「オリエンタルランドの株主優待、内容が変わったって本当?」
「ディズニーのチケットがもらえるって聞いたけど、今はどうなってるの?」
夢と魔法の国、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(証券コード:4661)。個人投資家にとって、その株主優待であるパークチケットは非常に魅力的で人気の高い銘柄の一つです。
近年、オリエンタルランドの株主優待制度にはいくつかの変更があり、一部の投資家から「改悪ではないか?」という声も聞かれました。
この記事では、オリエンタルランドの現在の株主優待の内容や過去の変更点、そして改悪と捉えられる理由について詳しく紹介します。さらに、同社の業績や株価の動向も踏まえ、投資対象としてのオリエンタルランドの魅力と注意点について分かりやすく解説します。
オリエンタルランドの株主優待の内容
オリエンタルランドの株主優待は東京ディズニーランド、または東京ディズニーシーどちらかのパークで利用可能な1デーパスポートです。
このパスポートは、株主名簿に記載された株主に対して、保有株式数と保有期間に応じて配布されます。株主優待の権利が得られる基準日は、毎年3月末と9月末の年2回です。
現在の主な配布基準は以下の通りです。
・※長期保有株主様向け優待制度
通常優待に加えて100株以上の株式を3年以上継続して保有している方は、毎年9月末を基準日として1デーパスポートが1枚もらえます。配布は12月頃の予定です。
・特別株主優待の実施(2025年9月末限定)
オリエンタルランドは創立65周年を記念し、2025年9月30日時点で100株以上を保有する株主に対し、追加で1デーパスポートを1枚配布することを発表しました(配布は2025年12月予定、有効期限2026年8月31日まで)。
オリエンタルランドの株主優待は改悪された?
オリエンタルランドの株主優待について「改悪された」という声が聞かれるのはなぜでしょうか。この背景には、主に2023年4月1日付で行われた株式分割(1株を5株に分割)に伴う、株主優待制度の変更があります。
株式1単元の購入金額は大幅に引き下げられましたが、分割後の長期優待特典である「3年以上継続して保有」という条件が新たに加わりました。
ただし、500株以上を保有する場合や100株でも3年以上という長期的な視点で応援する株主にとっては、パークチケットを受けられる制度であることに変わりはありません。
さらに、今回の65周年記念特別優待のように、節目で株主への感謝を示す施策が期待できる可能性も出てきました。
オリエンタルランドの基本情報
オリエンタルランドは、単にテーマパークを運営しているだけでなく、テーマパークとしての魅力を展開するための様々な企業努力を惜しみません。
主力は、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーから成るテーマパーク事業ですが、複数のホテル運営も2025年3月期において前年同期比で増収増益でした。さらに、商業施設「イクスピアリ」やモノレール「ディズニーリゾートライン」の運営など、リゾート全体の魅力を高める事業を多角的に展開しています。
近年の大きな動きとして注目は、2024年6月にオープンした東京ディズニーシーの新テーマポート「ファンタジースプリングス」です。さらに、2028年度には日本初のディズニークルーズ船事業への参入を計画しており、舞浜への依存度を下げて新たな収益源の獲得に向けた戦略と位置付けられています。
近年の大型投資は、短期的な費用増をもたらす可能性もありますが、中長期的な成長への布石として市場からも注目を集めています。
株価と業績推移
オリエンタルランドの直近5年間における株価と業績の推移は、以下のとおりです。
参照:Traging View
株価は、2023年の株式分割後に大きな伸びを見せましたが、2024年に入ると市場全体の金利動向や大株主の株式売却懸念、短期的な成長ペースへの警戒感などから調整色を強めました。
しかし、ディズニーブランドへの強い信頼感があり、一定の買い支えも見られます。今後はクルーズ事業への期待が、どの程度株価に反映されてくるかが焦点となります。
業績については、2023年3月期以降はV字回復し、2025年3月期には売上高・各利益ともに過去最高を更新しました。これは、行動制限の緩和による入園者数の増加とあわせて、チケット価格の変動制導入や有料の優先入場サービス「ディズニー・プレミアアクセス」の導入などによる客単価の上昇が関係しています。
また、新エリア「ファンタジースプリングス」の全面開業効果は、2026年3月期以降の業績に本格的に貢献してくることが期待できるでしょう。
配当金
直近5年間における一株あたりの配当金推移は、以下のとおりです。
・2021年3月期:26円(配当利回り0.16%)
・2022年3月期:28円(配当利回り0.12%)
・2023年3月期:40円(配当利回り0.18%)
・2024年3月期:13円(配当利回り0.27%)
・2025年3月期:14円(配当利回り0.48%)
コロナ禍で一時的に配当額が減少しましたが、業績の回復に伴い増配傾向にあります。オリエンタルランドは将来の成長に向けた投資も積極的に行うとしており、2035年までには配当性向30%を目指すという目標を掲げています。
現在の株価水準では配当利回りは高くありませんが、今後の持続的な利益成長が実現すれば、増配による株主還元の強化も期待できるでしょう。
まとめ
オリエンタルランドの株主優待は、2023年の株式分割に伴う制度変更を発表しました。具体的には、最低単元(100株)での優待獲得には3年以上の長期保有が必要になるなど、一部の個人投資家にとっては改悪と受け止められる側面がありました。
しかし、500株以上の保有や100株でも3年の長期保有でパークチケットがもらえるという魅力は維持されており、人気の高い優待制度と言えるでしょう。
企業としては、新エリア「ファンタジースプリングス」の開業やディズニークルーズ事業への進出など成長への期待は尽きません。
優待目的でオリエンタルランド株を購入するのも1つの指針となりますが、ブランド力と今後の成長戦略への期待などを総合的に判断する必要があります。