中東情勢の緊迫化が続き、原油価格の高止まりと米長期金利の底堅さがドル円相場を下支えしています。サウジアラビアとイエメンの親イラン武装組織フーシ派による「中東戦闘激化」が原油の供給途絶懸念を招き、米国のインフレ再燃への警戒感を高めています。マーケット参加者は、地政学リスクが米金利やドル円に及ぼす影響と、上値を抑える国内外の要因を慎重に見極める必要があります。
原油高が米金利を下支え、「中東戦闘激化」市場を揺らす
「中東戦闘激化」を背景に、原油市場では供給不安への警戒が一段と強まっています。サウジアラビアとフーシ派の交戦が週末にかけて激化し、首都リヤドの国際空港やサウジアラムコの石油関連施設への攻撃が伝わりました。イランのアラグチ外相が対話の仲介を申し出たとの報道もありますが、ホルムズ海峡を巡る運航制限姿勢など不透明な要素も残り、事態の沈静化は見通せません。
石油輸出国機構(OPEC)は月報で、今年の世界石油需要の伸び見通しを大幅に下方修正しました。一方、WTI原油先物は1バレル=95ドル台をうかがう水準へ上昇しました。需要の伸び鈍化が見込まれるなかでも供給不安が原油価格を押し上げており、エネルギー高が米国のインフレ圧力を根強く残すとの見方につながっています。これが米長期金利の低下を抑え、ドル円の下値を支える一因となっています。
米露首脳の電話会談を受け、ロシア産軽油の供給拡大が材料視される場面もありましたが、中東情勢への警戒が続くなか、原油価格の上昇圧力は維持されました。原油高が長期化すれば、米インフレへの警戒を通じて米金利が底堅さを保ち、ドル買いを後押しする可能性があります。
ドル円は158円台後半へ、159円台をうかがう展開か
こうした地政学リスクと米金利の動きを背景に、ドル円は相場の強弱の分岐点とされる200日移動平均線(158.50円台で推移)を攻略する局面にあり、テクニカル面でも上値を意識した動きとなっています。米金利の底堅さを背景に、159円台乗せをうかがう様相となりつつあります(図表参照)。

もっとも、上値追いが一方向に進むとも限りません。中東情勢の沈静化や外交交渉の進展によって供給不安が後退し、原油価格が下落に転じれば、米インフレへの警戒が和らぎ、ドル買いの勢いが鈍る可能性はあります。原油価格と米金利の連動性を見極めることが、ドル円の方向性を探るうえで重要です。
国内要因では、日銀の金融政策を巡る思惑も円相場を左右します。いったん落ち着いている利上げ観測が再び強まれば円買い戻しにつながり、ドル円の上値を抑える要因となるでしょう。さらに、ドル円が160円に接近する局面では、本邦通貨当局による円安牽制発言やドル売り・円買い介入への警戒感が高まり、上値の重さが意識されやすくなるとみます。



