執筆FP俯瞰解説!2026年投資のポイント

「投資が必要だ何だと言われますが、結局『みんながいうもの』に預けておけば、資産は増えるのでは」。本メディアに限らずさまざまな仕事をしていて、何度も耳にした言葉です。


私たち専門家は感度の高い方への情報提供役として存在していて、本来話しかけるべき「大多数」には必要とされていないのでは。ファイナンシャルプランナーとして仕事をしていて、時にこう実感することがあります。


投資をしたいと相談受けても、実際は「ふるさと納税」を年末駆け込みでする方法だったり(無理に解釈すれば、それも投資で無くはないのですが)。ただ、このぬるま湯感は、2025年までのものとなりそうです。


「米国除くETF」の支持拡大

2025年12月16日付のForbesは「世界に吹く追い風に乗れ」のタイトルで、米国を除く世界株ETFの特集をしました。この記事によると、2025年最初の11カ月でMSCIオール・カントリー・ワールド(除く米国)指数は約25%上昇した一方、米国株式の上昇率は約13%にとどまっています。2020年前後から続いてきた米国株が終了した!とまでは言い切れないものの、来たる2026年は「パラダイム・シフト」が発生する可能性があります。


米国株が横ばいトレンドになると起こること

普段、積極的に投資の最新状況を研究している人たち向けではなく、いわゆるNISA中心の方々向けにアドバイスをする前提で執筆していきましょう。仮にYoutuber的なインパクトのある物言いで「2026年は米国株が終了します!」と言っても、チャートを見ている限り90℃に近い下落でどんと落ちることはありません。アメリカをはじめとした世界は全力をかけて、リーマンショックの再発を防ぎにいくでしょう。


怖いのは、「大衆心理」です。日本においては投資習慣が確立してからあまり年数が経過していないことも手伝い、失望売りが懸念されます。また実際の売却急増とならなくても、「所有していればいつからは戻るとどこかで聞いた!」と根拠の無いプラス思考が広がる可能性もあります。Youtube、射幸心を煽る雑誌・メディアの思うままに扇動されてしまう状況です。


それがある程度進んだら、「高市政権(トランプ政権)は高値になった株式相場を冷やすため、NISA族に損をさせる気だ!」という論調になることを私は憂いています。何となく、これに近い状況が2026年には到来する可能性があると考えています。


扇動を無視するためには、敵を知ることが何よりの対策です。米国株以外はどうなるのでしょうか。


「2025年までの脇役」に注目

ひとつの答えは、2025年までの脇役に注目することです。米国株は、やはり半導体・ハイテク株以外でしょう。


2025年年末現在の米株を牽引しているのは、間違いなく半導体・ハイテク株です。GAFAという言葉がマグニフィセント・セブンに代わっても、構成企業は変わらず、ほかの国の株式相場を凌駕するような時価総額を叩き出しています(なお、マグ7にブロードコムを加えて、BATMMAAN※バッドマンという言い方もあります。そんなに浸透していないのでは)。


牽引する銘柄があればその一方で、脇役となっている株式もあります。2025年はナスダックと比べNYダウこそ静かなイメージですが。2026年は少し存在感を取り戻すのではないでしょうか。PERやEPSといった指標のもとで、いくつかの銘柄が見直される1年になりそうです。


金はどうなるか

2025年も前年から引き続き伸長した、貴金属の「金」はどうなるのでしょうか。下記チャートのように、1年をかけて多く伸び続けました。


 

引用:買取のなんぼや


「戦争と金利リスク」で伸びる金は、天井が来たと言われながらも上昇が続きます。この構図は2026年も変わらないでしょう。ただ前例の無い伸び過ぎで天井がわからなくなっていますが、過熱感は確かに存在しています。それでも上記チャートでインゴット1gを見ると、2025年年始に15,000円台後半だった価格が2025年年末には24,500円台に到達しています。


金が横ばいトレンドを迎えるとすれば、プラチナや銀といった他の貴金属が注目先となることでしょう。また、貴金属と同じオルタナティブ資産として、筆者が注目しているのは暗号資産です。暗号資産は先日の本メディアの記事「投資版 税制改正2026のポイント」でも言及した通り、金商法の対象下になることを前提に「分離課税」へと変わります。この課税変更が投資商品としての暗号資産に影響を与えるものではありませんが、「暗号資産が何となく持つ危険なイメージ」はだいぶ沈静化されるのではないでしょうか。


立ち位置としては、FXなどハイリスクのオルタナティブの1つに加わる印象です。暗号資産ンの落ち着きが、更に投資家のポートフォリオの選択肢を広げる形になることを期待します。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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