米CPIで右往左往
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年12月25日10時頃、対円では1367万円台と前週(7日前)比で約2.2%高い水準で取引されています。BTCドルが8万7600ドル台と、月初来では約3%の下落率とまだ上値が重い印象です。
この1週間、BTCは明確な方向感を見いだせませんでした。先週後半には、マクロ指標で右往左往します。
18日に米労働省が発表した11月米消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回り、米連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利下げに対する期待感が高まりました。金利先安観の強まりはリスク資産にとってポジティブな材料であり、BTCも買いで反応します。
しかしながら、BTCはあっさりと失速しました。18日NY午後(日本時間19日早朝)には対円で1315万円付近/対ドルでは8万4400ドル前後と、CPI後につけた高値から約5.5%下落。米政府機関の閉鎖で発表が遅れた11月CPIは、データ収集の欠落があると懐疑的な見方が広がりました。インフレ減速を決め込むのは早いと、指標発表後に作られたロングを手放す動きが進みました。

※Trading Viewより
日銀イベントが支援材料に?
19日アジア時間にBTC相場は反発します。きっかけは日銀の金融イベントでした。日銀はこの日、2日間開いた金融政策決定会合で、政策金利を30年ぶりに高い水準となる0.75%に引き上げを決定しました。利上げや引き上げ幅は市場予想通りでした。
日銀による地ならしが済んでいたため、市場は完全に今回の決定を織り込んでいました。そのため、為替も円高には振れませんでした。そういった中で、植田日銀総裁の定例会見を迎えます。
植田総裁は追加利上げについて言及はしたものの、市場が警戒していたほど積極的な(いわゆるタカ派的な)姿勢を見せませんでした。日銀の利上げペースは速まらないとの安心感が広がる中、為替は一気に円売り一色に。株先物も急騰しました。
リスク志向ムードが広がる中、BTCも対円で1400万円超え、対ドルでも8万9000ドルを上抜けました。米国勢の本格参入後は荒い値動きとなりましたが、下押し一巡後は再び買いが優勢に。クリスマスウィークに入ると、BTC円は1426万円台と12月12日以来の高値をつけました。BTCドルも9万500ドル台まで上げ幅を広げています。

※Trading Viewより
ETF、足もとでは流出超だが「中核」に…
さて、今年も残すところ1週間を切りました。今週はプレゼント相場になるかと思いきや、逆に火曜日以降はBTC売りに押されます。対円では一時1350万円前後、対ドルで8万3600ドル台まで上値を切り下げました。
米国で上場されている現物ビットコインETFも流出が目立ちました。暗闘資産情報サイトCoinMarketCapによれば、18日から24日まで5営業日連続でフローは流出超を記録。上昇した22日でも、ETFは資金を集められなかったということです。

※CoinMarketCapより
足もとの現物ETFはさえない状況ですが、世界最大の資産運用会社ブラックロックの提供しているETFの中では重要度が増しています。
「2025年の3大投資テーマにビットコイン現物ETFを選出」コインデスク
同社の現物ビットコインETFは「iシェアーズビットコイントラスト(IBIT)」という名称で、運用資産残高(AUM)は680.5億ドルと同様のETFの中では最大です。年間リターンはプラスとマイナスの瀬戸際ですが、この1年間で約250億ドル超の資金が流入しました。
ブラックロック社は2025年の投資総括において、ビットコインの現物ETFを今年の3大投資テーマの一つとしました。上記の記事では、「中核資産」として位置付けられた点を強調しています。
タイミング次第では
さて、ブラックロックの現物ビットコインETF「IBIT」において、興味深いリサーチを見つけました。こちらは12月10日のX投稿です。

金融リサーチのBespokeによると、2024年1月11日から始まったIBITを初日に買い、そのまま保有していると92%の値上がり率ということです。しかしながら、このETFを時間外だけ保有していると利益率は220%以上に跳ね上がります。米株式市場の取引終了時間(東部時間16時)に「買い」、翌営業日の開始時間(同9時30分)に「売る」を繰り返していたら、という話です。
一方で、IBITを通常の時間帯だけ保有していた場合、「1日の始値で買い、その日の終値で売る」を繰り返すと残念な結果に。なんと40%のマイナスになりました。
あくまで、2024年1月から同じことを繰り返した場合であり、保有したままというのが一般的ではあります。ただこの結果から推測されるのが、BTC相場は米国の通常取引時間では売り圧力が高まりやすいということです。逆に、時間外であるアジアから欧州市場、また土日にかけて上昇することが多いと言えそうです。
短期的な売買に興味がある人は、参考になる材料かもしれません。



