マグニフィセント・セブンという言葉をご存知でしょうか。半導体・ハイテク株において注目されるアメリカの企業7社を、アメリカ映画になぞらえて並べた言葉です。もともとはGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)がありましたが、ここにMicrosoftとTesla、NVIDIAを追加した枠組みです。最近はここにブロードコムを加え、バットマン(BATMAAN)も登場しています。そして2026年に入り、ついに枠組みは10社に拡大しました。「FAB10」です。
FAB10とは
FAB10は、マグニフィセント・セブンの7社にSpaceX、OpenAI、アンソロピックの3社を加えた総称です。2026年6月現在、OpenAIとアンソロピックは上場前ですので、厳密には売買できる10社をそろえたものではありません。また、そもそものGAFAはインターネットを活用したC向けサービスという共通点があったものの、10社のラインナップを見てみると、「有望な銘柄をとりあえず一括りにした」という節操のなさすら感じます。そして、ブロードコムはどこへ行ったのでしょうか。
目的は明確です。タイムリーな会社を加えることで、ハイテク株全体が右肩上がりである印象をつけたいという思惑があると考えられます。ハイテク株は好調!よりも、「現在の株式相場を牽引するのはマグニフィセント・セブン!」の方がインパクトがあります。生成AIが社会インフラに成長するなかで、マグ7の株価には引き続き高い期待があります。同時に「極端なあたらしいモノ好き」の風潮のなかで、7社では足りなくなっているのも事実です。何かマグ7に加えることのできる、新鮮味のある銘柄はないか。そのような背景からBATMAAN、そして今回のFAB10が登場してきたと考えられます。
最近のハイテク株は右肩上がりでナスダックの成長を支えているものの、2~3日連続して日足が下がるなど、天井を感じさせる局面も増えてきました。このようにインパクト重視で10社に増えることによって、懸念されるのが下落企業による「連帯」マイナスイメージです。

FAB10からどこが減速するか
仮にFAB10が足並みをそろえて成長し続けるのであれば、構成銘柄が50になろうが、100になろうがそれほどの問題にはならないでしょう。日経平均は225、S&Pにいたっては500の銘柄があります。それでも相場の趨勢を分析するときに「日経平均は上がった(下がった)」「S&Pは伸びている」のように主語として語られるほどです。日経平均は下がっているけれど、自社の株式は上がっているので構成銘柄から外してくれないか、という声は聞こえません(どこに言っていいのかわからないだけかもしれませんが)。
ただ2026年5月以降のマグ7を見ていると、「〇〇は上がったけれど××は下がった」という日足をよく見かけるようになりました。このような状況が続くと、今後この銘柄はFAB10から外すべきという議論にも発展する可能性があります。向かい風知らず伸び続けるハイテク株というイメージと、成績不良銘柄は外そう、という流れは明らかに温度感が異なります。ハイテク株市場や相場の関係者は半導体に昇り調子でいてほしいもの。案外2026年の後半くらいから、銘柄外し議論が具体化するかもしれません。

ハイテク株の株価は何でできているか
エヌビディア(NVIDIA)社の決算は個人投資家のあいだでも毎回話題になりますが、決算発表日の同社チャートの動きには大きな特徴があります。市場の期待に応える決算にはチャートが反応するものの、株式市場が閉まると「時間外取引」で株価が下落します。ハイテク株全般にいえることですが、売上にも利益にも満足しているけれど、「思ったより世界を変えないかもしれない(変えるのに想定以上の時間がかかるかもしれない)」という期待値がとても大きいというものです。
2026年のハイテク株の伸びに感じるのは、現在の高値推移が何かの理由で売りを促進し、一時的に株価が落ちるのではないかという懸念です。それが1社だけではなく、複数社が同時に起こるとすれば、ハイテク株の限界!というセンセーショナルな相場速報が報じられることでしょう。そのときにFAB10のように、構成銘柄が多い「ハイテク株セット販売」が前面にあれば、ネガティブな相場分析の標的になる可能性が高くなります。
アメリカとイランの戦争が紆余曲折のなか停戦に向かっている一方、幹部一新となったFRBは利上げ論が強くなるなど、これまでのアメリカ株伸長が続かない可能性もあるのではという予測も増している状況です。個人投資家はハイテク株を過信することなく、今後どのような動きをするのかを随時分析し、ポートフォリオの中心に据えていくことが大切な考え方といえるでしょう。



