「カゴメの株価がズルズル下がっているけど大丈夫?」
「業績が悪化したってニュースを見たけど、売ったほうがいいの?」
2026年1月に入った現在もカゴメの株価は調整局面にあり、投資家の間で不安が広がっています。
誰もが知る優良企業であるカゴメですが、決算だけを見ると大幅減益に見えるため、事業が傾いたのではないかと心配になるのも無理はありません。
しかし、結論から言います。
現在の株価下落は「会計上の反動減」と「一時的な市況悪化」によるものであり、カゴメのブランド力が減退したわけではありません。
この記事では、カゴメ株急落の3つの理由を解剖し、2026年以降の復活シナリオを解説します。
カゴメの株価が急落・低迷している3つの理由
なぜ、安定企業の代名詞であるカゴメの株価が冴えないのでしょうか?
その背景には、構造的な要因とテクニカルな要因が絡み合っています。

参照:Trading View
【理由①】インゴマー買収による会計上の反動減
これが投資家を最も動揺させている減益の正体です。実は2024年度(前期)の業績が良すぎたのです。

画像引用元:2025年12月期決算説明資料|カゴメ株式会社
カゴメは2024年に、米国のトマト加工大手「インゴマー社」を連結子会社化しました。
その際、会計のルール上、以前から持っていた株の価値を再計算したことで、約93億円もの評価益(段階取得差益)が利益として計上されました。
つまり、前期は本業の儲けの他に、ボーナス93億円で実力以上の数字が出ていたのです。
2025年度はそのボーナスがなくなるため、見かけ上は利益が激減したように見えますが、本業の収益力が落ちたわけではありません。
【理由②】世界的なトマトペーストの供給過剰
2024年~2025年にかけて世界的に加工用トマトが豊作となり、トマトペーストの供給が過剰になりました。
その結果、国際価格が下落し、買収したばかりの米国インゴマー社の利益率を一時的に押し下げています。
しかし、農作物の相場はサイクル(周期)で動くもの。供給調整が進めば価格は正常化するため、今後も継続するような悪材料ではありません。
【理由③】12月の権利落ちによる株価下落
カゴメは12月決算企業であり、株主優待(自社商品詰め合わせ)が非常に人気です。
「優待が欲しいから12月末まで持っておこう」という個人投資家が、年明けの1月に一斉に売却するため、一時的に株価が下がりやすい時期なのです。

決算の中身は?数字には表れないカゴメの競争力
「減益の理由はわかったけど、本業の競争力は落ちていないの?」
このように不安を持つ方は、カゴメが持つビジネスモデルの強さに注目してみてください。カゴメという企業が持つ強みを知れば、見方はガラリと変わります。
他社が真似できない垂直統合型ビジネス
カゴメの強さは、単にジュースを作って売っているだけではありません。以下の工程を自社グループで管理する「垂直統合型ビジネス」を構築しています。
・種子の開発
・土作り
・栽培指導
・加工
・販売
これにより、世界的な気候変動や原材料高騰が起きても、品質を落とさずにコストをコントロールする力が、他社とは段違いに強いのです。
値上げでも選ばれるカゴメのブランド力
マーケティングの世界には、第一想起という言葉があります。「〇〇といえば?」と聞かれた時に、真っ先に思い浮かぶブランドのことです。
「ケチャップといえば?」「野菜ジュースといえば?」という問いに対し、多くの日本人はカゴメを思い浮かべます。
この圧倒的なブランド力があるため、原材料高で値上げを実施しても「数十円の違いなら、やっぱり知っているカゴメがいい」と消費者に選ばれ続けています。
未来への投資
国内事業の利益が減少している点(前年比-13.7%)を懸念する声もありますが、その主な要因は戦略的な広告費の投下です。(決算資料より)
単にコスト高で苦しんでいるのではなく、植物性ミルクなどの新規事業を伸ばすために、あえて利益を削って攻めの投資を行っているのです。これは将来の成長に向けた健全な先行投資と言えるでしょう。
2026年以降の注目シナリオ:トマトメイン事業からの脱却
株価反転の鍵を握るのは、トマト市況の回復だけではありません。カゴメは今、トマトに次ぐ第2・第3の事業の柱を育てています。
【成長の要因①】全米No.1「アーモンド・ブリーズ」の獲得
2024年末、カゴメは大きな動きを見せました。世界最大のアーモンド生産・加工販売組合であるブルーダイヤモンド グロワーズ社とライセンス契約を結びました。これにより、全米No.1ブランド「アーモンド・ブリーズ」の製造・販売権を獲得したのです。

画像引用元:2025年12月期決算説明資料|カゴメ株式会社
豆乳やオーツミルクなど、健康志向で急拡大する植物性ミルク市場において、世界で勝っている強力なブランドを手に入れたことは、トマト頼みの収益構造を変える大きな一手となります。
【成長の要因②】農業をテック化するCropScope
カゴメは、食品メーカーからアグリテック企業へと進化しようとしています。
その筆頭が、AIと衛星画像を活用してトマトの生育状況や収穫量を予測する営農支援システム「CropScope(クロップスコープ)」です。
このシステムは自社農園だけでなく、海外の契約農家や他社への導入も進んでいます。世界的な食糧不足や水不足が叫ばれるなか、農業×ITのノウハウが商品販売以上の利益を生む可能性を秘めています。
まとめ
現在の株価下落を見て、パニック売りをする必要はありません。
・減益は前期の「会計上のボーナス」が剥落した反動が大きい
・国内シェアは圧倒的No.1であり、値上げも浸透している
・株主優待の人気は根強く下値での買い支えも期待できる
カゴメは、短期で売買して大きな利益を狙う銘柄というよりは、自社商品という目に見える優待を楽しみながら、長期でじっくり資産形成をするための銘柄です。
株価が調整し、過熱感が冷めた2026年1は、新NISAなどで長く持ちたい投資家にとっては、仕込みのチャンスといえるかもしれません。



