「任天堂の株価が1万円を割った……このままナイアガラのように落ちるのか?」
「待望のSwitch2が発売されたのに、なぜ株価は下がり続けるのか?」
2025年の夏には1万5,000円に迫る勢いだった任天堂(7974)。しかし、2026年1月現在、株価はまさかの1万円割れ水準まで急落しています。

参照:Trading View
長年、任天堂株を見てきた投資家が、その動向に注目を集めています。
しかし、今は恐怖で売る場面ではなく、虎視眈々と拾う場面といえるかもしれません。
なぜなら、今回の下落要因であるメモリ・ショックは、任天堂のブランド毀損ではなく、外部環境による一時的なコスト増に過ぎないからです。
この記事では、機関投資家が注目している3つの下落理由を因数分解し、Switch2(次世代機)発売後の本格普及に向けた戦略を解説します。
株価急落の正体:なぜ任天堂は売られたのか?
プロの投資家たちが警戒しているのは、以下の3つの複合要因です。
【理由①】AIブームの弊害「メモリ・ショック」による逆風
現在、世界的な生成AIブームにより、データセンター向けの高性能メモリ需要が爆発しています。
その結果、半導体市場でメモリの供給不足と価格高騰が発生しています。
PCメーカーの「マウスコンピューター」がメモリ不足を理由に一時販売を停止するなど、その影響は実体経済にも及んでいます。
「Switch2の製造コスト(原価)が高騰し、売っても利益が出ないのではないか?」
「メモリ不足で十分な台数を生産できず、機会損失が出るのではないか?」
発売初年度から売れ行きが絶好調なだけに、今値上げは避けたいところ。Switch2は、もともと任天堂のゲーム機としては高めで、値上げをすれば需要が冷える危険性があります。
「作れば作るほど利益率が下がる」というリスクを市場が織り込みにいった結果が、今回の急落です。
【理由②】世代交代の谷間による数字の悪化
Switch2は発売されましたが、まだ普及の初期段階です。一方で、長年貢献してきた旧Switchの売上は急速に減少しています。

画像引用元:2026年度 第2四半期 決算説明会|任天堂株式会社
旧ハードの落ち込みを新ハードの供給がまだ完全にカバーしきれていない「世代交代の谷間」にあるため、決算上の数字が一時的に弱く見えてしまっています。
これはハード移行期に見られる現象であり、供給が安定すれば解消される問題です。
【理由③】優待なし・配当利回り低下による守りの弱さ
任天堂は株主優待がなく、株高になった2024年移行の配当利回りはそこまで高くないという点が、下落時のクッションの弱さとして露呈しました。
長期で保有するインカムゲインや優待が少ないため、悪材料が出ると個人投資家が手放しやすい構造にあります。参考までに、直近3年間の1株あたりの配当金推移を載せます。
・2023年3月:186円(配当利回り3.63%)
・2024年3月:211円(配当利回り2.57%)
・2025年3月:120円(配当利回り1.19%)
株価下落後も任天堂株が魅力である理由
「じゃあ、もう任天堂はオワコンなのか?」
いいえ、任天堂の経営資本とIP(知的財産)を見れば、まだまだ魅力的な銘柄に違いありません。
無借金経営とネットキャッシュ
ソニーなどの競合他社が巨額の投資で借金をしているのに対し、任天堂は実質無借金経営です。自己資本比率は驚異の77%を超えています。
手元には豊富なキャッシュがあり、今回のようなメモリ高騰による一時的な利益率低下が数年続いたとしても、ビクともしない体力があります。
この経営資本の強さこそが、長期投資家が任天堂を信じる最大の根拠です。
IP(知的財産)の世界的な人気
ハードウェアは世代交代しますが、マリオ、ゼルダ、ポケモンといったIPの価値は下がりません。
むしろ、映画やテーマパークへの展開により、IPビジネスの売上比率は高まっています。ハードウェアの利益率低下を支えるだけの基礎体力は、Wii Uハード発売の失敗時代とは比べ物にならないほどついています。

Switch2本格普及に向けた2026年のシナリオ
では、今後の株価はどう動くのでしょうか?
今後の株価上昇要因となりそうなポイントを2つ紹介します。
【勝算①】シリコンサイクルによる2027年以降の正常化
半導体市場にはシリコンサイクルと呼ばれる3~4年周期の好不況の波があります。
AI需要は強烈ですが、各社が増産投資を行っているため、いずれ供給は追いつきます。たとえ2026年いっぱいは高コストが続いたとしても、2027年以降には需給が緩和し、利益率が正常化する局面が訪れると予測する専門家も多いです。
現在の1万円割れという株価は、この苦しい期間が長引くことをすでに織り込んでいる水準と言えます。
【勝算②】ソフトの展開力が利益率を押し上げる
ハードウェアの原価率が高くても、任天堂の真骨頂はソフトのコンテンツ力です。今後投入されるであろう3Dマリオ新作やポケモンなどのキラータイトルは、利益率の塊です。
ハードが行き渡った後に来るソフト爆売れフェーズに入れば、現在の懸念は払拭されます。
まとめ
現在の株価下落は、長期投資家にとっては投資タイミングと言えるかもしれません。
・今の株価はメモリ高騰による減益という最悪のシナリオを織り込んでいる
・財務は盤石であり、倒産リスクは皆無
・1万円割れの水準はPER等の指標で見ても割安感が出てきている
しかし、多くの人が恐怖を感じて投げ売りしている現状は、冷静に投資タイミングを見極めるべきかもしれません。
任天堂のIPの魅力や長期の成長に期待して、今から投資対象として検討するのも面白いかもしれません。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いいたします。


