日産自動車の株価が低迷していて、10年後いくらになるか気になる方もいるのではないでしょうか。2024年のニュースでは下請けに対する不当な減額要請によって、マイナスなイメージが付いたので企業改善を期待したいところ。
直近の業績をみると、2024年3月期に公開した売上高が過去最高を記録しており、今後の売り上げアップがどうなるか注目したいですね。10年後の株価がどうなるかについては、海外での販売台数を増やせるかにかかっていると思います。
本記事では日産の事業概要と株価低迷の原因を紹介しつつ、10年後に1,000円へ上昇する可能性について予測します。ぜひ参考にしてみてください。
日産自動車(7201)の事業概要
世界有数の自動車販売メーカである日産自動車。国内の自動車メーカー時価総額ランキングでは4位に位置しています。
主力製品は「ノート」「セレナ」「エクストレイル」で、海外でも人気が高いラインナップを取り揃えています。日産自動車の事業概要と2024年3月期の業績は、以下のとおりです。
自動車業は主力である自動車販売によるセグメントであり、販売金融事業は自動車を購入した顧客が契約する自社カーローンによる収益です。売上高を比較すると自動車事業は販売金融業の10倍近くありますが、金融事業の利益率が高く、営業利益は同額を稼いでいます。
過去10年間の業績推移
過去5年間の業績推移は、以下のとおりです。
2020年3月期と2021年3月期に合計で1兆円規模の巨額の赤字を計上しました。ここ数年は業績が改善しており、2024年3月期決算の売上高は過去最高額を更新しています。
過去の株価推移と株価低迷の理由
続いて創業期からの株価推移は、以下画像のとおりです。
参照:Traging View
2009年のリーマンショック時期にはマイナス2337億円の大規模な赤字を計上しており、大きく株価は下落しました。翌年に業績は黒字化し徐々に株価は上昇していますが、2019年以降に大きく下落しています。
2019~2020年に赤字を出した背景としては前取締役であるカルロス・ゴーン氏が残した負の遺産が大きいと言われています。当時は販売戦略として海外の新興国市場の事業拡大を目指して、車種を増やす方針をとりました。
しかし、無理な拡大路線によって人員と新工場の設立によるコストの増加で販売効率は悪化し、新車投入のサイクルも遅くなった結果、利益率は大幅に減少。結果として大きな赤字を出しています。
現取締役である内田氏に交代してからは、2020年から2023年度まで「Nissan NEXT」による構造改革を実施。具体的には、広げすぎた車種を絞り1台あたりの車の価値を高めることに注力しています。構造改革が成功した結果、2024年3月期に過去最高となる12兆6857億円の売上高につながりました。
日産の株価10年後予測:1000円台回復は可能か?
日産の生産体制が見直され、以前より利益を出しやすくなった状態なっています。今後も車の販売台数が伸びていき、売上高と営業利益が上がれば、1000円台の回復は達成可能だと思います。
しかし、販売台数はここ数年において、以下のとおり減少傾向でした。
・2019年:493万台
・2020年:405万台
・2021年:388万台
・2022年:331万台
・2023年:344万台
直近である2025年3月期の販売台数は370万台を見越していますが、国内での大きな増加は難しく、海外市場を狙う必要があります。しかし、日産のメインである中国市場は国策でEV化の流れが進んでおり、中国メーカーが販売数を伸ばしている影響から他社も苦戦している状況です。
したがって、ここ数年で北米・欧州・その他の地域で売り上げを伸ばしているかが重要です。
EV(電気自動車)の販売数が鍵を握るが課題も多い
世界的にはガソリン車やハイブリッド車から脱炭素への主張が強く、今後の販売数を占う上でもEVが鍵を握っています。日産のラインナップだと「サクラ」が好調であり、日本企業のEV販売車数はトップ。
しかし、世界的には中国企業やアメリカのテスラ社が上位シェアを独占している状況であり、どこまで販売台数を増やせるかはわかりません。
一方で、EVの普及には現段階でいくつか課題もあり、そのうちの1つに航続距離が挙げられます。一回の充電で500km以上の走行が可能ですが、それでもガソリン車やハイブリッド車と比べて効率が落ちるのはデメリットです。
日産は航続距離を改善したバッテリーである全固体電池の量産化を目標に掲げています。今の段階では、2028年度までに新電池を搭載したEVを市販化する予定です。ただし、中国企業が低価格でEVを売り出しているため、どこまで対抗できるかは未知数です。
日産が海外戦略を進める中で、どこまで販売数を伸ばせるか注目してみてはいかがでしょうか。