今回は人工ダイヤ原料の種結晶製販を行うイーディーピー(7794)に注目。9月10日に同社の株価が出来高を伴って大きく上昇しました。
【イーディーピーの日足チャート(2025年8月31日から同10月31日まで)】

要因は、「ラボラトリーグローンダイヤモンド(人工ダイヤモンド:以下、ラボグローンダイヤモンド)の専門メーカーとして、革新的な技術を駆使し、ブルーおよびピンクのカラーダイヤモンドの販売を開始する」と発表したことです。
リリースによれば、「カラーダイヤモンドは、ダイヤモンド内の不純物や結晶欠陥によって光の吸収が変化することで特有のカラーを発現。天然のカラーダイヤモンドは入手が難しく高額だが、ラボグローンダイヤモンドは不純物濃度の精密な制御や、熱処理などの加工プロセスを精密に行うことで、様々なカラーを発現することができる」としています。
今回ブルーとピンクのダイヤモンドを、同社の連結子会社であるエス・エフ・ディーが宝石として販売するとのことであり、今後の業績寄与が期待されます。
イーディーピーの上場からの株価動向
イーディーピーは2022年6月27日に上場。イーディーピーは投資家から期待も大きく、上場時の初値は公開価格を大きく上回りました。分割考慮後の上場来高値は2023年2月8日の6050円となっていますが、足元の株価は500円程度まで下落しています。
【イーディーピーの週足チャート(上場から2025年10月最終週まで)】

イーディーピーの上場からの株価下落の要因
上場直前の日本経済新聞のインタビューにおいて同社の藤森直治社長は「2027年までに生産能力向上のために約50億円を投資し、売上高を約5倍にする目標だ」と語っていました。
しかし、同社の売上高は、以下のように23.3期まで順調だったものの、その後は低迷しています。
22.3期の売上高は15.6億円(上場直前期)
23.3期の売上高は27.1億円
24.3期の売上高は7.6億円
25.3期の売上高は9.2億円
なお、26.3期の会社予想の売上高は18.6億円と前期比で大幅な増益を見込んでいます。
24.3期の減収については、小型宝石を中心としたラボグローンダイヤモンドの価格低下により、同社種結晶ユーザーの業績低下が著しく、種結晶売り上げが前年度の1/5に低下したことなどが響いたとしています。
25.3期も2024年初頭から続くラボグローンダイヤモンドの大幅な価格下落の影響により、種結晶売上高が減少。24.3期比で増収となったものの、23.3期の売上高が27億円だったことを考慮すると、物足りない結果となりました。
26.3期については大幅な増収を見込んでいますが、26.3期1Qの売上高は3200万円にとどまっています。
今後について
26.3期1Qの決算短信には、「種結晶の受注は低位に推移しており、売り上げが回復しないなか、支出を抑えるべく生産設備の一部休止を含む 費用削減策を講じてきた。2インチウエハ開発などの必要な開発については活動を維持したが、不急の費用については先送りするなどの対応を行っている」と記載されています。厳しい状況が続いていることが伺えますので、26.3期の会社予想の売上高18.6億円の達成は容易ではないでしょう。
ブルーおよびピンクのカラーダイヤモンドの販売が状況を変え、26.3期の会社予想の売上高18.6億円を本当に達成できるのか。今後の業績推移に引き続き注目していきたいと思います。


