中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない――。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
銘柄の「選別力」を高める基本データ
「中国株二季報」の個別銘柄ページでチャートの横には、銘柄ごとの「株価」や「年間騰落率」といった投資に欠かすことのできない基本データが掲載されています。株価に関連した基本データですが、この2つの基本データをどう使いこなすかで、中国株の銘柄選びの精度は大きく変わってきます。
出所:中国株二季報2025年夏秋号
まず「株価」について解説します。中国A株市場では基本的に100株単位での売買が原則です。香港市場では500株単位など銘柄ごとに最低取引単位が異なる場合もあり、単純に「株価が安いから買いやすい」とは限りません。また、A株銘柄は人民元建て(上海・深セン)、香港市場の銘柄は香港ドル建てと通貨が異なるため、日本円での購入コストを比較する際には為替レートの影響も加味する必要があります。
「株価」は企業の評価そのものではありませんが、投資タイミングを考える上で非常に重要な情報です。特に中国株は政策主導の値動きが多く、突然の材料によって株価が急騰・急落することも珍しくありません。隣に掲載しているチャートで過去の値動きとあわせて確認することで、投資リスクと向き合う手助けになります。
年間騰落率は業績推移や財務指標と併せて確認する
次に注目すべきは「年間騰落率」です。これは過去1年間でその銘柄の株価がどれだけ上昇または下落したかを示す指標であり、投資家心理や市場トレンドを反映する重要な手掛かりになります。たとえば、前年に大きく下落した銘柄が割安感から再評価されるケースもあれば、急騰した銘柄がその後調整局面に入ることもあります。年間騰落率は、中国株に特有のボラティリティ(価格変動の大きさ)を把握するためにも役立ちます。
出所:中国株二季報2025年夏秋号
個別銘柄の「年間騰落率」は、ほかの銘柄と比較することも有効です。ライバル会社の年間騰落率も同じような騰落率であれば、それは業界全体の傾向であるかもしれませんが、ライバル会社の株価と大きな乖離(かいり)があれば、騰落率を左右する何らかの要因があったと考えられます。
「中国株二季報」では、「業種別指標一覧」で業種ごとの年間騰落率の平均を出しているので、対象銘柄が所属している業種の平均と比べてみるといいでしょう。市場全体でのパフォーマンスを見るのであれば、同じく業種別指標一覧のページの全体平均と比較することで確認することができます。巻末の「主要指数の推移」では、ハンセン指数や上海総合指数など、香港市場や中国本土市場の主要指数の騰落率も掲載しているので、対象銘柄が上場している市場の主要指数の騰落率と比較することもできます。
ただし、「騰落率」だけに目を奪われると、企業の本質的な業績や成長性を見落とすリスクもあります。過去に株価が大きく動いた要因が一時的な政策措置や短期的な材料であった場合、持続的な成長とは無関係なこともあるからです。そのため、中国株への投資では、騰落率と併せて業績推移や財務指標を確認することが欠かせません。また、同じ騰落率であっても、足元の株価が上向きなのか下向きなのかも、今後の株価パフォーマンスに大きな影響を与えます。必ずチャートがどの向きになっているのか確認しましょう。
巻末に騰落率ランキング、1年間で株価が2倍以上になる銘柄も
なお、「年間騰落率」は巻末にランキングを掲載しています。年間騰落率の上位と下位、それぞれ20銘柄です。「中国株二季報」で採用している主要銘柄に限定したランキングですが、株価が1年間で2倍以上になっている銘柄、逆に半値以下に下落している銘柄、さまざまです。株価が2倍以上に上昇している銘柄を見ると「もしこの銘柄を1年前に買っていたら今ごろは・・・」とくやしい気持ちになるかもしれません。
上昇率上位に掲載された銘柄が次も上位に掲載されるとは限らず、逆に下落率上位に掲載された銘柄が次の号では上昇率上位に掲載されることもあります。株価が上昇・下落した理由については、先ほども触れたように、業績推移や財務指標の確認とともに、文章部分を読んで原因を探る必要があります。株価の上昇・下落の原因が解消されれば、株価は逆方向に振れる可能性が高まり、投資パフォーマンスに大きな影響を与えます。「中国株二季報」では毎号、株価が1年間で2倍以上になった銘柄が掲載されているので、「中国株二季報」で紹介されている銘柄の中から、ぜひ次の2倍株を探してみてください。
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