています。

全体相場の暴落から戻している局面で売り出しを実施したヤマハ発動機は、しっかりと売り出し価格を超えています。全体相場の暴落後、さらに一段安となっていたタイミングで売り出しを実施した浜松ホトニクスは売り出し価格を大きく超えています。

売出人はなるべく高い株価で売りたいはずですが、売り方にとって良すぎるタイミングで売り出しを実施すると、長期的な株価低迷につながる可能性があります。なかなか狙ってできることではないですが、売出人にとっても購入する投資家にとってもよいタイミングで行うことがベストだと考えます。そのように考えると、今回の3社では「ヤマハ発動機」の売り出しが一番良かったのではないかと個人的には思っています。