先週の米国株は主要3指数がそろって下落 S&P500とナスダックは大幅3週続落
先週の米国市場ではダウ平均が1.89%安と反落し、S&P500が2.93%安、ナスダック総合が3.62%安とともに大幅に3週続落しました。主要3指数はそろって火曜日から4日続落し、S&P500とナスダック総合は3か月半ぶりの安値、ダウ平均は2カ月半ぶりの安値となりました。
注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通り政策金利が据え置かれたものの、利上げ長期化や来年の利下げ幅の縮小の可能性が示唆されたことが株式市場の重しとなりました。
加えて、先週から始まった全米自動車労組(UAW)のストライキの経済への影響が懸念されたほか、政府予算の期限を10月1日に控え、政府債務上限を引き上げるための法案成立の遅れによる政府機関の閉鎖リスクも意識されました。
テスラが急落 ゴールドマン・サックスが利益見通しを引き下げ
こうした中、電気自動車のテスラが週間で10.75%安と急落し、5週ぶりの大幅反落となりました。テスラの株価は2021年11月に414.42ドルの上場来高値を付けた後、2022年1年間で65.03%安と大幅反落し、今年1月3日には終値で108.10ドルまで下げ幅を拡大しました。
その後は米連邦準備理事会(FRB)による利上げサイクルの終了期待などを背景にハイテク・グロース株全般が大きく反発したことで、テスラ株も急反発。4-6月期の販売台数が市場予想を上回ったことも好感され、7月19日に終値で299.29ドルの52週高値を付け、年初来で138.14%高となりました。
しかし、7月19日引け後に発表された2023年第2四半期(4-6月)決算で売上高と利益が市場予想を上回ったものの、販売価格の引き下げやインセンティブの増加により営業利益率が悪化したことで利益確定売りが強まりました。
モルガン・スタンレーが自動運転システムの飛躍的な向上期待を理由に投資判断を「イコール・ウエート」から「オーバーウエート」に、目標株価を250ドルから400ドルに大幅に引き上げたことが好感され9月中旬にかけて反発する場面もありましたが、先週はゴールドマン・サックスが更なる値下げの可能性や、それによる利益率悪化見通しを理由に2023年と2024年の利益予想を引き下げたことが嫌気され、再び売りが優勢となりました。
10月上旬発表の7-9月期生産台数、中旬の第3四半期決算発表に注目
今後の焦点は10月上旬に発表される7-9月期の生産台数と10月17日に発表される第3四半期決算発表になりそうです。
アナリストは第3四半期の調整後一株当たり利益を0.79ドルと予想しており、第2四半期の0.91ドル、2022年第3四半期の1.05ドルから悪化が見込まれています。
中国での相次ぐ値下げや競争激化がテスラや中国EVメーカーの利益率悪化につながっており、第3四半期の決算結果が注目されます。
トレンドラインを割り込みテクニカルが悪化
先週の急落でテクニカルも悪化しました。テスラ株は今年に入り4回の急騰場面がありますが、過去3回の急騰場面ではトレンドラインを割り込むとその後比較的大きな下落場面がありました。
4回目となる今回も先週の急落でトレンドラインを一気に下抜けており、もう一段の下落場面を迎える可能性もありそうです。