【暗号資産レポート】2026年10月まとめ-BTCやETHは下落、現物ETFからも流出

市場動向

2026年10月の暗号資産市場は、主要銘柄を中心に調整局面を迎えました。BTCは対ドルで月間7.6%安、ETHは16.1%安とそれぞれ下落。9月は上昇を見せたものの、10月はETHを中心に売り圧力が強まりました。


同期間、暗号資産全体の時価総額は約2.971兆ドルから約2.700兆ドルへと縮小(月間約9.1%減)。市場全般に渡って下落基調が広がりました。


現物ETF市場も振るわず、BTC・ETHともに月間ベースで純流出に転じています。流出額はBTCが約5.15億ドル、ETHは約16.1億ドルに達し、特にETHでは多くの取引日で資金流出が継続しました。


オンチェーン指標も軟調です。ステーブルコインの供給総額は月間で約2.2%減となったほか、DeFiの預入資産規模を示すTVL(Total Value Locked)も約10.9%減少。価格・資金フロー・オンチェーンの各面で弱い動きが揃いました。


BTC・ETHの価格推移

BTCは月初の約83500ドルから月末には約77500ドルへと反落し、月間下落率は約7.6%となりました。現物ETFからの資金流出も重なり、9月に見られた堅調さは後退しています。

※BTCドル日足チャート、出所:TradingView


ETHも月初の約2700ドルから月末の約2250ドルまで下落(月間16.1%安)。BTCを上回る下落率となりました。現物ETFでもBTC以上の資金流出が続いており、上値の重さが目立っています。


※ETHドル日足チャート、出所:TradingView


ETFフロー

10月の現物ETF市場は、BTC・ETHともに月間純流出に終わりました。BTCでは月中に大口流入が入る局面もあったものの流出分を相殺するには至らず、ETHでは月を通じて流出優勢の展開が続きました。


BTC現物ETFの月間純流出額は約5.15億ドル。19日(約5.27億ドル)や21日(約5.28億ドル)にはまとまった流入を記録したものの、7日(約4.87億ドル)、22日(約6.35億ドル)、そして最終取引日の30日(約6.43億ドル)の大幅流出が響き、トータルではマイナスとなりました。

※BTC現物ETFの日次資金フロー、出所:SoSoValue


ETH現物ETFは、月間純流出が約16.1億ドルに拡大しました。全22取引日のうち19日で純流出となり、流入超となったのは13日・21日・23日の3日のみ。特に6日(約2.02億ドル)、7日(約1.61億ドル)、30日(約1.56億ドル)などで大きな流出が確認されています。

※ETH現物ETFの日次資金フロー、出所:SoSoValue


9月は双方とも純流入でしたが、10月は揃って流出超過へ転換。一時的な買いが入ったBTCに対し、ETHは一貫して売りが優勢となり、流出規模でも大きな差が開きました。


オンチェーンデータ

価格下落に伴い、ステーブルコイン供給総額とDeFiのTVLも減少しました。ステーブルコインの減幅は比較的軽微にとどまった一方、TVLは約1割減とやや大きな縮小を見せています。


ステーブルコインの供給総額は、月初の約3075億ドルから月末には約3007.2億ドルへと推移し、月間で約2.2%減少しました。7日には一時約3096億ドルまで増える場面もありましたが、その後はジリ安の展開に。ただし、主要銘柄の価格下落率に比べれば減少幅は限定的です。


※ステーブルコイン供給総額

※出所:DefiLlama


DeFiセクターのTVLは、月初の約924億ドルから月末には約822.9億ドルへと減少(月間10.9%減)。市場全体の時価総額下落率(約9.1%減)をやや上回りました。なお、TVLは預け入れ資産のドル換算価値に左右されるため、この減少分すべてが直接的な資金流出を意味するわけではありません。

※TVLの出所:DefiLlama


暗号資産関連ニュース

10月は大手取引所での不正流出事件が発生した一方、資産保管やステーブルコインに関する規制・監督面の検討が前進。日本でも大手金融グループによる実用化に向けた連携の動きが見られました。


暗号資産取引所バイナンスでは10月30日、ホットウォレットへの攻撃により暗号資産が不正流出しました。同社は31日、被害額を約63億ドルと説明し、利用者保護基金「SAFU」と自己資金で全額補填する方針を発表。報じられた直後はBTCやETHなどの価格が下落しました。


米証券取引委員会(SEC)は10月1日、登録投資顧問業者や投資ファンドを対象とする暗号資産の保管規則案を公表しました。一定条件のもとで自己保管を認めるほか、州法に基づく信託会社も保管機関として利用可能にする内容です。実態に合わせた見直しで、現在はパブリックコメント(意見募集)の段階です。


金融安定理事会(FSB)は10月12日、複数国で利用されるグローバル・ステーブルコインのリスクに関する報告書を公表しました。国境を越えたリスク伝播の経路やデータ把握の限界を整理し、一国単位の規制だけでは対応が難しい現状を指摘しています。


日本では、SBIホールディングスと三井住友フィナンシャルグループが10月30日、ステーブルコイン等を活用した新たな金融サービスの共同検討に向け、資本業務提携を発表しました。円建てステーブルコイン「JPYSC」などの具体用途を検討し、実証実験を進めます。あわせてSMBCグループがSBI Startale Marketingへ5%出資することでも合意しました。

アナリスト

チョウ シンウ

広州生まれ。香港浸会大学で学士課程を修了後、コペンハーゲン大学にて学び、修士号を取得。香港の金融データ分野における実務経験を経て、現在はDZHフィナンシャルリサーチにてブロックチェーン・暗号資産分野に関する分析を担当している。

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