街の商業施設で、カプセルトイの機械がずらりと並ぶ専門店を見かける機会が増えました。かつては子どもが小遣いで楽しむ玩具という印象が強かった「ガチャガチャ」ですが、いまでは大人向けの娯楽に変わり、なかでも女性向け商品の広がりが市場の成長を後押ししています。
日本カプセルトイ協会によると、2025年の市場規模は出荷ベースで約1960億円。前年の約1410億円から39%増え、2022年の約720億円と比べると約2.7倍になりました。専門店も2026年1月末には全国900店を超えています。商品単価の上昇も含まれますが、カプセルトイが身近な娯楽として定着してきたことがうかがえます。
人気を象徴するのが「めじるしアクセサリー」です。小さなキャラクターの飾りを傘の持ち手やハンディ扇風機などにつけ、自分の持ち物の目印にします。お気に入りのキャラクターを身近に置けるだけでなく、実用品としても使える。飾って眺める玩具から、日常で使う雑貨へと用途が広がった点が特徴です。
こうした商品は、好きなキャラクターを応援する「推し活」とも相性がよく、SNSで見せたり、複数種類を集めたりする楽しみもあります。サンリオなど幅広い世代になじみのあるキャラクターが使われていることも、女性を中心に購入者を広げる要因になっています。

こうした人気は関連する企業の業績にも影響を及ぼしています。一例として、ハピネット<7552.T>を挙げます。同社は、玩具やゲームの流通に加え、カプセルトイ専門店「ガシャココ」などを運営する企業です。カプセルトイやキッズカードゲーム機を含むアミューズメント事業が好調で、9月28日に4-9月期の業績を上方修正しました。店舗の増加に人気商品の販売が重なり、会社の期初計画を上回るペースで業績が伸長しています。
同事業の年間営業利益は、2024年3月期の約22億円から2026年3月期には約52億円へ、2年間で2倍以上になりました。玩具やゲームを流通させる企業として知られてきたハピネットにとって、専門店などを通じて消費者に直接販売する事業の重要性が高まっています。
トレーディングカードや「一番くじ」の好調も含まれるため、上方修正の要因はカプセルトイによるものだけではありません。それでも、会社の成長をけん引する柱の一つに育っていることは確かです。
メーカー側でも、バンダイが「ガシャポン」の海外出店を加速しています。2026年10月時点では、日本を除く18の国・地域で184店舗を展開しており、北米や南米への出店も計画しています。
今後の焦点は、めじるしアクセサリーに続く商品を継続して生み出せるかです。女性向けの身近な雑貨として買う習慣が定着すれば、個々のヒット商品が入れ替わっても市場は成長を続けられます。数百円の小さな楽しみは、玩具市場の客層を変え、関連企業の収益構造にも変化をもたらしています。


