アトラエとナレルグループは、どちらも人材サービスを手がけ、配当利回りが4%を超えている高配当株です。今回は、今期3回も利益の予想を引き上げたアトラエと、年間115円の配当を下限に掲げるナレルグループを比較し、配当利回りや決算、株価の動きを解説していきます。
アトラエvsナレルグループ
下記の一覧表は、アトラエとナレルグループの株価、配当の権利確定日、配当金額、配当利回り、株主優待、今年度の業績予想の比較です。配当利回りはナレルグループが約4.8%とやや高く、アトラエは約4.4%ですが、500株以上を持てば株主優待も受け取れます。
配当の権利確定日は、アトラエが10月末の年1回、ナレルグループが4月末と10月末の年2回となります。2026年は10月31日が土曜日のため、権利付き最終日(この日までに買えば配当や株主優待の権利を得られる最終日)は2社とも10月28日(水)です。

アトラエ(6194)
アトラエは、IT系の人材に強い転職サイト「Green」を運営している企業です。転職活動で「Green」を使ったことがある方もいるのではないでしょうか?
また、社員の働きがいや組織の状態を数値にして見える化する「Wevox(ウィボックス)」も提供しています。
アトラエの業績と決算、今期は利益の予想を3回引き上げ
2025年度(2025年9月まで)の売上高は約76億円、営業利益(本業の儲け)は約19億円でした。2026年度は売上高が約83億円に増える一方、広告や人材への投資を増やす年のため、営業利益は約15億円と2割ほど減る予想です。
ただし営業利益の予想は、年度の初めの約11億円から、6月・7月・9月の3回にわたって引き上げられています。三井住友フィナンシャルグループと共同で出資してつくった会社「SMBC Wevox」を通じたWevoxの契約が、想定を上回ったことなどが理由です。
一方で、会社はGreenのサービス改善の成果が想定ほど出なかったとして、7月に売上高の予想を約86億円から約83億円へ引き下げました。8月に発表された9か月間(2025年10月~2026年6月)の決算では、Wevoxの売上高が約29億円と約3割増え、Greenの約31億円に近づいています。
アトラエの株価上昇の理由は?株主優待の新設と予想の引き上げ
2026年9月末時点の株価は約890円です。2021年4月に1株を2株に分ける株式分割を行っているため、以下は分割に合わせた株価で比べます。
2021年に約2800円の高値をつけたあとは下落が続き、2024年には約400円と、高値の7分の1ほどまで下がりました。2023年度に手元へ残る最終利益が前年度のほぼ半分に減ったことなどが、下落の理由と考えられます。
その後は一時持ち直しましたが、2026年3月には再び約630円まで下げ、そこから上昇に転じています。株価が上がった理由は、5月の株主優待の新設と7月の優待の拡充に加え、利益と配当の予想の引き上げが3回続いたことにあると考えられます。
アトラエの株主優待は新設、今年は500株以上なら保有期間を問わず対象
アトラエの株主優待は、2026年10月末の権利確定日から始まり、500株以上保有する株主に対し、保有株数に応じてポイントが贈呈されます。7月の拡充で、500株でもらえるポイントは3000ポイントから1万ポイントに増えました。
初年度の今年に限り保有期間の条件はなく、10月28日(水)までに500株を買えば、1万ポイントを受け取ることができます。案内は12月に届く予定となり、株主限定のサイトに登録して、Amazonギフトカード(1ポイント1円)などと交換できます。ポイントは翌年に持ち越せませんのでご注意を。
ただし、100株では優待はもらえません。2027年10月末からは、前の年の10月末・4月末・その年の10月末の3回続けて、同じ株主番号で500株以上を持っていることが条件となります。2027年も受け取るには、今年の10月末から持ち続けていることが必要です。
株主番号は株主ごとの番号で、一度すべて売ったり、貸株サービス(持っている株を証券会社に貸して金利を受け取るサービス)を使ったりすると変わるため、ご注意ください。また、保有株数に応じて贈呈されるポイントは、下記の一覧表をご確認ください。

