ホーム・デポ役員が自社株取得 業績は引き続き好調

ホーム・デポの新任取締役が自社株取得


米ホームセンター大手のホーム・デポ(ティッカー:HD)の取締役の自社株取得が米国証券取引委員会(SEC)の届出書で明らかになりました。


今年3月にホーム・デポの取締役に就任したパウラ・サンティリ氏は、11月16日に平均単価315.80ドルで1583株、総額で約50万ドル(約7000万円)のホーム・デポ株を取得したことが、11月18日付のSECファイリングで明らかになりました。

米飲料大手ペプシコの中南米担当最高経営責任者(CEO)を務めるパウラ・サンティリ氏は2022年3月にホーム・デポの取締役に就任し、今回が初めてのホーム・デポ株取得となりました。

 

住宅リフォーム需要縮小見通しを理由にアナリストは目標株価を引き下げ


一般的に取締役などの内部者(インサイダー)の自社株取得は株価にとって好材料とみられていますが、外部のアナリストなどは別の見方を示しています。

クレディ・スイスはホーム・デポの投資判断を「アウトパフォーム(=買い)」で据え置いたものの、目標株価を従来の450ドルから390ドルに引き下げました。

アナリストは住宅市場の急激な悪化が住宅リフォーム需要の縮小につながるとみています。


リフィニティブが集計するアナリスト36人の投資判断は、「強気買い」が9人、「買い」が15人、「保有」が11人、「売り」が0人、「強気売り」が1人で、1カ月前と比較して「強気買い」が1人減り、「買い」が1人増えました。


目標株価の平均値は、342.39ドルで、3カ月前の359.64ドル、2カ月前の356.30ドル、1カ月前の353.29ドルから低下傾向にあります。


業績は引き続き好調 見通しも据え置き


ホーム・デポの株価(以下、終値ベース)は2020年2月20日の247.02ドルから、新型コロナウイルスのパンデミックで2020年3月に152.15ドルまで急落しましたが、在宅ワークに伴う住環境改善需要が高まったことで2021年12月7日には416.18ドルまで急上昇しました。


2022年に入るとコロナパンデミックが収束に向かい、リフォーム需要の減少見通しを背景に株価は下落基調が強まりました。6月に268.98ドルまで下落後、好調な4-6月期決算が好感され8月16日には327.38ドルまで反発しました。その後9月26日に266.58ドルまで下落し、年初来安値を更新しました。


しかし、大型ハリケーン「イアン」が9月下旬に米南部フロリダ州に上陸し、多額の被害の予測が伝えられたことで、住宅修繕需要の増加期待を背景に株価は再び8月高値を伺う展開となっています。



リフォーム需要の低下見通しを背景に株価は2021年12月高値から大きく下落した水準で推移する一方、足もとの業績は引き続き好調でした。


11月15日に発表された2022年度第3四半期(8-10月)決算は、売上高が前年同期比5.6%増の388億7200万ドルとなり市場予想の379億5600万ドルを上回りました。純利益が同5.1%増の43億3900万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は4.24ドルと市場予想の4.12ドルを上回りました。


インフレ高進による消費減速が懸念されたものの、既存店売上高は全体で前年同期比4.3%増となり、米国内の既存店売上高は4.5%増と好調を維持しました。


今後についても強気な見通しを示しました。同社は2022年通期の既存店売上高を前年比3.0%増と従来の見通しを維持し、営業利益率が約15.4%、調整後の一株当たり利益の伸びを一桁台半ばの伸びとし、ともに従来見通しを据え置きました。


国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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