過去の「あの銘柄を買ってみた!」で取り上げた銘柄のその後を追跡する本企画。今回は、2024年4月に取り上げた日本ビルファンド投資法人(8951)のその後の値動きを検証します。

分割発表を機に基調が上向きに
J-REITの時価総額首位を誇る同銘柄ですが、2024年4月~5月当時はREIT指数全体の下げトレンドに押され、横ばい圏での推移が続きました。
転機となったのは2024年8月の1対5の投資口分割の発表です。流動性向上につながるとの期待から好感され、下げ止まりを確認。2025年に入ると、REIT市場全体の回復も追い風となり、明確な上昇トレンドへと転じました。

1年半強で約25%の上昇
購入して保有し続けていた場合の損益をシミュレーションしてみましょう。なお、手数料・税金等は考慮しません。
・購入時(2024年4月16日): 600,000円
・直近評価額(2025年12月23日時点): 142,800円(現在の投資口価格)× 5口(分割後)→714,000円
2025年11月27日の高値(151,800円)時点では759,000円に達する場面もありました。
さらに、保有期間中の分配金も加わります。
2024年6月期:13,082円(分割前1口)
2024年12月期:12,310円(2,462円×5口)
2025年6月期:12,475円(2,495円×5口)
分配金合計:37,867円
2025年12月23日時点で評価額と分配金を合わせると計75万1867円となります。
購入時の60万円に対して、15万1867円(25.3%)のプラスとなっています。
投資口価格上昇により分配金利回りは低下
「買ってみた」時点での予想分配金利回りは4.08%でした。しかし、足元では価格上昇に伴い利回りは低下しています。
2025年12月23日時点でビルファンドの分配金予想は以下のようになっています。
2025年12月期(予想): 2,420円
2026年6月期(予想): 2,448円
これをもとに計算した年換算予想利回り(12月23日終値:142,800円で算出)は3.41%となります。
ビルファンドは好立地なポートフォリオへの信頼が厚い分、市場の評価が高まりやすく、J-REITの中では利回りが低い(=価格が割高に評価されている)部類に入ります。
今後は分配金の「成長性」が鍵に
現在、日本の長期金利(10年債利回り)は2%を上回る水準まで上昇しています。安全資産である国債の利回りとREIT利回りの差が縮小すると、REITの追加的な買い上げには慎重な見方が強まります。
今後の焦点は、分配金の増額期待が高まるかどうかです。 12月には積水ハウス・リート投資法人(3309)が分配金見通しを引き上げ、投資口価格が急伸しました。個別銘柄にポジティブな材料があれば、さらなる上昇余地があることを示しています。
時価総額の大きいビルファンドの分配金の増加期待が高まるようなら、他の銘柄にも買い安心感が出てきます。J-REITを代表する銘柄として牽引役となれるか、今後の動きが大きく注目されます。



