NYマーケットダイジェスト・13日 株安・長期金利低下・ドル失速

(13日終値)

ドル・円相場:1ドル=137.39円(前営業日比△0.52円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=138.19円(△0.81円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0059ドル(△0.0022ドル)

ダウ工業株30種平均:30772.79ドル(▲208.54ドル)

ナスダック総合株価指数:11247.58(▲17.15)

10年物米国債利回り:2.93%(▲0.04%)

WTI原油先物8月限:1バレル=96.30ドル(△0.46ドル)

金先物8月限:1トロイオンス=1735.5ドル(△10.7ドル)

 

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

 

(主な米経済指標)        <発表値> <前回発表値>

MBA住宅ローン申請指数(前週比) ▲1.7%    ▲5.4%

6月米消費者物価指数(CPI)

前月比              1.3%      1.0%

前年比              9.1%      8.6%

エネルギーと食品を除くコア指数

前月比              0.7%      0.6%

前年比 5.9% 6.0%

6月米財政収支       888億ドルの赤字   662億ドルの赤字

 

※改は改定値、▲はマイナスを表す。

 

(各市場の動き)

・ユーロドルは3日ぶりに小反発。米労働省が発表した6月米消費者物価指数(CPI)が前年同月比9.1%上昇と予想を上回り、およそ40年半ぶりの高い伸びを記録すると、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを進めるとの見方が強まり全般ドル買いが先行した。22時前に一時0.9998ドルと2002年12月以来約20年ぶりに1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)を割り込んだ。

 ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。パリティ割れとなった達成感から買い戻しが入ったほか、一時は3.06%台まで上昇した米10年債利回りが2.89%台まで急低下すると一転ドル売りが膨らんだ。24時前には1.0122ドルと日通し高値を更新した。市場では6月米CPIに関して「これが最後の悪い数字」「(前年比)9.1%がピーク」との声が聞かれたほか、バイデン米大統領は「インフレは容認できないほど高い」としながらも、「最近のガソリン価格の下落を考慮すると過去の数値」と指摘した。

 

・ドル円は反発。予想を上回る米CPIをきっかけに米長期金利の上昇とともにドル買いが先行すると、一時137.87円と1998年9月以来約24年ぶりの高値を更新した。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、今月26-27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では通常の4倍にあたる1.00%の利上げを予想する確率が一時80%を超えた。また、前週まで「0.75%利上げを全面的に支持する」としていたボスティック米アトランタ連銀総裁は7月の1%利上げについて「検討する可能性がある」との見方を示した。

 ただ、買い一巡後は伸び悩む展開に。米長期金利が急低下したことで全般ドル売りが出たほか、市場の一部ではインフレのピークアウト期待が強まったため一時137.10円付近まで下押しする場面があった。

 

・ユーロ円は3日ぶりに反発。ユーロドルの持ち直しに伴う円売り・ユーロ買いが出て、24時前に一時138.80円と日通し高値を付けた。

 

・カナダドルは対米ドルで一時1.2937カナダドル、対円で106.30円まで値を上げた。カナダ銀行(BOC)はこの日、政策金利を現行の1.50%から2.50%に引き上げることを決めたと発表。市場予想(0.75%の利上げ)を上回る1.00%の利上げに踏み切ったことでカナダドルを買う動きが広がった。

 なお、声明では「インフレの上昇が定着するリスクが高まっている」として、前倒しで大幅利上げに踏み切ったことを説明。「金利をさらに引き上げる必要があると引き続き判断」「目標を達成するために必要に応じて行動を継続する」との見解を示し、追加利上げの可能性を示唆した。

 

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落。6月米CPIが予想を上回り、約40年半ぶりの高い伸びを記録すると、FRBが積極的な金融引き締めを進めるとの見方が強まり株売りを誘った。急速な利上げを警戒し、指数は一時460ドル超下落する場面があった。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅ながら3日続落した。

 

・米国債券相場で長期ゾーンは3日続伸。6月米CPIが予想を上回ると売りが先行したものの、すぐに持ち直した。FRBによる大幅利上げ観測で、米経済が景気後退に陥る恐れがあるとの懸念が強まり、相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。

 なお、2年債利回りは終値ベースで10年債を23ベーシスポイント(bp)上回り、景気後退の予兆とされる「逆イールド」が一段と進んだ。

 

・原油先物相場は3日ぶりの小幅な反発。需要減少を懸念した売りが先行。しかし、米インフレのピーク感や利上げが景気の重しになるとの見方もあって米10年債利回りなどがほどなく低下。ユーロなど主要な通貨に対してドルが軟化すると、ドル建て価格に割安感が生じ、買い戻しを誘った。

 

・金先物相場は3日ぶりに反発。強い米CPIを受け、FF金利先物はFRBの1.00%利上げを7割方は織り込む動きに。しかし、米10年債利回りは短期金利上昇が景気に悪影響となる可能性を反映して低下し、ドルは軟化。ドル安がドル建て価格の割安感につながり、金相場は上昇した。物価上昇をにらみ、インフレヘッジとしての金需要も下値を支えた。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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