「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回は2025年10月に上場したムービン・ストラテジック・キャリア(421A 以下、ムービン)をみていきます。
同社は、コンサルティングファームをはじめとしたプロフェッショナルファームへの人材紹介サービスを提供しており、特に経営コンサルタントの採用支援に強みを持っています。
同社の最大の強みは、自社メディアを通じて求職者の集客ができていることです。2025年9月4日時点で同社ホームページの総ページ数は2万3500ページ超となっており、コンサルティング業界に関心を持った多数の求職者が同社ホームページを訪れています。
また、同社のデータベースには累計で約10.5万人(2025年6月末現在)が登録されており、これらの登録者に対してCRM(Customer Relationship Management)ツールを活用し定期的なコミュニケーションを図るとともに、適時に効果的なキャリアプランの提案を行っています。
今後データベースの登録人材数が増加し、登録人材をフォローアップする仕組みが整うことで、さらなるリピーターの成約増加が見込まれ、長期的な収益獲得につながると同社では認識しています。
同社の初値については、高成長かつ高利益率で業績規模もあることに加え、既存株主にベンチャーキャピタル(VC)はいなこともあり、強いスタートが期待されていました。では、ムービンの上場からの株価の動きをみていきます。
ムービンの株価推移(上場から2025年12月24日まで)
2025年10月6日に東証グロースに上場した同社の初値は2502円と公開価格2080円を上回りました。上場初日は2735円まで上昇する場面もありましたが、終値は2520円と、初値とほぼ同水準となりました。
上場2日目から4日続伸となり、10月10日には高値で3000円まで上昇しました。ただ、終値での3000円の大台乗せとはならず、その後は2000円台後半での推移となりました。
次の3000円大台チャレンジは上場から3週間後。10月27日に高値3100円、28日に高値3070円をつけましたが、残念ながら終値では3000円に到達できず、その後はずるずると下値を切り下げる展開となりました。そのような状況で上場後初の決算発表を迎えます。
同社は11月12日、25.12期3Q累計(1-9月)の連結営業利益は14.4億円だったと発表しました。通期の会社計画15.7億円に対する進ちょくは91.5%となっています。
キャリアアドバイザー数は順調に増加し、この採用したキャリアアドバイザーの早期戦力化に向けた育成強化にも取り組んだことや、2025年9月末時点において自社データベースの累計登録者数が約10.8万人と堅調に推移していることが寄与しました。
この決算を受けた翌営業日(13日)の株価は買いで反応。終値は3260円(前日比502円高)となり、ようやく終値で3000円台到達となりました。11月18日には3635円まで上昇し、これが2025年12月24日時点での上場来高値となっています。
12月に入り徐々に下値を切り下げ、3000円の大台割れとなったものの、直近では再度終値で3000円台乗せています。
【ムービンの日足チャート(上場から2025年12月24日まで)】

今後について
25.12期3Q累計の営業利益の通期の会社計画15.7億円に対する進ちょくは91.5%となっており、通期の上振れが期待されます。また、26.12期のさらなる業績拡大も期待されます。なお、26.12期の営業利益が20億円を超えてくるとみているアナリストもいます。来期の業績を織り込む形で株価が徐々に上昇する展開に期待したいと思います。



