2024年・世界の広告費1兆ドル突破!その背景や経済への影響を解説

2024年に世界の広告費が1兆ドル(約157兆円)を突破したというニュースがBloombergで流れました。


日本の国家予算の約2倍という途方もない金額ですが、私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか?その多くがネット広告であり、広告費の増加は今後も続くと予想されています。


本記事では、世界における広告費が増加した理由や個人情報保護の問題、外貨への流出など様々な視点で解説していきます。


広告費増加の要因は?アメリカ大手テック企業が4割を占める

世界の広告費はアメリカ大手テック企業であるGoogle、Meta、Amazonの3社で全体の4割を占めています。さらにByteDance、Alibabaなどが続いており、大手企業が独占している状況です。


世界の広告費増加の背景には、いくつかの要因があげられます。


最初にスマホ所有者の増加によるインターネット利用者の拡大です。インターネットの普及により、SNSや検索プラットフォームでの利用が増え、より多くの人に広告を届けられるようになりました。


次に、動画広告市場の拡大も大きな要因です。YouTubeをはじめとする動画プラットフォームの普及により、静止画広告に比べて高い費用対効果を出すケースも見られます。


上記で挙げた市場動向を取り入れて、事業を拡大していったのがGoogle、Meta、Amazonといったアメリカの大手テック企業なのです。膨大なユーザーデータと高度なAI技術を駆使し、精度の高い広告を展開した結果、市場の4割を占めるまでに成長しました。


Googleは検索エンジンにおける圧倒的なシェアを武器に、連動型広告で莫大な収益を上げています。Metaは世界最大のSNS(Instagram・Facebookなど)として、ユーザーの属性や興味関心に基づいたターゲティング広告を展開。AmazonはECプラットフォームにおける豊富な購買データを利用し、ユーザーごとに関心の高い商品を表示して販売につなげています。


テック企業は巨大なプラットフォームと高度な技術力を持つことで、市場における優位性を築いてきたのが広告費増加の最大の要因です。



ターゲティング広告と個人情報の保護

AI技術の進化により、広告はますます個人に最適化されたものが表示されるので、消費者の購買行動に大きな影響を与えています。例えば、Amazonでスニーカーを見ていたら靴の広告がたくさん表示される、といった経験はありませんか?


これは「ターゲティング広告」と呼ばれるもので、私たちの興味や好みに合わせた広告を表示することで、購買意欲を高める効果があります。消費者の閲覧履歴や購入履歴などを分析し、個々のニーズに合わせた広告を表示することで、購買意欲を高めます。


企業からみときに費用対効果の高い広告手法であり、消費者にとっても興味のある商品やサービスの情報を得やすくなるのがメリット。


ただし、個人情報の利用範囲や保護について、批判の声が高まっているのも事実です。個人の行動が詳細に分析されることに抵抗感を抱く人もいて、データの不正利用や漏洩のリスクも拭えません。


世界では個人情報保護の観点から、広告を規制する動きも出てきています。


円安にも影響を与える外貨への流出・日本経済への影響は?

世界の広告市場の成長は、日本経済にも大きな影響を与えます。特に、広告費の大部分がアメリカの大手テック企業に流れることで、円安を加速させるからです。


国内の広告例として、テレビCMが挙げられます。広告主は電通や博報堂などの広告代理店を通して、テレビ放送の合間にCMを流します。その広告収入は電通やテレビ局が手に入れる訳です。


日本企業や個人事業主がSNSやYouTubeなどに広告を出稿する場合、その多くはドル建てで決済されます。そのため、広告費が増加するほどドル需要が高まり、円安圧力が強まります。


また、広告市場における競争力の低下も懸念されます。資金力と技術力で勝るアメリカ企業に対抗するためには、積極的な投資と技術開発が必要になりますが、現状では対抗できる企業はいません。今後も技術格差が広がり続けると、日本市場の縮小につながる恐れがあります。



まとめ

2024年に世界の広告費が1兆ドルを突破し、日本経済にも大きな影響を与えています。広告費の増加の要因は、インターネット、特にスマホの普及と動画広告市場の拡大によるものです。


また市場全体の4割がGoogle、Meta、Amazonといったアメリカの大手テック企業です。高度なAI技術と膨大なユーザーデータを用いたターゲティング広告で事業を伸ばしていった背景があります。


しかし、このターゲティング広告は個人情報の利用と保護という観点で問題も抱えています。消費者の購買行動を分析し最適な広告を表示する一方で、プライバシー侵害への懸念も高まっているのです。


さらに広告費の大部分がアメリカ企業に流れることで、円安を加速させる可能性も懸念されています。ドル建て決済による外貨の増加は、日本経済にとって無視できないリスクです。


独立系ファイナンシャルプランナー

藤崎 竜也

「独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。2019年から教育資金や老後資金を蓄えるために投資を始める。実体験をもとに、専門用語をわかりやすく解説するのが得意。2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得し、現在は金融ジャンル(資産運用・投資・不動産・保険)をメインに執筆している。

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