各国で販売されるビックマックの価格をもとに算出されるビックマック指数。購買力をはかる指標として使われており、2023年7月の発表で日本は54カ国中44位と低迷していました。
国外製品の購入や海外旅行へ行くときに、ビッグマック指数をチェックすると、国ごとの物価の水準を一目で把握しやすくなります。
ビッグマック指数がどのように推移するかについて、今後の展望を予想していきます。
ビッグマック指数とは?日本の順位は44位
ビッグマック指数とは、イギリスのエコノミスト誌(The Economist)が発表する経済指標のことです。
ビックマックは世界各国のマクドナルドで販売されており、原材料や調理法が同一の商品です。そこでビッグマックの販売価格を基準にして、各国の購買力を比べる指標として広く知られてきました。
2023年7月に発表されたビックマック指数をみると、日本は54カ国中44位の結果でした。2023年10月の為替を参考に「1ドル149円」で計算したとき、集計した10カ国のビックマックの販売価格は以下表のとおりです。
参照元:The Economist|ビッグマック指数を参考に表を作成
※実際の販売価格とは異なる場合があります。
アメリカは831円(5.58ドル)を出さないとビッグマックを買えないため、日本とは400円近く販売価格に差が出ました。
アジア圏だけでみても日本は上位国ではなく、韓国やタイよりも下に位置しています。なお、今回のランキングで最下位は台湾が該当し、ビッグマックの販売価格は355円でした。
ビッグマック指数のランキング低下が進む日本
過去のビッグマック指数を見ると、ここ数年で日本のランキング低下は進んでいます。2010年以降における日本の順位は、以下のとおり変化してきました。
・2010年7月:14位
・2015年7月:28位
・2020年7月:25位
・2021年7月:30位
・2022年7月:41位
・2023年7月:44位
2020年のビッグマック指数において日本は28位に位置していたため、ここ数年で低下してきています。つまり、世界の国々と比べて日本の購買力は徐々に下がっている可能性が高いです。
実際に近年では日本の物価が相対的に安くなった影響もあり、外国人観光客が増えインバウンド需要は高まっています。また欧米へ旅行に行く場合、円の購買力が低くなっているため、以前より価格の高騰が目につきます。
今後の日本のビッグマック指数はどのように推移するか?
今後の日本のビッグマック指数がどのように推移するかを予測するのは難しいですが、考えられる予想を3つ紹介します。
1. インフレにともない価格差は縮まる
インフレにともない、販売価格の差が縮まるかもしれません。2010年1月時点のビッグマック価格は320円でしたが、13年かけて450円まで上昇しています。
また都心部におけるビッグマックの販売価格は500円に到達しているため、ここ数年で急激にインフレが進んできているのは間違いありません。
わたしたち消費者からみると物価の上昇により生活は苦しくなりますが、適正な価格に落ち着くまではインフレによりビッグマック指数の差は縮まる可能性が高くなります。
2. 円高が進み価格差は縮まる
円高が進むと相対的に外貨に対する購買力は上昇するため、ビッグマック指数でみたときの価格差は縮まります。
繰り返しになりますが、2023年10月の執筆時点の為替は1ドル148.9円であり、アメリカにおけるビッグマックの価格は831円ほどです。
これが5年前の為替水準に戻って1ドル110円前後まで円高に振れたと仮定すると、アメリカのビックマックは610円前後になるので、価格差は大きく縮まります。
また円安を理由にインバウンド需要のさらなる高まりや、日本の輸出製品が買われると貿易黒字が進み、円高に振れるかもしれません。
将来の為替を予測するのは難しいですが、円高に振れるとビックマック指数でみたときの販売価格の差は縮まります。
3. 価格差は縮まらない
将来的にビックマック指数でみたときの価格差は、縮まらない可能性も否定できません。ここ5年間におけるドル円のチャートを見ると、2022年から円安が一気に進みました。
画像引用元:TradingView
円高に振れる傾向は見られず、直近では1ドル150円を超える勢いを見せています。
海外観光客が増えて国内での消費が増えても、日本製品の大量発注につながらなければ為替に大きな変化を与えません。
また海外でもインフレは進んでいるため、販売価格の差は縮まらない可能性もあります。
ビッグマック指数を参考にすると日本でも外貨建て資産をもつ重要性が高まる
ここまでビッグマック指数を参考にして、世界と比べて日本の購買力が下がっていることを説明しました。
近年の円安の傾向から、日本円だけを資産に持つリスクが生じています。このまま長期的に円安が継続するかはわかりませんが、リスク回避のために外貨建資産を持つのも選択肢のうちの1つです。
米国株を中心とした外国株式や外国債券、外貨建預金など、日本円だけではなく複数の資産へ投資するのが大切です。