「INPEX」と「ニチリン」は、高配当と株主優待の二刀流銘柄として根強い人気を誇ります。しかし、株主優待は1年以上の長期保有者限定となっています。では、この2銘柄は今後も安心して持ち続けられるのでしょうか?
INPEX(1605)
INPEXは、石油・天然ガスの探鉱、開発、生産、販売を一貫して行う企業です。世界20ヶ国で行っているプロジェクトの他、日本国内でも天然ガス供給と石油関連事業を行っています。また、石油・天然ガス以外にも、水素・アンモニア・再生可能エネルギーなどのエネルギー開発にも力を入れています。
2024年度の売上高は約2.2兆円、経常利益は約1.2兆円でした。2025年度は売上高が約2兆円、経常利益は約1.1兆円とどちらもやや減収・減益となる予想です。2022年度に業績が回復して以降、好業績が続いています。
INPEXの株価上昇の理由は?
2025年11月時点の株価は約3200円です。2008年にリーマンショックとそれに伴う原油価格の急落により、株価が約3400円から約1200円に下落しました。その後は約1000円から約1500円の間で株価変動を繰り返していましたが、2020年にコロナウイルスの影響で約500円までさらに下落。
しかし、2021年に入り株価が上昇し始め、現在も右肩上がりが続いています。株価上昇の理由は、石油・天然ガスなどのエネルギー価格が上昇していることから業績の好調が続いていることと、配当金の増配と株主優待の拡充による株主還元が高評価されたことが考えられます。
株主優待は2025年度から拡充
INPEXの株主優待は、毎年12月末の権利確定日に、400株以上の株式を1年以上保有する株主に対して、保有株数および保有年数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、オリジナルクオカードです。
2025年12月末の権利確定日から株主優待内容が拡充され、800株以上の株式を2年以上継続して保有する株主へ贈呈されるクオカード金額の増額と8年以上継続保有でオリジナル記念品が贈呈されます。
保有株数と保有年数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

配当金は増配継続中
2025年度の配当金は、6月末の中間配当で50円、12月末の期末配当で50円の、年間1株当たり100円となる予想です。この金額は、2020年度の24円、2021年度の48円、2022年度の62円、2023年度の74円、2024年度の86円から5期連続で増配となっています。
INPEXの利回りと配当利回り推移
1株3200円で100株購入した場合、投資金額は32万円になります。配当金額は年間1株当たり100円のため1万円となり、配当利回りは約3.1%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約5.9%、2022年度は約4.3%、2023年度は約4.2%、2024年度は約4.0%でした。

ニチリン(5184)
ニチリンは、自動車に使われるブレーキホースやエアコン用ホース、燃料・油圧ホースなどの自動車用ホースを中心としたゴム製品専門メーカーです。また、自動車用ホースの他にもバイクやマウンテンバイクなどの二輪車用ホース、住宅関連の給湯用配管、特殊金属の販売なども行っています。
2024年度の売上高は約714億円、経常利益は約104億円でした。2025年度は売上高が約736億円とやや増収、経常利益は約86億円とやや減益となる予想です。売上高が好調にも関わらず経常利益が減益となっている理由は、仕入れコストの値上がりおよび円安による為替の影響が挙げられます。
ニチリンの株価上昇の理由は?
2025年11月時点の株価は約3700円です。2012年までは約300円前後だった株価は、ゆるやかな上昇を続け2017年には約3400円まで上昇しました。2019年から2022年にかけて2000円以下で低迷するものの、2024年には約4000円まで回復しています。
コロナウイルスの影響による半導体不足が解消傾向にあることで、自動車生産が回復していることと、円安の影響により海外での業績が好調であることから、株価が上昇傾向にあると考えられます。
株主優待は長期保有者対象
ニチリンの株主優待は、毎年12月末の権利確定日に、100株以上の株式を1年以上保有する株主に対して、保有株数および保有年数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、オリジナルクオカードです。
保有株数と保有年数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

配当金は5年ぶりの減配
2025年度の配当金は、6月末の中間配当で82円、12月末の期末配当で82円の、年間1株当たり164円となる予想です。この金額は、2020年度の45円、2021年度の83円、2022年度の90円、2023年度の150円から4期連続で増配した2024年度の176円より、5年ぶりの減配となっています。
ニチリンの利回りと配当利回り推移
1株3700円で100株購入した場合、投資金額は37万円になります。配当金額は年間1株当たり164円のため16400円となり、配当利回りは約4.4%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約4.9%、2022年度と2023年度は約5.6%、2024年度は約4.9%でした。

INPEXとニチリンの将来性は?
INPEXとニチリンについてご紹介しました。両銘柄とも高配当に加え株主優待でクオカードがもらえる人気銘柄です。さらに、近年は業績が好調で、株価も上昇傾向にあります。
しかし、INPEXは、原油価格と為替の影響を大きく受ける特徴があり、ニチリンは今期、コストの値上がりや為替、関税の影響で減益となりました。今後、経済状況や為替、他国の政治状況などさまざまな要因によって株価が大きく下落するリスクのある銘柄です。
将来的に株価上昇や高配当が続くかどうかは不透明です。投資先として検討する際は、配当利回りだけでなく、業績や株価、為替、政治経済など様々な情報に常に注意が必要です。
