25年の経常収支の黒字、2年連続で過去最高値
2025年の経常収支は31兆円を超える黒字となり、2年連続で過去最大を更新しました。昨年の経常収支が過去最大の黒字を記録した一番の要因は貿易赤字の縮小となります。昨年は半導体関連や魚介類などの輸出が増えた一方で、エネルギー価格が下落し、輸入が減少しました。昨年の貿易収支は8487億円の赤字で、赤字幅は24年より77%縮小しました。また、業績が好調な海外の小会社から得られる配当金などが増加し、第一次所得収支も5年連続で過去最大の黒字となりました。
経常収支
貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計。
金融収支に計上される取引以外の、居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引の収支状況を示します。
貿易収支
財貨(物)の輸出入の収支を示します。
国内居住者と外国人(非居住者)との間のモノ(財貨)の取引(輸出入)を計上します。
サービス収支
サービス取引の収支を示します。
第一次所得収支
投資収益と雇用者報酬から構成されます。
第二次所得収支
居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支状況を示します。
経常収支の黒字が過去最大も、円安が続く
企業が日本から米国への製品輸出を増やすと、米国からの受取代金が増加するため、経常収支の黒字幅は拡大します。企業は受け取ったドルを円に交換しなければならず、ドルを売って円を買う取引を行うため、一般的に経常収支の黒字拡大はドル安・円高の要因となります。
また、貿易収支が黒字の国は、外貨を自国通貨に交換する需要が高い(外貨売り・自国通貨買いが継続的に発生する)ため、一般にその通貨は高くなります。 一方、貿易収支が赤字の国は、自国通貨を外貨に交換する需要が高いため、その通貨は安くなります。
経常収支が黒字の日本はなぜ円安が続いているのか、なぜ円高要因にはならないのでしょうか?2025年の経常収支の黒字の内訳を見ると、貿易収支の赤字(▲0.8兆円)やサービス収支の赤字(▲3.4兆円)、第二次所得収支の赤字(▲5.5兆円)の中で、第一次所得収支の黒字(41.6兆円)が唯一の黒字となりました。第一次所得収支は投資収益と雇用者報酬から構成されるが、後者はほとんど無視できるほど小さいです。つまり、日本の「経常収支の黒字」は第一次所得収支黒字を構成する「投資収益の黒字」に依存しています。
よって、日本の経常収支の黒字は、日本は財を売って外貨を稼ぐという「貿易」ではなく、過去の投資によって外貨を稼ぐというのが最近の傾向であります。経常収支黒字の柱になっている投資収益の多くが日本に還流されず、経常収支の黒字はドル売り・円買いの大きな要因となっていません。



