今回解説していく通貨は南アフリカランド円(ZAR/JPY)です。2020年来の上昇トレンドは現在も維持されていますが、足もとでは伸び悩み傾向にあり、いったんは調整局面入りを意識すべきです。その際には9.43円や9.24円などが主要なサポート水準になるでしょう。
ファンダメンタルズでは南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)が年内の金利据え置きを示唆。インフレが想定通りに鈍化していくといずれ利下げに向かうとしています。
今後のランド円の相場焦点:中銀の利上げは今回で打ち止めか
まずは南アフリカの現在の金融政策状況を確認していきます。
南アフリカ準備銀行(SARB)は2024年9月に金融緩和を開始。2025年11月に政策金利を6.75%まで引き下げましたが、2026年5月から再び金融引き締め局面へと移行しました。現在の政策金利は7.25%です。
●SARBが金利の引き上げを決めた9月直近会合の声明文では
・インフレ率について短期的な予測を上方修正
・現時点では2027年末までにインフレ率は3%前後に戻ると予想
・中銀の四半期予測モデル(QPM)による予測では、政策金利は今年後半にかけて概ね安定的に推移すると見込む
・インフレ率が3%まで低下し、QPMがより中立的な政策スタンスに移行するにつれて、予測後半には利下げが行われると予測
・(インフレ期待と賃金上昇率が高いシナリオでは)政策スタンスがより引き締められ、基準となるピーク値から1-2回の利上げが行われ、金利がより長い期間高止まりする
などの見解が示されました。
SARBが示した基本シナリオでは「年内は金利据え置き、その後はインフレの鈍化とともに利下げに向かう」とされていますが、このシナリオ通りに進むかどうか今後もインフレ動向などを慎重に見極める必要があるでしょう。
ランド円の週足分析:調整局面入りか
下図はランド円の週足チャートになります。

現在も2020年4月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)内での推移が続いています。ただ、足もとでは伸び悩みの気配も見られ、チャート下部に追加した「DMI」でも現在は-DI>+DI(下落トレンド)を示唆。トレンドの強さを示すADXが上昇基調へと転じた可能性もあり、ここからは上昇トレンド内の調整局面入りを考慮するべきでしょう。
ランド円の日足分析:今後の重要サポートは9.43円や9.24円など
今度はより短期的な視点でランド円の調整局面について探っていきます。下図はランド円の日足チャートになります。

今後を占う上でポイントとなりそうなのが、8月3日安値の9.43円付近(チャート上の青色点線)です。同線付近を本格的に下抜けると7月と8月につけた高値をダブルトップとするネックラインをブレイクすることになります。
さらに重要なサポート水準となるのが3月23日につけた年初来安値の9.24円(チャート上の青色実線)でしょう。同水準を下抜けてしまうと昨年4月からの上昇局面も本格的に転換。9円割れを目指して一段と調整余地が広がることになりそうです。
今後の取引材料・変動要因をチェック:南アのインフレ推移に注目
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日銀の金融政策。現時点では金利の据え置きが見込まれており、12月の会合で追加利上げが実施されるとの見方が広がっています。今回の声明文などで12月の追加利上げに向けた地ならしが行われるか注意してみておきましょう。
南アフリカ準備銀行(SARB)は期間内に金融政策決定委員会は予定されていません(次回開催は11月19日)。「今後のランド円の相場焦点」で触れたように年内は金利据え置きが続く見込みで、目先は中銀の予測通りにインフレが推移するかがポイントになりそうです。なお、SARBは今年後半と2027年初頭に5%を超える可能性が高いが、その後は鈍化していくとしています。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
・10月21日 南ア 9月消費者物価指数(CPI)
・10月23日 日本 9月全国CPI
・10月29-30日 日本 日銀金融政策決定会合



