株主優待の廃止が続く中で、「DIC」と「リリカラ」の動きが投資家の間で話題になっています。株主優待がなくなるのに、なぜ人気が高まっているのか? そして、配当や株価にどんな変化が起きているのか?注目の2銘柄についてご紹介します。
DIC(4631)
DICは、印刷用のインキとその素材となる有機顔料を製造・販売する世界最大手の印刷インキメーカーです。また、合成樹脂を基にした接着剤や多層フィルム、ディスプレイ用顔料、化粧品顔料、高機能樹脂製品、コンパウンド・着色剤など様々な製品を取り扱っています。
2024年度の売上高は約1兆円、経常利益は約380億円でした。2025年度は売上高が約1兆円、経常利益は約400億円となり、昨年度と比較して売上高と経常利益どちらもほぼ横ばいとなる予想です。
DICの株価
2025年11月時点の株価は約3700円です。2018年に約4400円の高値を記録しましたが、株価変動を繰り返しながらゆるやかに下落し、2021年には約2500円まで下落しました。2023年まで約2500円前後で低迷しましたが、2024年以降は株価変動は大きいものの、回復傾向が見られます。
株主優待は2025年度から廃止
DICの株主優待が廃止されたのは、2025年6月末の権利確定日分からです。2024年12月末までは、100株以上保有する株主に対し、6月末の権利確定日にオリジナルカレンダー、12月末の権利確定日に絵葉書と自社製品が贈呈されていました。
廃止の理由は、公平な利益還元を目的に、配当などによる還元を充実させるためです。株主優待廃止の発表を受け、約3300円まで回復していた株価は、一時約2500円まで急下落しています。
配当金は大幅増額
2025年度の配当金は、6月末の中間配当で50円、12月末の期末配当で150円の、年間1株当たり200円となる予想です。この金額は、2023年度の80円、2024年度の100円から2期連続で増配となっており、昨年度からは大幅増額しています。
株主優待廃止の発表後、株価が急下落しましたが、配当金大幅増額が発表されると、約3600円まで急上昇しました。
DICの利回り
1株3700円で100株購入した場合、投資金額は37万円になります。配当金額は年間1株当たり200円のため2万円となり、配当利回りは約5.4%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約3.4%、2022年度は約4.0%、2023年度と2024年度は約3.2%でした。

リリカラ(9827)
リリカラは、壁紙、カーテン、床材などの内装材を製造・販売するインテリアメーカーです。また、会社や施設のインテリア設計・施工、事務用品の提案・販売などの空間コーディネート事業や、不動産投資開発事業も行っています。
2024年度の売上高は約340億円、経常利益は約8700万円でした。2025年度は売上高が約370億円、経常利益は約9億円となり、昨年度と比較して売上高はほぼ横ばい、経常利益は増益となる予想です。
リリカラの株価
2025年11月時点の株価は約700円です。2021年までは約200円前後だった株価は、2022年から上昇し始め、2023年には約750円となりました。その後は、約500円から約800円の間で小さな株価変動を頻繁に繰り返しています。
株主優待は2023年度から廃止
リリカラの株主優待が廃止されたのは、2023年12月末の権利確定日分からです。2022年12月末までは、1000株以上保有する株主に対し、保有株数および保有年数に応じてクオカードが贈呈されていました。
廃止の理由は、株主還元の方法を配当に集約するためです。株主優待廃止の発表を受け、約750円まで上昇していた株価は、一時約410円まで急下落しました。
配当金は大幅増額
2025年度の配当金は、12月末の期末配当にて、年間1株当たり36円となる予想です。この金額は、2023年度の14.5円から増配となった2024年度と同じ金額を維持しています。
2022年度の配当金は、2021年度の6円から大幅増額となっており、高配当に加えて最後の株主優待がもらえるとあって株価が急上昇しました。2023年度は株主優待が廃止されたにも関わらず配当金が2022年度と同じ金額だったこともあり株価は下落傾向が続きましたが、2024年度の配当金が増配されたことをきっかけに株価は再び回復傾向となっています。
リリカラの利回り
1株700円で100株購入した場合、投資金額は7万円になります。配当金額は年間1株当たり36円のため3600円となり、配当利回りは約5.1%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約3.2%、2022年度は約3.3%、2023年度は約2.5%、2024年度は約5.6%でした。

まとめ
DICとリリカラについてご紹介しました。どちらも株主優待が廃止された直後は株価が下落しましたが、配当による株主還元が高評価され、以前よりも株価が上昇しているという共通点があります。
今後も増配・高配当が続くのか、株価がどこまで評価されるのか、チェックしながら投資先のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

