今回解説していく通貨はハンガリーフォリント円(HUF/JPY)とチェコ・コルナ円(CZK/JPY)です。両通貨とも上昇トレンドを維持していますが、足もとでは調整局面に入っており、今後は調整の深さを見極める必要があるでしょう。
ファンダメンタルズを確認すると、ハンガリー中銀は金融緩和方針、チェコ中銀は引き締め方向。日銀の追加利上げ観測も含めて、ハンガリーフォリントの金利優位面は低下していくことになりそうです。
今後の相場の焦点:ハンガリー中銀、追加緩和は政府の財政措置次第との声も
まずはハンガリーおよびチェコの現在の金融政策状況を確認していきます。
ハンガリー中銀は2023年10月から現在の金融緩和局面へと移行。2024年10月以降は金利据え置きを続けてきましたが、今年2月に利下げを再開しました。現在の政策金利は5.50%です。
●ハンガリー中銀が金利の据え置きを決めた10月直近会合での声明文では
・今年の物価上昇率は1.8%、2027年は3.1%となる見込み
・金融政策期間の終了までに中央銀行の目標である2.5%まで低下するだろう
・高騰するエネルギー価格、上昇傾向にある金利環境、世界経済・金融市場の見通しを取り巻く不確実性を考慮すると、金融政策には慎重なアプローチが求められる
・委員会はインフレ見通しや世界情勢、ハンガリーのリスクプレミアムを常に評価し、それに基づいて慎重かつデータに基づいた方法で政策金利水準を決定する
などの見解を示しました。
また、市場では「中銀が金融緩和サイクルを再開できるかどうかは、来年度の予算案で示された財政措置の信頼性と、それがソブリンリスク認識に与える影響次第」といった意見も聞かれています。持続的な財政赤字削減による財政規律の強化が、政策当局者にさらなる金融緩和策を講じるための柔軟性を与えることになりそうです。
一方、チェコ中銀は2023年12月から金融緩和を開始。2025年5月に政策金利を3.50%まで引き下げましたが、今年6月から金融引き締めへと移行しました。現在の政策金利は3.75%です。
●チェコ中銀が金利の据え置きを決めた9月直近会合での声明文では
・インフレ率は2026年後半から2027年初頭にかけて一時的に上昇する見込み
・商品市場の動向に起因するインフレの上昇リスクは高まっている
・今後開催される理事会においては、新たに入手可能なデータとそのインフレ見通しへの影響を評価した上で決定を下す
・長期的にインフレ率を2%の目標値付近に維持するため、金融政策を継続する決意を改めて表明
・現状ではそのために比較的引き締め的な金融政策が必要
・次回会合で金利を据え置くか引き上げるかを決定する
などの見解が示されました。
今週(11月5日)にチェコ中銀は金融政策決定理事会を開催しますが、市場では6月以来の追加利上げを実施すると予想されています。注目は声明文などでその後の追加利上げ方針が示唆されるかどうかになるでしょう。
ハンガリーフォリント円の週足チャート分析:現状は上昇トレンド内の調整局面
ではハンガリーフォリント円(HUF/JPY)について、テクニカル面でも現在の状況を確認していきましょう。下図はフォリント円の週足チャートになります。

現状は2022年3月安値を視点とする上昇トレンド(チャート上の青色実線)が継続中。今年5月に入って、2009年10月につけた重要な上値目標(0.521円、チャート上の黄色実線)を上抜ける場面も見られましたが、足もとは0.47円台まで調整売りに押されています。
チャート下部に追加した「DMI」で確認すると、8月以降は約1年半ぶりに-DI>+DI(下落トレンド)を示唆。トレンドの強さを示すADXが失速していることから、現状ではまだ「上昇トレンド内の調整局面」という位置づけですが、今後さらに調整が進むか見極める必要があるでしょう。下値のポイントは3月につけた直近安値の0.457円になります。
チェコ・コルナ円の週足チャート分析:今後は調整色がさらに強まる可能性も
下図のチャートはチェコ・コルナ円(CZK/JPY)の週足チャートになります。

コルナ円は2020年5月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の青色実線)にあり、現在は2022年3月安値を始点とするより急激な上昇トレンド(チャート上の青色点線)に移行。ただ、足もとでは伸び悩みの気配もうかがえます。
チャート下部に追加した「DMI」で確認しても-DI>+DI(下落トレンド)を示唆。さらにトレンドの強さを示すADXも上昇基調にあり、調整色がさらに強まる可能性についても考慮しておきたいところです。
今後の取引材料・変動要因をチェック:日銀、チェコ中銀は利上げ方向
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベント等も確認しておきます。注目はハンガリーとチェコの金融政策。日銀については期間内には予定されていません(次回会合は12月17-18日)。
金融政策面ではチェコと日銀が利上げ方向、ハンガリーが利下げ方向にあり、金利差の縮小傾向が今後フォリント円の重しとなることも考えられます。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
11月4日 チェコ 10月消費者物価指数(CPI)
11月5日 チェコ チェコ中銀、政策金利公表
11月10日 ハンガリー 10月CPI
11月17日 ハンガリー ハンガリー中銀、金融政策公表
11月20日 日本 10月全国CPI
12月4日 チェコ 11月CPI



