国交省が排水目標引き上げを検討 内水氾濫対策で注目される企業

国土交通省は、都市部で相次いでいる「内水氾濫」を防ぐため、下水道などの排水目標を引き上げる検討に入りました。


内水氾濫とは、河川の堤防が決壊して起きる洪水とは異なり、短時間に降った雨を下水道や排水施設で処理できなくなり、道路や住宅地に水があふれる現象です。都市部では地面の多くがアスファルトやコンクリートで覆われているため、雨水が地中へ浸透しにくく、局地的な豪雨が降ると短時間で下水道に水が集中します。


近年は、これまでの排水施設が想定していた水準を上回る豪雨が各地で発生しています。国が排水目標を引き上げれば、自治体は下水道計画を見直し、下水道管の増強、排水ポンプ場の新設や能力向上、雨水貯留施設の整備などを進めることになります。


関連企業としてまず注目されるのが、排水ポンプメーカーです。電業社機械製作所<6365.T>は、市街地や農地の浸水を防ぐ大型排水ポンプや排水機場を手掛けており、今回の政策との結び付きが強い企業です。鶴見製作所<6351.T>も、水中ポンプや機場用大型ポンプ、緊急排水設備を展開しています。豪雨時の応急排水から恒久的な施設整備まで、幅広い需要に対応できる点が特徴です。


電業社機械製作所の日足チャート


荏原<6361.T>も河川や下水道向けの大型排水ポンプを扱っています。首都圏外郭放水路など大型施設への納入実績を持つ有力企業ですが、半導体製造装置関連などほかの事業も大きいため、排水投資が連結業績に与える影響は、電業社機械製作所などと比べると限定的になりそうです。


設備工事に先立って仕事が増える可能性があるのが、水インフラの調査・設計を行うNJS<2325.T>です。排水目標が変更されれば、自治体は降雨想定や浸水シミュレーションをやり直し、雨水管理計画を改定する必要があります。そのため、実際の設備発注より先に、調査やコンサルティング需要が発生する可能性があります。


都市部では、下水道管を全面的に太くすることが難しい地域もあります。そこで重要になるのが、雨水を地下に一時的にため、雨が弱まってから徐々に放流する貯留施設です。この分野では、コンクリート製の地下貯留施設を手掛けるベルテクスコーポレーション<5290.T>が候補になります。下水道管や推進工法に強い日本ヒューム<5262.T>も、管路増強や雨水貯留設備の整備が広がれば恩恵を受けそうです。


今回の方針はまだ検討段階であり、直ちに各社の受注が増えるわけではありません。今後は、排水目標がどこまで引き上げられるのか、自治体に計画改定を求めるのか、国がどの程度の補助金を用意するのかが焦点です。具体策が国土強靱化予算などに盛り込まれれば、排水ポンプ、上下水道コンサルティング、雨水貯留施設を中心に、息の長い政策テーマへ発展する可能性があります。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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