日産の株価が急落した理由とは?他自動車メーカーとの比較と今後の予想を解説

2024年11月7日に日産は業績の下方修正を発表し、その後の株価は急落。翌日は30%下落する大幅な株安を記録し、コロナ禍の2020年や2000年カルロス・ゴーン氏による改革初期に近い株価水準でした。


今回は日産の株価が急落した要因や他自動車メーカーとの比較、今後の業績の見通しを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。


日産の株価が急落!その理由とは?

2024年11月8日に日産の株価が30%下落する大幅安となり、11月11日は360円台を記録しました。


 

参照:Traging View


グラフを見るとわかりやすいのが、コロナ禍による2020年に近い株安でしたので、日産株保有者のショックも大きかったことと予想されます。


急落の理由は、11月7日の夕方に発表された業績の大幅な下方修正によるものです。今年3回目の下方修正となった今回の発表では、営業利益見通しを5000億円から1500億円へと大きく引き下げています。


前回予想から3ヶ月しか経っていないうちの今回の発表により、期末配当も25円予定から一転して未定となりました。2021年3月の配当が出なかったこともありますので、2025年3月も無配の可能性が出てきています。


今回の発表の際にグローバルの生産体制を見直すため、全従業員の7%にあたる9000人のリストラを発表しました。また保有する三菱自動車株の一部売却も発表しており、業績回復を狙っています。


日産の株価が急落した要因

急落した主な理由としては、海外市場を中心に車が売れていないことです。アメリカで人気のハイブリッド車が苦戦している中で、中国企業を中心にEV車の市場が伸びているため、販売競争が激化しています。


とくに第一四半期の決算資料ではアメリカの販売台数が深刻であり、在庫が残っている状況です。在庫を捌くために値引き販売してるので、ほとんど利益が出ない状況に陥りました。


日産と他自動車メーカとの比較

国内の自動車メーカーのトップ3は、トヨタ・ホンダ・日産のイメージが強いですが、時価総額でみると今回の急落を受けて日産は6位に位置しています。


自動車メーカー全体をみると2024年8月に記録した日経平均の下落を受けて、株価の伸びは低調ですが、業績自体は日産ほど悪くありません。


またアメリカ大統領選後にトランプ氏就任後は円安が進んでいるので、輸出企業にとっては追い風です。



今後の予想

悪材料が出たあとに株価は急落していますが、来季の業績回復のハードルが下がる分、株価がスルスルと上がる可能性があります。


11月11日に369円を記録した後、投資家から底値で買われる動きも見られ11月19日時点の株価が429円でした。PBRを計算すると0.27倍ですので、日本の主要企業のなかでもとくに低い数字です。


なお、純資産総額は6兆円以上ありますので、今すぐ倒産するという状況でもありません。また今でも技術力は確かなものがありますので、経営改革によってなんとか復活できるかは注視する必要があります。


しかしながら、ハイブリッド車はトヨタに強みがあり、EV車は中国企業が伸びている背景もあるため、依然として厳しい販売競争に立たされている状況です。


まとめ

日産は、2024年11月7日に発表した業績の下方修正により株価が急落しました。株価は360円台まで急落し、時価総額でも国内自動車メーカー6位に転落。業績不振の主な要因はグローバル市場での販売不振によるものです。


今回の業績悪化を受け、9,000人規模のリストラ発表など経営改革を進めています。現状は純資産6兆円以上であり、車の製造技術は健在であるので、経営改革がうまくいけば業績回復できるかもしれません。


日産が復活できるかどうかについて、今後の業績に注目してみてはいかがでしょうか。


独立系ファイナンシャルプランナー

藤崎 竜也

「独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。2019年から教育資金や老後資金を蓄えるために投資を始める。実体験をもとに、専門用語をわかりやすく解説するのが得意。2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得し、現在は金融ジャンル(資産運用・投資・不動産・保険)をメインに執筆している。

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