先週は主要3指数がそろって2週続落 リセッション懸念が重し
先週の米国市場では、ダウ平均が1.7%安、S&P500が2.1%安、ナスダック総合が2.7%安とそろって2週続落となりました。
13日に発表された米11月消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化したことを好感し、一時大きく上昇しましたが、14日に結果が公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げの長期化が示され、利上げの最終到達地点(ターミナルレート)が引き上げられたことに加え、15日に発表された米11月小売売上高が予想以上に悪化したことで景気後退(リセッション)懸念が強まりました。
ダウ平均は月初からの下落率を4.8%に拡大し、S&P500とナスダック総合も月初来の下落率をそれぞれ5.6%、6.6%安に拡大しました。
年初来ではダウ平均が9.4%安、S&P500が19.2%安、ナスダック総合は31.6%安となりました。
リセッション懸念が強まったことでS&P500の11セクターは、原油高を好感したエネルギーを除き、10セクターが下落とほぼ全面安となりました。
S&P500指数採用の503銘柄は、395銘柄が下落し、上昇銘柄数は108銘柄にとどまりました。
全面安の中、エネルギー株や景気敏感株・グロース株の一角が上昇
週間で上昇した108銘柄のセクター分布をみると、エネルギー株が21銘柄となったほか、ヘルスケアが19銘柄、生活必需品が8銘柄、公益が7銘柄とディフェンシブ株の上昇が目立ちましたが、資本財、一般消費財、IT、コミュニケーションなどの景気敏感株やグロース株の一角も上昇しました。
コミュニケーション・セクターではメタ・プラットフォームズ(旧:フェイスブック)が週間で3.1%高となり、12月月間では1.1%高とプラス圏を回復しました。
メタ・プラットフォームズは2021年9月には時価総額が1兆ドルを上回り、アップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)、アマゾン・ドット・コムに次ぐ時価総額を誇っていました。
Googl(グーグル)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Facebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)の頭文字を取ったGAFAM(ガーファム)と呼ばれ、米国を代表する巨大ハイテク企業でしたが、メタバース分野への巨額投資による業績の先行き不透明感などから株価が急落。
足もとでは時価総額が3100億ドル台まで縮小し、マスターカードやホーム・デポの3200億ドル台を下回り、時価総額ランキングは19位に転落しました。
メタ・プラットフォームズの株価は7年ぶりの水準に下落も、一部アナリストは強気に転換
メタ・プラットフォームズの株価は2021年9月7日に終値で382.18ドルの上場来高値をつけましたが、今年2月2日に発表した2021年第4四半期(10-12月)決算で、純利益が予想以上に減少し、2022年第1四半期についても増収率が大幅に鈍化するとしたことで株価は200ドルを割り込みました。
その後も、好調なTikTok(ティックトック)に比較して、インスタグラムのショートムービー「リール(Reels)」の不振が報じられたことや、アナリストの投資判断引き下げが相次いだことなどで、株価は11月3日に終値で88.91ドルと、2015年9月以来となる水準まで下落しました。
しかし、メタ・プラットフォームズの株価は足もとでは底堅い展開となっています。
1万1000人以上のレイオフを発表し、メタユニバース分野での巨額投資を抑制するなどとしたことで業績の底打ち期待が高まりました。
UBSは人員削減を高く評価し、ゴールドマン・サックスは買い推奨リストの「2023年のトップピック」に指定しました。
JPモルガンは、直近4四半期で1万9000人増やした人員を1万1000人削減することは、正しい経営判断だと評価し、「ティックトック」に押されているショートムービーの「リール」も2023年には逆風が弱まるとしたほか、足もとの株価の大幅下落により割安感が強まったとして投資判断を「ニュートラル」から「オーバーウエート」に引き上げました。
リフィニティブが集計するアナリスト58人の投資判断は、「強気買い」が14人、「買い」が21人、「保有」が19人、「売り」が3人、「強気売り」が1人と、多くのアナリストが強気姿勢を維持しています。
目標株価の平均値は152.29ドルと、3カ月前の226.23ドル、2カ月前の211.15ドル、1カ月前の154.93ドルから低下が続いていますが、低下ペースは鈍化しており、目標株価の平均値が上昇に転じる可能性が高まっています。