アトラエの配当金は39円予想、2期連続の増配見込み
2026年度の配当金は中間配当がなく、10月末の期末配当で年間1株当たり39円となる予想です。初めて配当を出した2024年度の21円から、2025年度は31円に増配していて、今期も年度の初めの予想の33円から3回引き上げられました。
決算期は9月のままですが、2025年12月の株主総会で、配当の権利確定日が9月末から10月末に変わっています。そのため、10月28日(水)までに買えば、今期の期末配当39円の対象になります。支払いの時期は、まだ発表されていません。
会社によると、今期は手元へ残る最終利益の約7割を配当に回す見込みです。ただし、この利益の予想には、社員などがストックオプション(決められた値段で株を買える権利)を放棄したことによる、今期だけの利益約3.7億円も含まれています。これを除くと配当に回す割合はさらに高くなるため、来期も増配が続くかは、来期の利益の伸びしだいと考えられます。
アトラエの配当利回りは約4.4%、500株なら優待込みで約6.6%
1株890円で100株購入した場合、投資金額は約8万9000円になります。年間の配当金は3900円となり、配当利回りは約4.4%です。
株主優待を受け取れる500株では、投資金額は約44万5000円です。配当金1万9500円と優待の1万ポイントを合わせると、利回りは約6.6%に上がります。
なお、各年度の平均株価から計算した配当利回りの実績は、2024年度が約2.9%、2025年度が約4.1%でした。過去の推移は、下記グラフをご確認ください。

ナレルグループ(9163)
ナレルグループは、建設現場で工事を管理する技術者を派遣する「ワールドコーポレーション」(技術者は2026年7月末で約3700人)を中心とした企業グループです。また、グループ会社の「ATJC」では、ITエンジニアの派遣も行っています。
ナレルグループの業績と決算、9か月間は売上高が増えて営業利益は減少
2025年度(2025年10月まで)の売上高は約242億円、営業利益は約28億円でした。2026年度は売上高が約293億円、営業利益は約30億円と、どちらも増える見込みです。
9月に発表された9か月間(2025年11月~2026年7月)の決算では、売上高が約192億円と、前の年の同じ時期より7.3%の増加でした。一方で、人材の採用や新しい事業への投資を続けているため、同じ期間の営業利益は2.6%減りました。
9か月は1年の4分の3にあたりますが、売上高は年間予想の約66%にとどまっています。会社は予想を据え置いていますが、残り3か月で届くかどうかは次の本決算の発表で分かります。
ナレルグループの株価は上場後の高値から下落、2400円前後で推移
2026年9月末時点の株価は約2400円です。2023年7月の上場時は約2500円で、2024年2月には一時約3900円まで上がりました。
その後は下落し、2025年以降は約2100~2700円の範囲で推移しています。2025年度に営業利益が約9%減り、2026年度からの2年間は成長への投資を優先する計画のため、株価が伸び悩んでいると考えられます。
ナレルグループの株主優待は未実施
ナレルグループは、現時点で株主優待制度を導入していません。
ナレルグループの配当金は115円予想、減配しない方針
2026年度の配当金は、4月末の中間配当が55円、10月末の期末配当が60円で、年間1株当たり115円となる予想です。上場した2023年度の95円から、2024年度の110円、2025年度の115円と増え、今期は前年度と同じ金額を据え置く予定となっています。
中間配当の権利確定日はすでに過ぎていて、今から買って対象になるのは期末配当の60円です。今期の支払開始日は未発表ですが、前年度の期末配当は2026年1月15日から支払われています。
また会社は、中期経営計画(2030年度までの会社の目標をまとめた計画)の期間中は減配をせず、年間115円を配当の下限とする方針を掲げています。
ナレルグループの配当利回りは約4.8%
1株2400円で100株購入した場合、投資金額は約24万円になります。年間の配当金は1万1500円となり、配当利回りは約4.8%です。
なお、各年度の平均株価から計算した配当利回りの実績は、上場後の2023年度が約3.9%、2024年度が約3.9%、2025年度が約4.8%でした。過去の配当金と配当利回りの推移は、下記のグラフをご参照ください。

人材サービスの高配当株、アトラエとナレルグループはどっちがおすすめ?
アトラエは今期、利益の予想を3回引き上げ、配当も39円まで増やす予想です。株価も3月の安値から約4割上がりました。
一方のナレルグループは、配当利回りが約4.8%とアトラエより高く、年間115円を下限とする方針から配当の安定感があります。
Wevoxの伸びに期待する方や、500株(約44万5000円)で株主優待も受け取りたい方におすすめなのはアトラエです。配当の安定を重視する方におすすめなのは、ナレルグループとなります。
どちらも10月28日(水)までに買えば、今期の期末配当の対象です。100株なら約8万9000円と約24万円で買える2社を見比べて、自分に合う高配当株を選んでみてはいかがでしょうか?


