米国株11月月間回顧　ダウ平均、S&P500、ナスダックがそろって大幅続伸

11月はダウ平均、S&P500、ナスダックがそろって大幅続伸

11月の米国市場では、ダウ平均が5.7％高、S&P500が5.4％高、ナスダック総合が4.4％高とそろって大幅に2カ月続伸となりました。

インフレのピークアウト期待が高まるなか、米連邦公開市場委員会（FOMC）議事要旨で利上げ減速の可能性が示されたことや、パウエル米連邦準備理事会（FRB）議長が早ければ12月にも利上げペースを緩める可能性に言及したことが支援となりました。

上旬は、パウエルFRB議長が利上げの最終到達点がこれまでの予想よりも高くなると発言したことで金利が上昇し、ハイテク株を中心に売りが強まりました。

しかし、10日に発表された米10月消費者物価指数（CPI）が予想を下回る伸びとなったことで、インフレのピークアウト期待が高まり急反発しました。

中旬は、CPIに続いて米10月生産者物価指数（PPI）も予想を下回る伸びとなったことで、インフレのピークアウト期待が続きましたが、ブラード米セントルイス連銀総裁やコリンズ米ボストン連銀総裁などのFRB高官から金融引き締めに積極的な発言が相次いだことで上値の重い展開となりました。

下旬はメスター米クリーブランド連銀総裁が利上げペースの減速を支持すると発言したことや、FOMC議事要旨で利上げ減速の可能性が示されたことが支援となったほか、月末30日にパウエルFRB議長が講演で、早ければ12月にも利上げペースを緩める可能性に言及したことも相場上昇を後押ししました。

10月に14.0％高と3カ月ぶりに大幅反発したダウ平均は11月も大幅続伸し、年初来の下落率は4.8％に縮小しました。

9月30日に付けた終値での年初来安値28725.51ドルからは5864.26ドル高（+20.4％）の大幅反発となり、1月4日に付けた終値の史上最高値36799.65ドルまで2209.88ドル（6.0％）に迫りました。

セクター別では素材を筆頭にS&P500の全11セクターが上昇

11月はS&P500の全11セクターが上昇しました。

騰落率上位は、素材が11.5％高と急伸し、資本財も7.6％高となりともに2カ月続伸しました。このほか、コミュニケーション、金融、不動産、公益、生活必需品が6％超上昇し、ITもS&P500（+5.4％）をアウトパフォームしました。

一方、騰落率下位は、エネルギーが0.6％高、一般消費財が0.8％高と小幅な上昇にとどまり、ヘルスケアが4.7％高となりました。

上昇率トップの素材では、商品先物相場の上昇を追い風にフリーポート・マクモランが月間で25.6％高と急伸し、工業用ガスのエア・プロダクツ&ケミカルズや化学のデュポン・ド・ヌムールも20％超の大幅高となりました。

上昇率2位の資本財では、ボーイングが25.5％高と急伸。最高財務責任者（CFO）が、737Maxと787型機の引き渡し増加により、2023年のキャッシュフローが30-50億ドルになるとの見通しを示したことや、カルホーン最高経営責任者(CEO)が自社株を400万ドル取得したこと、受注増加見通しを理由にアナリストの投資判断引き上げが相次いだことなどが好感されました。

ダウ平均採用銘柄は25銘柄が上昇、1銘柄が変わらず、4銘柄が下落

ダウ平均採用銘柄は11月月間で25銘柄が上昇し、1銘柄が変わらずとなり、4銘柄が下落しました。

好業績見通しやCEOの自社株取得などが好感されたボーイングが25.5％高となり、30銘柄中上昇率トップとなったほか、ナイキ、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、ゴールドマン・サックス、プロクター・アンド・ギャンブル（P&G）も2桁高と急伸。マイクロソフト、JPモルガン・チェース、シスコ・システムズ、ホーム・デポ、キャタピラー、ダウ・インク、メルク、IBMも7-9％高となりました。

一方、市場予想を下回る7-9月期決算や弱い見通しが嫌気されたウォルト・ディズニーが8.1％安となったほか、iPhoneを生産する台湾ホンハイ精密の中国工場での従業員の抗議活動などにより高級機種iPhone Proの今年の出荷台数が大幅に減少すると報じられたアップルも3.5％下落しました。