TOPIXの銘柄入替、株価にはどんな影響がある?

日本取引所グループが10月7日に発表したTOPIXの銘柄入替では、35銘柄が新たに採用されました。日本マクドナルドホールディングス<2702.T>、ワークマン<7564.T>、フリー<4478.T>などが加わります。


TOPIXは、日経平均株価と並んで、日本の株式市場の動きを表す代表的な株価指数ですが、これまではプライム市場に上場する企業のみで構成されていました。それが今回の入れ替えにより、東証のどの市場に上場しているかにかかわらず、会社の規模や株の売買の活発さなどで銘柄を選ぶ仕組みに変更されています。


新しく採用された銘柄の数や主な顔ぶれは、どんな企業だったかというと、前述した日本マクドナルドホールディングス<2702.T>、ワークマン<7564.T>、フリー<4478.T>のほか、セリア<2782.T>、東映アニメーション<4816.T>、トライアルホールディングス<141A.T>など、おおむね事前予想通りとなりました。


この入れ替えは、株価にも影響が生じます。TOPIXと同じような値動きを目指す投資信託や年金運用は、指数に含まれる銘柄を、その割合に合わせて保有しています。そのため、新しい銘柄が加われば、その株を買う必要があるのです。「指数の動きと連動させるために買う」という動きが生まれます。こうした需要をパッシブ需要などと言ったりします。


買いの規模を考える参考になるのが、証券会社の試算です。およそ6000億円から7000億円の買い需要が発生すると見込まれており、その分、新たにTOPIXに組み入れた銘柄にとっては需給面での支えとなります。


また、個別の株価への影響は、買いの金額だけでは判断できません。普段どれくらい売買されているかも大切です。株式市場では、25日分の売買代金から1日分の平均を出した指標が一般的です。


仮に200億円の買いが見込まれる場合、25日平均の売買代金が50億円なら4日分、10億円なら20日分に相当するという考え方です。同じ200億円でも、普段の売買が少ない株ほど影響が大きくなりやすいと言えます。


一方、採用基準を満たさなかった銘柄については、今後売りが生じる予定です。とはいえ、今年の10月末にすべてが一度に売られるわけではありません。指数の中での割合を段階的に減らしていくため、売りも時間をかけて行われるはずです。また、来年の2027年10月の再評価で基準を満たせば、割合を減らす動きは止まります。


いろいろと複雑な話もしましたが、一番気になるのはこれで株価が今後どのように動くか、という点でしょう。実のところ、はっきり上がるか下がるかと予想するのは難しくもあります。


というのも、今回の採用候補は、公開されたルールからある程度予想できました。そのため、採用後の買いを期待して、先に株を買っていた投資家もいます。こうした投資家が、組み入れに伴う買いに合わせて売ってくれば、買いの一部はその売りによって吸収されてしまうでしょう。期待がすでに株価に反映されている場合、採用が決まっても上昇が小さかったり、入替が終わった後に値下がりしたりする可能性もあります。


これから見るべきなのは、採用されたという事実に加え、「どれくらい買われる見込みか」「期待で株価がどこまで上がったか」です。普段の売買に対して買いが大きく、株価の先行上昇が小さい銘柄ほど、注目する理由があります。


最後にTOPIXに入っただけで会社の利益が増えるわけではありません。入替前後の売買の動きと、その先の業績や株価の割高・割安を分けて考えることが大切です。どちらにしても株式市場にとって大きなイベントでもありますので、その変化を見届けていきましょう。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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