「重資産、低陳腐化」企業、ホットな投資テーマに
中国の株式市場で「HALOトレード」がホットなテーマとして注目を集めています。HALOとは「Heavy Assets、Low Obsolescence(重資産、低陳腐化)」の頭字語で、米資産運用会社リソルツ・ウェルス・マネジメントのジョシュ・ブラウン最高経営責任者(CEO)が先月に提唱しました。資産規模が大きく、参入障壁が極めて高い業界の企業を指します。言葉を換えれば、人工知能(AI)の普及によって事業が「破壊されない会社」のことです。
3月4日の『香港経済日報』に掲載された解説記事「軽資産Out重資産In 新たな投資ロジックとなったHALOトレード」のなかで、HALO銘柄の特長は「低い代替・淘汰リスク」であり、電力網や石油・ガスのパイプライン、鉄道、港湾、鉱山、高度に複雑な産業設備を抱えるセクターが該当するとされています。
「26年の最重要テーマはHALO」
HALOへの関心は、まず米国の株式市場で広がりました。背景には、今年に入ってAIブームの過熱に投資家が不安を覚え始めたという事情があります。ブラウンCEOは2月9日に自身のウェブサイトで公開したコラムのなかで、HALOとは「AIの被害者候補になりそうな株から資金を引き揚げた人が代わりに買う銘柄」だと述べています。代表的なHALO銘柄として、米石油メジャーのエクソンモービルを挙げました。
「金融危機後に支配的だった株式市場の内輪のロジックは、ひっくり返されつつある。我々は過去15年間、アセットライトなビジネスモデル、つまり高い利益率、安定したキャッシュフロー、着実な売り上げを追い求めてきた。しかし、そのキャッシュフローこそが、AI大手に狙われている」――ブラウン氏はこう説明し、「2026年の最も重要な投資テーマはHALOだ」と断定しました。
2月末には、ブラウン氏の断定をいっそう補強する材料が飛び込んできました。米国とイスラエルによるイランへの攻撃開始です。中国メディアの『21世紀経済報道』は3月2日、エネルギー供給や輸送の混乱への警戒感が強まるなか、簡単には構築できない実物資産を保有する企業が再評価され、HALOトレードに資金が集まるとの見方を示しました。
資金のローテーション、軽資産のテック企業から重厚長大型産業へ
HALOのロジックについては、結局のところセクターローテーションの変奏に過ぎないとの見方もあります。例えば『香港経済日報』は前述の解説記事のなかで、「HALOトレードの本質は、経済学の最も単純かつ古典的な枠組みである需要と供給に立脚し、資金のローテーションを促すものだ。市場資金は、評価が高くAIに代替されやすい軽資産のテック株から、複製困難な実物の生産能力を持ち、AI関連投資の拡大の恩恵を受ける重資産企業へと向かいつつある」と述べました。
注目銘柄はエネルギー大手、国有企業テーマが再浮上か
もう一つ、HALOトレードは結果として、中国の株式市場ではおなじみのテーマである「国有企業」が対象となりやすく、香港や中国本土の証券会社にとって薦めやすいという事情もあると思います。例えば『香港経済日報』は、香港に上場するHALOトレードの代表的銘柄は石油、海運、石炭、油田サービス、電力などの業界大手だとしました。具体例として挙がったのは石油輸送会社の中遠海運能源運輸(01138/600026)、石炭最大手の中国神華能源(01088/601088)、発電最大手の華能国際電力(00902/600011)などで、いずれも中国の国有資産監督管理委員会が管轄する「中央企業」と呼ばれる国有企業の傘下です。
国有企業銘柄を巡っては、この連載の第17回「中特估」と第42回「国9条」でそれぞれ別のテーマで取り上げました。ともに、テーマ株として中央企業の傘下上場企業をご紹介しました。
HALOは英単語でいえば、「後光」や「暈」という意味です。心理学でいう「ハロー効果」という現象でも知られているでしょう。この現象は、ある対象を評価する際、目立つ特徴が全体的な評価に影響を与えてしまう認知のゆがみを指します。「色の白いは七難隠す」と言い習わされている通り、とても良い点があるので弱点は見えなくなってしまうことがあるわけです。HALOトレードについても、投資家は目がくらまないよう留意すべきかもしれません。



