中東情勢の悪化による原油価格の急騰や混乱の長期化による影響への懸念から、3月に入り日本株は急スピードで調整しています。安くなったところで買える可能性がありつつも、まだ下がるかもしれないという不安も台頭するのが相場というもの。どちらが正しい判断となるかは、しばらく時間が過ぎた後にしか分かりません。
ここで参考指標としたいのが日経平均ボラティリティ・インデックス(日経平均VI)という指標です。日経平均のオプション取引を基に算出する指数であり、日本版の恐怖指数とも呼ばれます。急落局面でなぜ日経平均VIを見たいのか、今回解説していきます。
日経平均VIとは?
この指標は日本経済新聞社が2010年11月から算出・公表を開始しました。大阪取引所に上場している日経平均オプションの価格を利用しており、投資家が抱く1カ月先の日経平均株価の予測変動率(ボラティリティ)を表すものです。

※各種データを基に弊社作成
日経平均VIはパーセント単位で表示されます。計算には日経225オプションの全ての権利行使価格の価格が用いられ、市場全体で期待される将来のボラティリティを表します。事細かに説明すると難しい内容になります。カジュアル解説なので大事なポイントだけまとめていきましょう。
<ポイント1>
日経平均VIは日経平均株価が急落する時に急上昇するという特徴があり、日経平均株価と通常は弱く逆相関する傾向にあります。仕組みとしては、株価が急落すると投資家はプットオプション(下落ヘッジ)を買い急ぐ→その需要急増がオプションのプレミアム(価格)を押し上げ、それを基に算出するVIの数値が跳ね上がるということになります。日経平均とは逆相関の関係ですね。
<ポイント2>
平時は20~30程度で推移することが多く、数値がこのあたりで安定しているときは市場に安心感があるときです。数字が上がるほど警戒感が高まります。40以上の頻度は少なく、50以上になるとこれまでの事例では株式市場がパニックになっている状態でした。
<ポイント3>
日経平均VIが急騰した後は20~30程度に回帰する特徴があります。要は市場が落ち着きを取り戻し、下落が緩やかになる、または一服したという状態です。

※各種データを基に弊社作成 月足ベース
日経平均は場中の安値 日経平均VIは場中の高値
VIのピークは買い?
日経平均VIがピークを付けると、その後はVIが急降下し、日経平均は反発する傾向にあります。VIが落ち着いてきた=パニックの収束ととらえられ、底打ちとみる投資家が増えるためと言えますね。
2020年以降、何度か日経平均VIが急騰するケースがありました。その後の推移をみてみると、次のような結果になります。

※各種データを基に弊社作成
2020年以降のデータのみですが、日経平均VIが高値を付けた後、1カ月後の状況を見るとVIは低下。日経平均も上昇していることが分かります。リーマンショックのようにしばらく株価が下げ続けるケースもありましたが、これは世界的に景気が冷え込んだ影響が大きいです。
今回の急落では、この文章を書いている3月4日時点で日経平均VIは日中64.21まで上昇しました。これがもしピークとなるならば、底打ちから短期的には反発が期待できる局面かもしれません。
反転後の上昇が長続きするかは、下落の発端となった中東問題の行方や世界景気への影響次第。神のみぞ知るところですが、底打ちの可能性を探る指標としてうまく活用していきたいところです。



