皆さんは「黄金株」という名称をお聞きになられたことがありますでしょうか?なんだか儲けてくれそうな名前ですよね!?実はきちんと定義があるのですが、今回は「INPEX」がなぜ黄金株なのかについて解説していこうと思います。またもう一つの銘柄「内外トランスライン」は、長期に渡る非減配銘柄で利回りもとても魅力的な内容になっていますので、ぜひご参考ください。
INPEX(1605)
株式会社INPEXは、日本最大のエネルギー開発企業で、石油・天然ガスの探鉱、開発、生産、販売を手がけています。1941年に設立された帝国石油と1966年に設立された国際石油開発が2006年に合併し、以前の会社名は国際石油開発帝石でした。
経済産業省が筆頭株主になっている点が大きな特徴で、 自己資本3兆円を超える強固な財務基盤を有しています。またバランスの取れたポートフォリオと豊富な埋蔵量・資源量があり. 世界有数の大型LNGプロジェクトに携わっています。
INPEXの生産量は日本の年間エネルギー消費量の約1割に相当していますが、一方で9割が海外からの輸入に依存しているとも言えます。世界に広がる事業ポートフォリオを有しており、国際的にも大手石油会社に匹敵する規模の会社になります。
INPEXの2023年11月現在の株価は、約2100円となっています。前期の同時期は1500円台で推移していましたが、今年の夏より株価は上昇している状況です。
業績は1月から9月の連結経常利益は9956億円と前年同期と比べて3.1%減益となりながらも、通期の連結経常利益を従来予想の1兆1510億円から1兆2910億円へと上方修正が発表されました。
INPEXの株主優待
株主優待がもらえる権利確定月は12月の年1回になっています。400株以上を1年以上保有している株主に対して、保有期間に応じてQUOカードが贈呈されます。また保有数が399株未満でも直江津にあるLNG基地の施設見学会に抽選で応募ができます。こちらは毎年5月から6月頃に開催されていますが、好評だったため本年は10月に追加で実施されました。パノラマ体感型ミュージアムやパイプライン監視センターなどが見学できる内容となっています。
また保有期間に応じて変わるQUOカードの額面は以下のイラストをご参照ください。
INPEXの株主優待はいつ届く?
INPEXの株主優待は、確定月12月の翌年の3月下旬に届く予定となっています。
INPEXの黄金株はなぜ潰れない?
INPEXは、日本政府(経済産業省)が持つ特別な株式で、通称「黄金株」と呼ばれています。政府は同社の経営方針に直接的に影響を与える能力を持っています。
この「黄金株」とは、特定の重要な決定を否決する権利を持つ特殊な株式で、「拒否権付株式」とも呼ばれます。わかりやすく言うと、株主総会での決定を拒否できる権利があるということになります。
日本の資産である国内インフラを取り扱っているため、事業の継承や敵対的買収を防ぐことが目的で使われています。このため、INPEXは通常の企業とは異なり、投資ファンドなどから株式の購入が難しく、株主による提案も行いにくい会社になります。
この防御力と財務基盤の強固さから、INPEXは潰れない会社と言われている所以になります。
INPEXの利回り
配当金がもらえる権利月は6月と12月の年2回です。今期6月の中間配当は32円の予想に対して、37円の実績でした。期末は37円の見込みで年間配当74円の予定となっています。予想通りに実施されると3期連続増配となります。
例えば1株2100円で100株購入した場合、投資金額は約21万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は7400円になるので、配当金利回りは約3.5%となります。また400株以上を1年以上保有した場合の株主優待は1000円相当分のQUOカードが贈呈されるため、総利回りは約3.6%となります。
内外トランスライン(9384)
内外トランスライン株式会社は、大阪に本社を置く国際貨物輸送を核とする総合物流企業です。主に海上輸送、航空貨物輸送、通関、保管、国内外の配送サービス、設備輸送などの幅広い物流サービスを展開し、特に海上混載輸送の分野では日本国内でシェアNo.1になっています。
内外トランスラインの強みは以下の特にアジアを中心とした、世界各国に広がる輸送ネットワークと豊富な運航スケジュールを持っており、40年以上の歴史がある点です。またスケールメリットを活かしたリーズナブルな価格設定も特徴で、国際物流業界において幅広いサービスと独自の強みを持つ企業です。
内外トランスラインの2023年11月現在の株価は、約2400円となっています。年初より右肩上がりで推移していましたが、8月頃に2800円近くの株価をピークに期末にかけ下げている状況です。
業績の面では直近の7月から9月の連結経常利益は10.9億円になることが発表されました。これは前年同期と比べて約7.5億円ほどの減益になっています。
内外トランスラインの株主優待
株主優待は変更される可能性がありますが、2023年11月現在、権利確定月は12月の年1回です。保有数に応じてカタログギフトの商品が選択できる内容となっています。100株以上保有の場合は、1500円相当の商品となり、ラーメン詰め合わせやお米、今治タオルなどを選択できます。
また保有株数に応じて贈呈されるカタログギフトの相当額が変わってきますので、詳しくは以下のイラストをご参照ください。
内外トランスラインの株主優待はいつ届く?
内外トランスラインの株主優待のカタログは、確定月12月の翌年3月下旬に株主総会決議通知と一緒に届く予定となっています。
内外トランスラインの利回り
配当金がもらえる権利月は6月と12月の年2回です。前期では年間配当85円の実績でした。そして今期は6月の中間配は40円の実績となり、年間配当85円が見込まれています。内外トランスラインは2008年に上場後、一度も減配をしていないため、実現すれば配当が「維持」または「増配」される非減配期間が15期連続となります。
例えば1株2400円で100株購入した場合、投資資金は約24万円ほど必要となり、年間で受け取れる配当金は8500円になります。配当金だけの利回りは約3.5%となっています。また100株を保有した場合の1500円相当分の優待を合わせると、総利回りは約4.2%となります。
まとめ
今回は黄金株の「INPEX」と、総利回りで4%超えを狙える「内外トランスライン」について解説しましたがいかがだったでしょうか?「INPEX」のように政府が大株主になっている銘柄は他にも「NTT株」や「JT株」などありますので、また別の記事でも紹介していこうと思います。
「内外トランスライン」は業績面で今期は苦戦している印象ですが、長期に渡る非減配銘柄で高利回りを期待できる銘柄なので、こちらも併せて検討してみてはいかがでしょうか?