日々是売買~トレードへの道

第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」

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注目のFOMC、今年の利下げ予想1回に減少

 

米連邦準備理事会(FRB)は今週11-12日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通りFFレートの誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを決めました。声明では「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然高止まりしている」と強調したうえで、「ここ数カ月は2%の物価目標に向けた緩やかながらもさらなる進展があった」と指摘。前回の「一段の進展は見られていない」から表現を改めました。

 

政策金利見通し(ドット・チャート)では2024年末時点の中央値が4.6%から5.1%へ上方修正され、年内の利下げ予想回数は前回3月の3回から1回に減少。25年末は3.9%から4.1%へ上方修正された一方、26年末は前回の3.1%から据え置きとなりました。なお、長期的な水準は2.6%から2.8%に修正されています。

 

*FRBのホームページより

 

なお、パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「インフレは大幅に緩和したが、依然として高すぎる」「インフレに対する信頼を高めるには、より良いデータが必要」「FRBはインフレのリスクを引き続き大いに注視している」などと発言しています。

 

*Trading Viewより

 

ドル円は4月29日に160.17円と1990年4月以来34年ぶりの高値まで急伸しましたが、そのあとは政府・日銀による為替介入とみられる動きで5月3日には151.86円まで一転下落しています。政府・日銀による介入とみられる円買いの動きは4月29日の午後と1日のFOMC後である日本時間2日の早朝の2回。介入額は過去最大の9.8兆円となっています。

 

ただ、そのあとは再びじり高の展開となり、昨日14日には158.26円まで上昇し、介入前の水準に戻った形となっています。

 

*Trading Viewより 

 


 

投機筋の円売りポジション、変動が徐々に小さく

 

ヘッジファンドによる円売りポジションは政府・日銀による為替介入があったとみられる4月29日以降、減少傾向にありましたが、ここにきてポジションの増減幅が縮小しているようです。米商品先物取引委員会(CFTC)が4月26日に発表した4月23日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは17万9919枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

その後、5月17日に発表された14日時点の建玉報告によると、投機筋の円売りポジションは12万6182枚と4月23日時点の17万9919枚から5万3737枚減少しましたが、そのあとは変動幅が徐々に小さくなっており、13日発表の11日時点の建玉報告では13万8579枚となっています。

 

もっとも、ポジションの変動幅は小さくなっているとはいえ、円売りポジションの水準自体はいまだに13万枚超と高水準にあります。きっかけ次第ではポジションの巻き戻しが起こり、円高方向への急な動きを誘発する可能性もあります。

 

 

 

ドル円の一目均衡表チャート

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(157.40円)で雲の上限155.21円を上回っています。また、転換線156.40円基準線155.93円も上回っており、テクニカル的にも上サイドへの期待が高まります。

 

*Trading Viewより

 

このところ政府関係者から円安に対する目立ったけん制発言はなく、為替介入については「『警戒』より『期待』の側面が強い」との声が聞かれており、円キャリー取引を後押しする要因となっています。今週のビッグイベントであるFOMCや米CPI、日銀金融政策決定会合を通過したことで来週以降はファンダメンタルズ=円安・ドル高に沿った動きが予想されます。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
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第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
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第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
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第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
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第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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