日々是売買~トレードへの道

第123回「中銀ウィーク通過 各国利上げ観測が高まる」

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中銀ウィークを通過 各国利上げ観測が高まる

 

米国とイスラエルによる電撃的なイランへの先制攻撃から3週間となりましたが、事態が収束に向かう兆しは見られず。WTIや北海ブレントなど原油価格は高止まりし、インフレ再燃への懸念が強まる週となりました。

 

そのような中、今週は「中銀ウィーク」となりました。為替や株式市場に大きな影響を与えるため、投資家から最も注目される週です。米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀の金融政策決定会合、欧州中央銀行(ECB)の定例理事会、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)など、世界の主要な中央銀行が同時期に金融政策決定会合を開催し、今後の金利や景気見通しを発表する重要な1週間となりました。

 

*Trading Viewより

 

ドル円は今週も底堅い展開が続き、一時159.90円と2024年7月以来の高値を更新しています。中東情勢の緊迫化を背景に原油先物相場が上昇傾向を強める中、世界的に株価が軟調に推移。為替市場では「有事のドル買い」が優勢となりました。また、17-18日のFOMCやパウエルFRB議長の会見を受けて、米利下げ観測が後退していることもドル買いを促しました。

 

なお、市場ではFRBによる年内利上げ観測も浮上しており、ドル買いを後押しした面がありました。短期金融市場ではFRBが10月までに利上げを実施する確率が50%に跳ね上がり、米長期金利の指標である10年債利回りは一時4.3915%前後と昨年8月1日以来約8カ月ぶりの高水準を付ける場面がありました。

 

 

 

FRB、年内利上げの可能性まで浮上

 

中東の衝突によるエネルギー価格の上昇がインフレ圧力になるとの警戒が強く、FRBによる年内利上げの可能性が浮上しています。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、6月16-17日のFOMCでは政策金利を3.50-3.75%に維持するとの予想がおよそ8割となり、利下げを予想する見方はなくなりました。一方で、「0.25%の利上げ」を2割織り込んでいます

 

*CME FedWatch Toolより

 

今週のFOMCで公表された当局者による金利見通し(ドット・チャート)では、2026年末時点の中央値が3.375%、27年末時点が3.125%、28年末時点が3.125%となり、年内1回の利下げ予想が維持されましたが、インフレ再燃への懸念が高まる中、市場参加者は「タカ派」の方向にシフト。マーケットのテーマが「年内に何回利下げをするか」から「年内に利上げがあるかどうか」へと移ったと言えます。

 

FOMC以外の中銀による金融政策決定会合もマーケット参加者に影響を与えています。ECBは19日、市場予想通り政策金利を現行の2.15%に据え置くことを決め、声明では「中東での戦争により、経済見通しは著しく不確実性を増し、インフレ率の上振れリスクと経済成長の下振れリスクが生じている」と指摘。ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で「中東紛争により見通しは著しく不確実になった」「経済成長のリスクは下方に傾いている」「インフレのリスクは上方に傾いている」と発言しています。翌20日の短期金融市場では「ECBによる年内3回の利上げ」が織り込まれました。

 

また、BOEは19日、市場予想通り政策金利を3.75%に据え置くことを決め、声明では「イラン戦争によってインフレ加速が引き起こされる場合には行動する用意がある」と表明しています。MPC議事要旨では「9人委員全員が金利の据え置きに賛成票を投じた」ことが判明し、4年半ぶりの全会一致となったことが明らかに。この結果を受けて、BOEによる年内利上げ観測が高まりました。

 

 

 

投機筋の円売りポジション、6.8万枚まで増える

 

米商品先物取引委員会(CFTC)が20日(日本時間14日早朝)に発表した3月17日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は6万7780枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、前週から2万6393枚増加しました。投機筋の円売りポジションが着実に積み上がっています。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

なお、投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢となり、4月29日には17万9212枚と過去最大を更新しています。ただ、それ以降はその動きが反転。投機筋の円売りポジションが7万枚に迫る勢いとなっています。

 

 

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(159.23円)雲の下限155.39円、上限155.77円、基準線156.25円、転換線158.59円を全て上回っています。雲は非常に薄い状態ですが、テクニカル的に上サイドへの期待が高まる状況です。また、材料的にも「円安」と「ドル高」の両方を備えている状況であり、円安・ドル高のトレンドが続くとみる市場参加者は多いようです。

 

 

*Trading Viewより

 

ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にもこのままドル円の上昇が想定され、節目の160円突破はもちろん、2024年7月3日の高値161.95円が視野に入っています。ただ、これ以上の円安・ドル高は政府・日銀による為替介入が警戒されます。片山さつき財務相は今週、「しっかり構えさせていただく」「どう考えても投機的な部分がある」と述べ、円安をけん制。「いかなる時も万全の対応を取る」と強調し、「今の状況は国民生活と日本の経済にあまりにも突然の不意打ちだ。市場が機能しないときは国家が出るべきだから当然だ」と説明しています。

