株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
8月に入り日経平均株価やTOPIXが史上最高値を更新しています。今回はトレーダーズ・ウェブの銘柄スクリーニングを使用し、「高ベータ(β)銘柄」と「低ベータ(β)銘柄」を確認します。
ベータ(β)は、全体相場と比較してリスクが高いか低いかを判断する指標です。
ベータ(β)が1より大きければベータ(β)を算出するときに使用した株価指数(今回はTOPIX)よりもリスクが高い(ハイリスク・ハイリターン)といえ、 1より小さければベータ(β)を算出するときに使用した株価指数よりもリスクが低い(ローリスク・ローリターン)といえます。
今後、全体相場が大きく下がる局面がくれば、「高ベータ銘柄」は全体相場よりも大きく下げる可能性が高く、「低ベータ銘柄」は全体相場ほど下げない可能性が高いといえます。
なお、ベータに関しては、【知っておきたいリスクの話】第2回「TOPIXを基準に保有株のリスクを知る」をご参照ください。
今回は、東証プライム上場企業でベータ(β)が高い銘柄と低い銘柄をスクリーニングにより抽出します。では、項目を設定していきましょう。
項目設定
今回のスクリーニングでは、シンプルに市場とベータ(β)の項目のみを設定します。
01:市場については、今回は東証プライムとします。
「高ベータ銘柄」
09:βは1.7倍以上とします。なお、この設定項目の結果を表示させるため、一番右のチェックボックスにチェックを入れるようにしてください。
この条件でスクリーニングを行うと2025/08/08更新時点では24銘柄が抽出されました。以下は、ベータ(β)の高い順に並べたものです。
抽出結果の確認
1位は半導体メモリー(NAND)専業の世界大手のキオクシアホールディングス(285A)で、ベータ(β)は2.35となっています。
2位となったのは電線御三家の一角であるフジクラ(5803)で、ベータ(β)は2.10となっています。
3位は独自制御技術でサーボモーターとインバーター世界首位のファンケル安川電機(6506)で、ベータ(β)は2.00となっています。
「低ベータ銘柄」
09:βは0.2倍以下とします。なお、この設定項目の結果を表示させるため、一番右のチェックボックスにチェックを入れるようにしてください。
この条件でスクリーニングを行うと2025/08/08更新時点では29銘柄が抽出されました。以下は、ベータ(β)の低い順に並べたものです。
抽出結果の確認
1位はGMO傘下で総合ネット広告代理業を展開するGMOインターネット(4784)で、ベータ(β)は-0.65となっています。
なお、ベータがマイナスであれば株価指数と逆の動きをする傾向があるといえます。ベータ(β)が-0.1の場合はTOPIXが10%上昇すれば1%下落し、TOPIXが10%下落すれば1%上昇するイメージです。
2位となったのは冷凍品など食材販売の「業務スーパー」をFC展開する神戸物産(3038)で、ベータ(β)は-0.09となっています。
3位ですが、BEENOS(3328)と天馬(7958)はTOBで上場廃止見込みなので対象外。さらに、社債型種類株式も除きますので、実質的な3位はデザイン雑貨、エコ雑貨などの企画販売を行うトランザクション(7818)となり、ベータ(β)は0.06となっています。
最後に
株式の売買手数料が安くなっていることもあり、銘柄の入れ替えのハードルは低くなっています。相場の先行きに対する不透明感が高まった場合は、保有する「高ベータ銘柄」を「低ベータ銘柄」に入れ替えることを検討してみてもよいと考えます。