昨今、パソコンに使用されるメモリーの価格がとんでもなく高騰していることが話題です。メモリーは作業机の広さのようなものであり、ギガバイト数が大きいほど作業スペースが広いということです。
メモリーを増設したことでパソコンが快適になった人も多いと思われますが、昨今の高騰により気軽にできない可能性が出てきました。顕著な値上がりの一例を挙げると、例えばCFD Standard社のメモリー32ギガバイト2枚組(商品名:W5U6400CS-32GC38F)では下のような価格推移となります。

出所:価格.com 平均価格を使用
10月初めは3万円弱だったものが、12月後半には15万円近くに上昇。5倍近くになっていることが分かります。32ギガバイト2枚(計64ギガバイト)を日常使いする人はそこまで多くはないと思いますが、新品のパソコンが1台買えてしまいそうな値段ですね。コロナ禍でのテレワークによるパソコン需要などは一巡したにも関わらず、なぜここまでメモリが高騰しているのでしょうか。
メモリーにもAI投資の影響
メモリー価格の高騰には、AI投資の拡大が関係していると言われます。大量のデータ処理を行うAIには大規模なデータセンター投資が必要。AIサーバーやデータセンター向けの高速・大容量メモリ(HBMと呼ばれる広帯域メモリーや高性能DRAM)の需要が爆発的に増加し、現在は供給が追い付いていない状況となっています。
メモリーメーカーにおいても最先端の高性能メモリーの生産に注力しており、一般消費者向けの汎用品の生産能力が以前より低下していることも要因とされます。製造ラインの増設にも時間がかかるため、価格の高騰も簡単には落ち着かない可能性が出てきました。
12月22日の日本経済新聞報道では、データの一時保存に使われる「DRAM」と呼ばれるメモリーについて「10月の大口取引価格の交渉が値段がつかない異例の事態」になったようです。それだけ需給がひっ迫しており、国内ではパソコン製品を手掛けるマウスコンピューターが一時的にPC製品の販売を停止することも発表されました。筆者も今使っているパソコンが急に壊れてしまった時のことを考えるとゾッとします。
株式投資には勝機を見出せるか?
メモリーの価格が高騰すると、パソコン、スマートフォン、ゲーム機などの電子機器の価格が今後上昇することも考えられます。日常生活の負担が一段と増しそうで不安にはなりますが、株式市場で何か勝機を見出したいところ。
ということで、メモリー需要の拡大により恩恵がありそうな企業を探ってみると、メモリーメーカーや商社などに期待ができそうです。
関連企業の一例を挙げると

このような銘柄群がピックアップできました。2025年までは、半導体関連といってもAI投資ブームにより先行して恩恵を受けた企業、そうでない企業と二極化しました。半導体は産業のコメと言われるように欠かせない存在なので、今後はこれまで買われてこなかった銘柄群に注目したいところ。
その中でもメモリー関連の勢いが良くなってきたため、「馬尻下がり」と言われる過去のパフォーマンスがさえない午年のなかで躍進できるか期待したいと思います。



