SNSで広がった間違った日経批判
これだけSNSが普及している現在、FXの世界でもSNSが重要な情報源となっていることに変わりはありません。
世界一の権力者とも言われる米国大統領でさえ、SNSを通じてさまざまな情報を発信しているほどです。
ただ、SNSの世界では、あまりにも出鱈目な情報や、確認作業をしていないにもかかわらず、事実を否定するような発信が拡散されることがあります。
また、自分の意に沿わない情報に対して、揚げ足を取るような反応も少なくありません。
特に気になった例として、9月上旬にSNSで広がった話を取り上げたいと思います。
それは、日経新聞が掲載した「米財務長官、『リフレ政策やめるべきだ』と日本に伝達」という記事に対する反応です。
この記事に対してSNSでは、「ベッセント米財務長官はそのような発言をしていない」という内容が大きく拡散され、日経新聞に対する非難の声が高まりました。
さらに一部では、G20後の会見でベッセント氏がアベノミクスを称賛し、これからは「タカイチノミクス」を進めるべきだと述べたとして、日経新聞の記事内容を否定する発信まで見られました。
こうした情報がSNSで次々と拡散されるのを見て、個人的にはあまりにも大きなクエスチョンマークが浮かびました。
確かに、ベッセント氏は「Abenomics was a tremendous success.」と述べ、アベノミクスを称賛しています。
しかし、その直後に「[but] Japan should actually let that run and stop the reflation」と、はっきり述べています。
「stop the reflation」――つまり、「リフレ政策をやめるべきだ」という意味です。
このように明確な発言をしているにもかかわらず、SNSでは「リフレ政策をやめるべきだ」という部分が削られ、アベノミクスを称賛した部分だけが切り取られ、多くの人がリツイートしていました。

フラットで見れないとSNSは百害あって一利なし
実際に、このベッセント氏のG20後の会見は、筆者自身がテレビで見ており、何を発言していたのかを把握していたため、余計に驚いたわけです。
しかも、日本にいながらBloomberg TVやCNBCなどで会見をオンタイムで見ることはできますし、振り返ればYouTubeなどで検索することもできます。
それにもかかわらず、切り抜かれた情報だけを見て日経新聞などを批判し、自ら確認やファクトチェックをしないまま情報を拡散することには、憤りすら覚えます。
このように、SNSでは自分に都合の良い部分だけが切り取られ、偏った情報が伝わってしまうことがあります。
誤解を生みたくないので明記しておきますが、私は高市政権や安倍政権を批判しているわけではありません。
ただ、おそらく高市政権やかつての安倍政権を支持する人たちからすると、自分が支持する政権に対する批判につながる情報に対して、強い拒否反応が出てしまうのでしょう。
しかし、このような偏った見方は、FXの世界でも大きな害になります。
例えば、自分がドルロングを保有していれば、ドル買いを支持する情報ばかりに目が向き、ドル売りにつながる重要な情報についても、自分に都合の良いフィルターを通して見てしまいます。
これは政治でも為替でも同じです。
FXであっても時事問題であっても、自分が支持するものを持たず、常にフラットな視点で物事を見ることが重要です。
政治思想であれ、為替ポジションであれ、自分の立場に都合の良い情報だけを集めていては、事実を正しく見ることはできません。
相場で生き残るためにも、SNSで拡散されている情報をそのまま信じるのではなく、自分自身で一次情報を確認し、反対側の情報にも目を向ける姿勢が必要なのではないでしょうか。



