AI時代のFDE教育「一歩前」に市場は隠れているか

「AIについて知りたいです」という連絡を受け、時間になっても待てど入室がない。もしかしてGoogle Meetは不慣れなのかな?と思いZOOMを案内するも変わらず。しびれを切らして電話をかけると、「オンライン会議には不慣れで入室できないです」という回答が返ってきます。口頭でオンライン会議の入り方を案内するのは、とても難しいものです。そのときの先方のお詫びを聞いていると、私たちはもう少し「丁寧に」AI時代を進めるべきではないのかという自責の念にかられます。

 

「FDE教育」という流行語

 2026年の後半になって、FDE教育という言葉をよく耳にするようになりました。FDE教育とは、顧客の現場に深く入り込んで、課題解決やAI・システムの定着を担うエンジニア(最前線配置エンジニア)を育成するための実践的な教育・研修プログラムです。

 

AIは数年前から社会インフラとなってきましたが、とりわけ2026年はAIブームが到来しています。もともとこの領域に前向きな人たちが盛り上がっているわけではなく、「新しいものに対して抵抗感がある」方々についても「ついに」AIが浸透してきた印象を受けます。誰でもインターネットを触るようになった空気感にとても近いものです。

 

インターネット不慣れのまま「エージェント型AI」を使えるか

 2026年現在、AIといえばChatGPT(OpenAI)やGemini(Google)、Copilot(Microsoft)、そしてClaude(アンソロピック)が提供するチャット型のAIがあります。無料でもある程度使用できるうえ、有料版を選択しても月数千円という安価で利用できます。これらはAIの背後にあるデータを不特定の人が使用できることから、「オープン利用型AI」と呼ばれます。

 

次段階と位置付けられているのが「エージェント型AI」です。利用者のパソコンやインターネットへの接続を通して、作成した資料をメールから送信したり、カレンダーと連携したりできるものです。例えるなら会社の「秘書」に近いでしょうか。自分で考えて動くことから、「自律型AI」という名称でも呼ばれます。アンソロピックの「Claude Code」が代表格です。


 

Claude Codeのトップ画面:Claude Code

 

筆者も有料課金のうえでClaude Codeを使用していますが、「意外に難しい」というところが率直な感想です。codeという名称がついているように、もともとはエンジニア(開発者)向けのサービスであることがわかります。開発コードを保存するGitHubと連携するなど、インターネットを使い慣れている人間でも躊躇する仕組みです。

 

転じてFDE教育は、誰でもAIを使えるようになろう!という温度感で進んでいきます。講師やコンサルタントを担うのはエンジニア出身か、AIに明るく説明力がある専門家です。インターネットを使えないという層が周囲の熱に焦ってAI講座やツールを申し込み、自分では思うように操作できないのかと自信をなくすことが想定されます。この距離感が本日のテーマです。

 

FDE教育の「一歩前」にある市場

 国はAIなどの習得にリスキリング学習の仕組みを整備し、推奨してきました。そのうえで考えられるのは、AIの勢いについていけない利用者側の自信の補填に、まだ開拓されていない大きな市場があるのではということです。

 

専門家とはいわずとも、月並みにオープン利用型のAIを利用できるように、底上げのニーズがあります。現状のAIに限らず、新しいモノが提供された際に躊躇することなく試し使いができるように、コンサルタント・ビジネスの可能性もあります。教育業界や研修業界は人に教えるというノウハウが確立されているため、これらの新規事業を展開しやすいでしょう。

 

また「AI難民」となりやすいのは高齢者です。高齢者施設や介護施設などが上記の専門人材を集め、事業を展開する可能性もあります。

 

そして、何より期待したいのは、この市場を担うのも「AI」自身が行う可能性です。企画倒れに終わってしまいましたが、FP(ファイナンシャルプランナー)である筆者は2025年夏に某社から「FP界のPepper君を作りたい」という打診を受け、12万字もの模範応対文章を作成しました。プロンプトの前段階というところでしょうか。この応用で、AIをわかりやすく、自信を維持させながら提供するサービスが期待されます。

 

既に市場では、これらの領域にサービスが提供されはじめている印象です。参入障壁の高くはない領域のため、これから各社のサービスが競合し、しのぎを削っていくことで顧客満足度の高いサービスが提供されていくことでしょう。

 

AIの登場によって、日本における教育格差の問題も解決に向かっていく副次的作用が期待できる可能性が生まれてきました。FDE教育の一歩前に隠れている市場に期待し、勝ち残るビジネスを待ちたいものです。

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

FP事務所MYS代表。ファイナンシャルプランナー(FP)。日本最大級のマネースクール事業に参画。上場株、貴金属、為替のほか、これまで約700本の執筆記事を手掛ける。1982年北海道生まれ。

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