食料品の消費税減税について、政府・与党は来年4月から税率を1%に引き下げる方向で最終調整に入りました。政府は8月上旬に閣議決定し、2026年秋の臨時国会に関連法案を提出します。
「新たな給付制度」のつなぎ施策
高市首相が意思決定をした背景は、政府と与野党による社会保障国民会議の合意断念を受けたものです。もともと2026年2月の総選挙にて自民党は食料品の消費税ゼロを掲げており、この公約を実現するための政策決定の位置付けです。
また今回の消費税減税は、中低所得者向けの新たな給付制度が2029年度から導入されるまでの「つなぎ」としての措置です。現時点の実務者協議で示されているように、消費税の税率を1%残し、この1%の範囲内で給付を先行実施する方法などが議論されています。
「食料品」の定義
今回の消費税減税における最大のポイントは「食料品」の定義です。消費税は間接税といい、法律上の納税義務者と実際に税を負担する者が異なる税金を指します。事業者がいったん税を納めますが、その負担は商品やサービスの価格に上乗せされ、最終的に消費者が負担するという特徴があります。
「食品表示法」が対象となるか
では膨大な対象商品のなかから、どうやって食料品か否かを決めるのか。大きな参考になるのが、令和元年に実施された「消費税の軽減税率制度」です。
このとき消費税は大幅に8%から10%に引き上げられました。低所得者に配慮する観点から、酒類・外食を除く飲食料品と定期購読契約の新聞のみ、8%に据え置かれました。なぜ新聞が対象なのかと大きな議論になったことが記憶に新しいところです。
当時も飲食料品に該当するか否かは大きな注目点となりました。
酒類(アルコール1度以上)は対象外。みりんや料理酒は酒類に準じるものの、ノンアルコールビールやみりん風調味料は軽減税率の対象
外食やケータリングは軽減税率の対象外。店内での飲食サービス提供かどうかで判定
おもちゃ付き菓子などは「一体資産」と定義され、食品部分の価格が全体の3分の2以上かつ税抜価格1万円以下の場合に軽減税率の対象になる
今回も上記の基準が適用されることになると考えられます。
今回適用されると「7%」の差
なお今回食料品として認められると、現行の8%から1%という「7%の軽減」となります。令和元年の軽減税率と比較しても、大きな差が生じます。各社は食料品に該当しなかったと諦めるのではなく、ビジネスチャンスとして食料品に適用される商品を提供することでしょう。ここに私たち投資家の注目ポイントがあるように思います。
(1)酒類・みりん
いくら近年の低アルコール風潮が進んでいるからといって、アルコール度数1度以下の商品が並ぶ可能性は低いと考えられます。見方を変えれば酒類という定義ではなく、ノンアルコール商品に僅かなアルコールを含ませるという「ローアルコール飲料」が生まれるかもしれません。実際に現時点でも3%前後の商品が販売されており、高いアルコールを忌避する消費者層に支持されています。同様にみりんや清酒という調味料メーカーなどは開発力も高く、注目点といえるでしょう。
(2)外食・ケータリング
軽減税率の際にもっとも議論になったのが「外食には軽減税率が適用されない」という点です。今回も同様に適用されないと、税負担だけで大きな価格差となり、まさに死活問題となるでしょう。
(自分たちのビジネスモデルは)外食ではないという展開ができる会社があれば、大きな注目を受けることは間違いありません。ただ消費税法上、ケータリングは軽減税率の対象外とされており、踏み込んだ表記がされていることを考えると、あまり目立つ事業展開は脱法行為とも見られかねず、ブランディングの難しい側面もあります。
現状、投資家は食品表示法を見ながら、頭一つ抜ける会社がどこなのかを判断し、銘柄に注目しておくべきといえるでしょう。
(3)「レジスター」に注目
食料品ばかりに目が向きますが、隠れた注目点が「レジスター」です。少なからず適用税率の変更が日本中のレジに必要なため、改修案件が大幅増加することでしょう。また、今回の減税は「2年間の限定付き」です。2年後に元通りにする改修案件が同時に約束されたという見方もできます。
レジスター(POSレジ)の国内シェアはターミナル型とタブレット型に分かれており、前者のターミナル型は東芝テック、NECプラットフォームズ、富士通フロンテックなどが上位です。またタブレット型はAirレジやスマレジ、ユビレジなどシェア上位の顔ぶれが変わります。
いずれもレジスターの専門業者ではないため、「レジスターに大きな需要が発生したとき、株価へのインパクトはどれくらいか」という読みが重要なものとなるでしょう。合わせてクラウド型の会計・財務ソフトなどを提供している会社にも恩恵があるでしょう。臨時国会で方向性が見える秋口が「仕掛ける」ポイントと見てよさそうです。



