2033年までに国内就職率6割を目指す
4月に入り、入学式シーズンを迎えています。
新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いており、今年度はイベント活動など盛り上がりをみせる1年になることを期待しています。
イベント活動のほかに、国内の大学では海外の大学との交流が活発化していくのではないかとみています。
3月17日に行われた政府の教育未来創造会議で、岸田首相は2033年までに外国人留学生を40万人受け入れる方針を表明しました。
日本学生支援機構によると、2019年度に31万人程度であった外国人留学生は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、21年度は24万人程度に減少しました。
また政府は、外国人留学生の受け入れ数の拡大と並行して、国内就職率の向上を目指しています。
4月4日、政府の教育未来創造会議のワーキンググループでは、外国人留学生の国内就職率を2033年までに6割にするとの目標を示しました(18年度は48%)。
大学と企業が連携して外国人留学生の国内就職を促すとのことです。
具体策として、国内企業のインターンシップへの参加を呼びかけたり、大学やハローワークなどのウェブサイトで留学生向けに就職情報の発信に取り組むことを掲げています。
政府は4月にも新たな留学生計画を策定する方針を示していることから、計画内容に注目が集まりそうです。
日本語教育の強化が不可欠
外国人留学生の増加と国内就職率の向上のためには、日本語教育の強化は欠かせません。
日本語教育に関して、成学社(2179)が開成アカデミー日本語学校を運営しています。
ビジネスで必要となる日本語教育や礼儀、習慣に関する教育、日本語能力検定試験対策などを提供しています。
また、京進(4735)では日本語学校「京進ランゲージアカデミー(KLA)」を東京、名古屋、京都、神戸、福岡など国内で9校、海外で1校展開しています。
大学院進学、就職、留学・文化体験など目的ごとに様々なコースが用意されています。
就職コースでは、日本で就職をするために必要となるコミュニケーション能力を学び、履歴書の書き方、電話やメールマナー、敬語、面接の練習などが行われています。
国際交流寮の増加が見込まれる
今後、外国人留学生の増加が見込まれることから、住環境の整備も重要となります。
そこで、寮事業を運営している共立メンテナンス(9616)に注目しています。
国際交流寮など全国に500棟以上展開しており、ドミール(ワンルームタイプマンション)とシェアハウス(共用スペースを充実させた自炊タイプ)のタイプがあります。棟数のさらなる増加が期待できると考えています。
就職支援や教育研修の充実が重要
留学から国内での就職につなげるという観点では、人材派遣企業への注目度が高まるとみています。
リンクアンドモチベーション(2170)では、ALT配置事業と呼ばれる外国人サポートビジネスを展開しています。
日本の小・中・高等学校を対象としたALT(Assistant Language Teacher)の派遣から、企業への外国籍人材紹介など、日本の組織と外国籍人材のマッチング機会を提供しています。
続いてフルキャストホールディングス(4848)では外国人に特化したビジネスを展開しており、業種は製造業や飲食・小売、運送、飲食など幅広い業界に対応しています。
習熟スピードの速い外国人の人材を活用し、日本人スタッフだけではカバーできないシフトに必要な人数を揃えられることなどが同社の強みとなります。
その他にテクノプロ・ホールディングス(6028)は、技術者派遣に加え、育成サービスにも強みがあります。
人材派遣では、外国人技術者をIT・自動車・製造・半導体・通信・金融・小売・メディア・公共など様々な業界に派遣しています。
また育成サービスでは、同社が運営する全国50拠点を擁する「winスクール」では、eラーニングやLMSなどの育成プラットフォームを提供するなど、高度なプロフェッショナルの育成をサポートしています。
「膨大な育成データの蓄積・分析を背景としたコンサルティングノウハウ」や「独自開発した効果的育成プログラム・コンテンツ」を活用し、顧客企業の技術者育成上の課題を解決しています。
今後、優秀な外国人の人材を確保するには、教育研修の重要性が一段と増すと考えています。
4月中にも策定される新たな留学生計画では、留学生の増加はもちろん、国内での就職率向上につながる支援策が発表されるか注目したいと思います。