REIT指数は1800p台を超えて上昇加速
REIT指数の強い動きが続いています。7月に入ると1800pより上が定着しており、直近では1850pの節目も超えてきました。4月、5月に続いて6月も月間で上昇していますが、7月も大幅上昇が濃厚となっています。
日本ビルファンドが年初来高値を更新
J-REITに資金が向かっていることが確認できる事例の一つとして、大手の日本ビルファンド(8951)が7月に入って年初来高値を更新していることが挙げられます。
大手は分配金利回りの点では中小型REITに見劣りしますが、流動性は相対的に高いですし、安定感もあります。指数がある程度水準を切り上げたこのタイミングで、大型REITの動きが良くなってきたことは、裾野の広がりを示唆します。
ビルファンドに関しては、4月にも動きが良くなったことを「上値を試す大手オフィスリートと戻りを試す星野リート(4月23日)」で取り上げました。4月から5月にかけては、2024年9月につけた戻り高値の13万7000円に接近したところでいったん上値が重くなりました。しかし、小休止を入れた後、再び騰勢を強めて13万7000円を上回っています。
変化したトレンドは長く続く傾向
REITに関しては、いったんトレンドが変化すると、そのトレンドが長く続く傾向があります。
利回り商品で債券と比較される性質がありますが、債券市場も短期間で乱高下するようなことは少ないだけに、相対的にREITが優位か劣位かがある程度定まってくると、動いた方向に勢いがつきやすくなります。
REIT指数はコロナ禍から立ち直り、2021年7月に2200pの節目を回復した後は、長く下げトレンドが続きました。いったん基調が下向きになると、動きが良くなれば戻り売りに押され、分配金利回りが高水準でもそれだけでは買いが入りづらくなります。
一方、昨年の12月に1611pまで下げた後は、基調が上向きとなっています。それまでの下げトレンドが長かった分、2025年の前半は一進一退が続いていましたが、下値が固くなって底打ち感が鮮明となってきたことで、4月辺りからは水準を切り上げています。
米国の利下げ期待と日本の景気回復期待がJ-REITの追い風に
米国に関しては「トランプ関税」がインフレを招くリスクが意識されてはいるものの、そろそろ利下げ再開もありそうな状況となっています。日本に関してはここにきて利上げが再開するとの思惑が浮上してはいますが、日銀がガンガン金利を上げ続けるような環境ではありません。景気回復への期待が高まる中で緩やかに金利を上げていくのであれば、不動産賃料の上昇が見込まれるという点でREITにはプラスの要素もあります。
REIT指数は流れが向かない期間も長かったですが、ようやく安値圏を脱してきました。2200pから1611pまでの下げの半値戻しとなる水準やざっくり1900pとなりますので、まずは同水準を回復できるかが注目されます。早々に回復できるようなら、そのことが新たな買いを呼び込む好循環が発生する展開も期待できそうです。