 

当然、私個人としても「中東情勢の混乱」が落ち着き、これまでの原油高・株安・債券安・ドル高の巻き戻しでドル円が下落することを個人的には願っています。これ以上のドル高・円安(さらには株安なども)は困るところです・・・困るところではあるのですが、マーケットにあわせていくしかないものまた事実。今後もこの状況が続くと想定し、来週以降もドル円の押し目を狙っていきたいと思います。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第123回「中銀ウィーク通過 各国利上げ観測が高まる」
第122回「ドル円、160円目前 中東情勢の混乱は継続」
第121回「世界的株安・米原油2年半ぶり高値・有事のドル買い 中東緊迫」
第120回「円安は進みやすく、円高は進みにくい?」
第119回「日本の『トリプル高(株高・債券高・通貨高)』は続くのか」
第118回「日経平均先物、夜間取引で2000円高の急騰 自民圧勝期待で」
第117回「為替介入は『なし』、ドル円急落はレートチェック」
第116回「日米当局、レートチェック お上に逆らうな(為替介入)」
第115回「ドル円、衆院解散で160円突破か!?」
第114回「ドル円、1年ぶり高値 衆院解散を検討との報道」
第113回「ドル円、2026年上昇予想が増加」
第112回「ドル円、年初来高値158.87円が視野」
第111回「来週はいよいよ日銀金融政策決定会合」
第110回「米感謝祭ウィークで商いは低調 来週に期待」
第109回「ドル円、10カ月ぶり高値 利上げや介入への警戒高まる」
第108回「米利下げ確率、1カ月前の94.4%から45.8%まで低下」
第107回「高市トレード(円売り・株買い)継続」
第106回「終わってみればサナエノミクス」
第105回「VIX(恐怖指数)、半年ぶりの高水準を更新」
第104回「忘れた頃にやってくるトランプ砲、でもTACOか?」
第103回「米政府機関の一部閉鎖で投機筋ポジション発表されず」
第102回「ドル円、ついにレンジをブレイクか!?」
第101回「サナエノミクス!ジャパン・イズ・バック!に期待」
第100回「上サイド突破を期待しながらポジションを追加」
第99回「ドル円、結局1カ月前と同様の結果に」
第98回「ドル円、パウエル発言伝わると急落」
第97回「投機筋の円買いポジション、縮小が続く」
第96回「上サイド突破を期待しながらポジションを維持」
第95回「イベント満載の1週間 ドル円は上値重い展開」
第94回「夏休み前、傾いたポジションは整理される傾向に」
第93回「参院選後も円安の流れは変わらずか!?」
第91回「ポジションを切るかどうかの瀬戸際」
第90回「ドル円、来週以降は買い増しを検討」
第89回「投機筋の円ロングポジション、縮小が続く」
第88回「投機筋の円ロングポジション、縮小」
第87回「ドル円、140円割れを目指す展開か!?」
第86回「米国『トリプルA』格付け失う 来週は為替協議の思惑も」
第85回「投機筋の円買いポジション、やや拡大 過去最大を更新」
第84回「投資家心理は改善 恐怖指数=VIXは順調に低下」
第83回「注目は24日予定の日米財務相会談 為替について協議」
第82回「ドル円『1日の値幅は3円超』 売っても買ってもやられる相場」
第81回「虎の子だったはずのポジションが見事に粉砕」
第80回「円買いポジションの解消に伴う急速な円安・ドル高圧力」
第79回「投機筋の円買いポジション、いよいよ巻き戻しスタートか!?」
第78回「来るか!?行き過ぎた『ポジションの偏り』の反動」
第77回「投機筋の円買い過去最大 行き過ぎた『ポジションの偏り』」
第76回「投機筋の円買いが過去最大に 偏り警戒160円超えを指摘する声も」
第75回「投機筋の円買いポジション、再び6万枚超まで拡大」
第74回「投機筋の円買いポジション、5万4615枚に拡大」
第73回「ドル円、テクニカル的にも売りが出やすいか」
第72回「投機筋、ポジションはほぼフラットに」
第71回「28-29日のFOMC、利下げ見送りが濃厚」
第70回「日銀の追加利上げは織り込み済み」
第69回「ドル円は半年ぶり高値 ロングは維持したい」
第68回「やっぱり7月3日の高値161.95円突破を狙いたい」
第67回「ドル円、またまた160円台を目指していくのか」
第66回「日銀の年内利上げ観測後退 1月すらも怪しい」
第65回「感謝祭ウィーク週末のNY午後(日本の夜中2時)」
第64回「投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る」
第63回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?その2」
第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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