BTC、油断していたところで…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年5月28日23時時点で、対円では1562万円前後と前週(7日前)比で約1%低い水準で取引されています。BTCドルが10万7800ドル付近での値動きです。
BTC円は22日の夜中に1615万円付近まで上昇し、1月末以来の高値を更新しました。前回コラム・第146回「ビットコイン、対ドルで最高値更新!!…」で述べたリスクオンの流れに乗り、史上最高値を記録したBTCドルにBTC円も追随しました。
しかしながら23日から24日かけては一転、1525万円前後まで売り込まれます。やはりというか、今回もトランプ米大統領の発言がきっかけでした。
米国との貿易交渉がなかなか前に進まない欧州連合(EU)に対し、トランプ大統領は来月1日から50%の関税賦課を示唆しました。
米国は今月前半までに英国や中国との通商合意に至っており、市場では貿易摩擦に対する警戒感が和らいでいました。油断していた中での発言(最初は、自身のSNSへの投稿)だったことや、英米は3連休を控えていたこともあり、関税発言で株式市場は急落。
為替ではリスク・オフ(回避)の円買いが強まったため、BTC円は下げ足を一層強めました。
※リスク・オフ(回避)の円買い
・様々な見方はあるが、円は通貨の中で安全資産という位置づけ。経済不安や地政学リスクなどで投資家がリスク資産から安全資産へ資金を移すとき、買われやすい通貨とされている。
※Trading Viewより
再び上昇、こちらもきっかけは…
先週末にかけて弱含んだBTCでしたが、週明けから再び底堅い展開となりました。こちらもきっかけは、トランプ米大統領です。フォンデアライエン欧州委員長と電話会談をした大統領は、50%関税発動の期限を7月9日まで延長しました。
米株価指数の先物は大幅に反発し、リスクセンチメントの改善と共にBTCも買い戻されました。BTCドルは、史上最高値11万2000ドル→10万6000ドル台→11万ドル台まで一時戻すという動きです。
ところで、BTCドルが最高値を更新した5月22日は、ビットコイン・ピザ・デーの15周年記念日でした。2010年のこの日、米フロリダ在住のプログラマーのラズロ・ハニエツ(Laszlo Hanyecz)氏が、1万BTCで2枚のピザを購入した日です。
これは、ビットコインを用いた最初の商業取引とされています。
ビットコインが生まれて1年半が経とうとしていた2010年5月22日、1BTCは約0.0025ドル程度だったようです(価格は幅がある)。ということは、当時の1万BTCは25ドルということです。
0.0025ドルだったモノが15年後、11万2000ドルまで上昇。2010年当時と現在の価格の比較をしてもしょうがないという気はしますが、ビットコイン・ピザ・デーの日に最高値を更新したのは何かしらの意味があるのかも?とつい考えてしまいます。
※Trading Viewより
bitcoin2025 熱狂し過ぎにはご注意を
さて米ラスベガスのベネチアン・コンベンションセンターでは、5月27日から29日まで、ビットコインカンファレンス「bitcoin2025」が開催されています。ビットコイン関連では世界最大規模のイベントと言われているものです。
暗号資産業界のリーダーと目されている人たちや、米国政府高官などが集まり、政策や技術・市場動向について議論します。
今年は、ストラテジー社(企業としては最多のBTC保有)を率いるマイケル・セイラ―氏、ヴァンス米副大統領やトランプ政権のAI・暗号資産責任者サックス氏、トランプ大統領の息子エリック・トランプ氏なども参加します。
スピーカーは400人超え、イベント参加人数は3万人以上とされています。
すでに、「米政府は財政に影響なければビットコイン購入は可能」との声や、「トランプ大統領、100万BTC購入法案を支持か」という戦略的準備金に絡んだ話が出てきています。
また、資産運用大手のマネージングダイレクターが「ビットコインは金よりもはるかに高い上昇余地がある」と述べるなど、ビットコインのカンファレンスというだけあり、BTCのポジティブな面が多く取り上げられているようです。
カンファレンスからの話が伝わる度に、まだまだ需要は多いということが感じられます。
しかしながら、こちらの記事によれば「カンファレンスの呪縛を解けるか?」コインデスク
2019年から24年までのBTCカンファレンス終了後に、BTC相場は不調になる傾向のようです。
ビットコインの重要性は変わらないのでしょうが、一方向の相場はそうありません。熱狂のし過ぎには注意が必要でしょう。