BTC、対円では一時1800万円付近まで反発
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年8月13日20時頃、対円では1776万円前後と前週(7日前)比で約5.3%高い水準で取引されています。BTCドルが12万ドル台に乗せて底堅い動きです。
今月に入り伸び悩む場面もあったBTC相場ですが、7日からレンジを切り上げ始めました。対円では1700万円台を回復し、週末には1750万円台まで上昇。週明け11日も買いの勢いは弱まらず、一時1800万円付近と過去最高値1812万円台が視野に入りました。
BTCドルも、7日に11万6000ドルを超えて上昇力を強めます。週明けに12万ドル台に乗せると、12万2000ドル台まで一気に上げ幅を広げました。最高値圏となる12万3000ドル台を前にして買いが一服するも、調整売りは11万8000ドル手前まででした。
※Trading Viewより
きっかけは、米大統領令?!
ビットコイン(BTC)が上昇したきっかけは、トランプ米大統領のおかげでした。
「トランプ氏、401kのオルタナ投資解禁へ大統領令に署名」ロイター
米国のトランプ大統領が署名した大統領令では、企業型確定拠出年金「401k」で「暗号資産を含めたオルタナティブ資産への投資を可能にすることを目指す」というものでした。
オルタナティブとは代替という意味であり、ここでは株式や債券など伝統的な投資対象に代わる資産を意味しています。不動産、ベンチャーキャピタル、金融派生商品やコモディティ、そして今回はビットコインなどの暗号資産も含まれています。
米国の企業型確定拠出年金「401k」は、従業員が給与の一部を税優遇付きで積み立て、自ら運用する年金制度です。企業が掛金を上乗せする「マッチング制度」が一般的とされ、株式や債券などで資産を育てます。長期的な資産形成に有効であり、原則59歳半以降に受け取れます。
こちらは2年前ですが、日経新聞ウェブサイトの確定拠出年金に関する記事です。米国だけでなく、英・豪の例も取り上げています。
※Trading Viewより
巨大市場が開放されるかも…
米国の投資信託協会や米連邦準備理事会(FRB)によれば、今年1-3月期時点で米国の退職年金資産は43兆4000億ドルに達しているというのです。そのうち確定拠出型プランは12兆ドル超であり、企業型確定拠出年金「401k」が9兆ドル弱を占めると言われています。
この巨大な年金市場が暗号資産にも開放される可能性が出てきたことに対して、当然ながら市場参加者は期待を膨らませています。ビットコインなどへのデジタル資産に数十億ドル規模の資金流入があるかもしれないのです。
一方で今回の大統領令を警戒する声があるのも確かです。いくつか懸念材料を拾ってみました。
・需給の歪みと急騰・急落リスク
短期間に大量の資金が流入すると、価格が需給バランスを大きく上回って急騰し、その反動で急落を招きやすくなります。市場参加者の心理が過剰に楽観に傾きやすくもなり、突然の反転で大きな損失を生む危険があります。
・流動性ミスマッチの拡大
流動性の高い機関投資家マネーと個人投資家の資金需要がかみ合わず、下落局面でまとまった売りが発生すると値が飛びやすくなります。これがさらなる価格急落を引き起こす悪循環につながるかもしれません。
・バブル形成とシステミックリスク
持続的な資金流入はバブル的な価格上昇を招くかもしれません。最終的にバブル崩壊から投資家信頼の失墜、他の金融市場への波及リスクを高める可能性も否定できません。
暗号資産の懐疑派にとって、懸念材料はまだ他にもありそうです。ただしこれらはあくまで、米国における年金運用が暗号資産でも認められてからの話でしょう。
ところで、ETHが存在感を高める
この1週間でBTCを大きくアウトパフォームしたのが、暗号資産で時価総額2位のイーサリアム(ETH)です。執筆時点でイーサリアム(ETH)は、対円で69万円付近と7日前比29%の急騰です。
ETH円は2024年12月につけた63万2000円を超え、一部取引所で69万8000円台まで史上最高値を更新しています。ETHドルも4000ドルに乗せて上昇力をさらに強め、4700ドル台まで上げ幅を広げました。
※Trading Viewより
イーサリアム(ETH)時価総額の暗号資産市場におけるドミナンス(占有率)も14%に迫る勢いであり、4月に7%前後から大きく拡大しています。2024年前半は19%台でしたので、まだ上値余地があるかもしれません。
次回はETH上昇について調べていきたいと思います。