米大手銀の１Ｑ決算は好調スタート　JPモルガン・チェースなどが大幅高

先週の米国株は主要3指数がそろって上昇　1Q決算発表は総じて好調

先週の米国市場では主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が1.2％高と4週続伸し、S&P500が0.8％高、ナスダック総合も0.3％高とともに反発しました。

前週末に発表された3月雇用統計がおおむね強い結果となったことが好感されたほか、3月の消費者物価指数（CPI）や生産者物価指数（PPI）が予想を下回り、インフレ鈍化を示す結果となったこと、JPモルガン・チェースなどの大手金融機関の決算が予想を上回る強い結果となったことが支援となりました。

ただ、米連邦公開市場委員会（FOMC）議事要旨で、金融危機によるマイルド・リセッションへの懸念が示されたことや、3月の小売売上高が予想以上に減少し、景気悪化懸念を強めたこと、ウォラー米連邦準備理事会（FRB）理事が長期にわたる金融引き締めが必要だと発言したことなどが上値の圧迫要因となりました。

先週からスタートした米企業の第1四半期（1-3月）決算発表は、先週はS&P500採用銘柄の9銘柄が発表を終え、このうち7銘柄で調整後の一株当たり利益が市場予想を上回りました。

市場予想を上回る決算が好感され、JPモルガン・チェースが週間で8.8％高、シティグループが8.1％高、ウェルズ・ファーゴが4.6％高と大手金融機関が軒並み高となったほか、ブラックロック、ファスナルも決算が好感され3-5％上昇しました。

一方、調整後の一株当たり利益が予想を大きく下回った損害保険のプログレッシブ･コープが7.8％安と大幅に下落しました。

JPモルガン・チェース、シティグループが大幅高

米銀行大手のJPモルガン・チェースが14日に発表した2023年第1四半期（1-3月）決算は、純収入が前年同期比24.5％増の393億3600万ドルとなり市場予想の361億8700万ドルを上回りました。

純利益が同56.2％増の128億5300万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は4.32ドルと市場予想の3.41ドルを大幅に上回りました。

米連邦準備理事会（FRB）による利上げを背景に利ざやが拡大したことに加え、3月にシリコンバレーバンクとシグネチャー・バンクの地銀2行が破綻し、預金残高が増加したことで純金利収入が49％増の208億ドルとなったことが大幅増収につながりました。

2023年通期については、純金利収入の見通しを従来の740億ドルから810億ドルに引き上げました。

株価は14日の取引で一時、前日比10.13ドル高(+7.9％)の139.12ドルまで上昇し、9.74ドル高(+7.6％)の138.73ドルで終了。週間では8.8％高となり、年初来では3.4％高となりました。

シティグループが14日に発表した2023年第1四半期（1-3月）決算は、純収入が前年同期比11.1％増の214億4700万ドルとなり市場予想の199億8600万ドルを上回りました。

調整後の純利益は前年同期の43億ドルから46億ドルに増加し、調整後の一株当たり利益は1.86ドルと市場予想の1.67ドルを上回りました。

金利高を背景に個人向け融資が18％増と好調でした。

債券トレーデング部門の収入が4％増となり、投資銀行部門と株式トレーデング部門の減収をカバーしました。

シティグループ株価は14日の取引で一時、前日比2.59ドル高(+5.5％)の49.89ドルまで上昇し、2.26ドル高(+4.8％)の49.56ドルで終了。週間では8.1％高となり、年初来では9.6％高となりました。

今週は1Q決算発表が本格化　ゴールドマン・サックス、ネットフリックス、テスラに注目

今週はS&P500採用の約60銘柄が発表予定で、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、モルガン･スタンレーなどの大手金融機関のほか、ネットフリックス、テスラ、ジョンソン＆ジョンソン、IBM、プロクター＆ギャンブルなど注目銘柄の発表が相次ぎます。

翌週（4月24-28日）はS&P500の180銘柄以上が発表予定でピークを迎えます。アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズのハイテク・ジャイアントのほか、ビザ、エクソン･モービル、イーライリリー、マスターカードなどの注目銘柄の発表が集中します。