投信残高は半年で約56兆円増加 資金はどこへ向かった?

一般社団法人 資産運用業協会は、毎月、国内籍の投資信託の残高や資金の流出入などのデータを集計し、公表しています。先日公表された2026年9月末時点の「統計データ」や「投資信託概況」から、投信の現状をまとめました。


投信残高は約361兆円、9月は運用減少額の半分超の資金が流入


2026年9月末時点における国内籍の公募証券投信の純資産総額は、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)などの公社債投信やETF(上場投資信託)を含め、361兆1,505億円でした。調査開始以来の最高額となった前月末から3兆1,350億円減少しましたが、上半期では55.7兆円拡大し、高水準を維持しています。


なお、「国内籍の」とは、日本国内で設定されているということで、投資対象は国内に限りません。「公募」とは、一般の投資家に向けて販売されている投信を指します。以下、本コラムでは国内籍の公募投信について述べていきます。


公社債投信を除いた株式投信は、2026年4~9月に56.2兆円増え、2026年9月末の純資産総額は345.3兆円でした。そのうちインデックスファンドは226.5兆円で、株式投信の65.6%を占めています。ETFを除いた株式投信は、33.9兆円増加し209.1兆円となりました。


投信の純資産総額が増減する要因は、主に2つあります。1つは投資している証券などの値動きや為替相場の変動による運用面での時価の増減です。もう1つは、投資家による購入や解約・償還に伴う資金の出入りで、「資金フロー」と呼ばれます。


9月の株式投信(ETFを含む)は、運用で5.2兆円のマイナスと収益分配金の支払いが0.3兆円となった一方で、2.8兆円の資金が純流入し、純資産を2.7兆円減少させました。つまり、運用による資産の減少のうちの半分程度の金額が、株式投信に差し引きで入ってきたということです。


9月単月では残高が減少したものの上半期全体で純資産総額が大幅に増えたのは、運用による増加が大きかったといえます。運用によって48.2兆円増え、12.1兆円の資金が純流入となり、収益分配金を4.1兆円支払って、前述したとおり、上半期で純資産総額が56.2兆円増加しました。


国内に投資をする投信のシェアが徐々に拡大


株式投信(ETFを含む)について、2026年9月末時点の純資産総額を投資対象地域で分けると、【グラフ1】のようになっています。


 


投資対象が国内の投信の残高は168.1兆円で、上半期で28.0兆円増加しました。株式投信全体に対するシェアは、2025年9月末が47.1%、2026年3月末が48.4%、9月末が48.6%と、徐々に高まっています。


一方、海外を投資対象とする投信も半年で13.4兆円増加し90.3兆円となったものの、国内を投資対象とする投信の拡大に押され、残高のシェアは縮小。国内と海外のミックス(内外)は半年で14.7兆円増加して86.85兆円となり、シェアは半年間で24.9%から25.2%へと拡大しました。



海外株式投信とバランスファンドに資金が集まる


次は、資金フローを見ていきましょう。資金フローとは、投信の設定額から解約金額や償還金額を差し引いて求めた、投資信託への資金の出入りのことです。プラスの月は、購入額が解約・償還の金額を上回る「純流入」で、マイナスは「純流出」を示します。


2026年9月の資金フローは、株式投信全体で2.8兆円の純流入となりました。ETFを除くベースでは2.0兆円の純流入で、2023年6月から40ヵ月連続の純流入となっています。


【グラフ2】で、株式投信における主な投資対象別の資金フローを見てみましょう。



月ごとに見るとやや細かいですが、グラフ全体を眺めると、棒グラフの色で大まかな傾向がつかめます。過去10年間の前半は、国内株式投信への純流入が多い中で、時折多額の純流出も目立ちます。また、内外株式への純流入額も比較的大きめです。


2020年頃からは、引き続き内外株式投信が資金を集め、次第に海外株式投信の純流入額が増え始めます。海外株式は2019年12月から82カ月連続の純流入となっており、特に2023年以降は純流入額の規模も目立ちます。


一方で、近年の国内株式投信は、純流入と純流出を繰り返しています。純資産総額が大きなカテゴリであることから、純流出入額の規模も大きくなりがちです。


内外株式と内外資産複合は、いずれも2024年1月から33ヵ月連続の純流入となりました。2024年1月といえばNISAが改正されて新NISAになったタイミング。内外株式は、全世界株式(オール・カントリー)が属するカテゴリです。内外資産複合には、国内外の株式や債券、不動産など、複数の資産に分散投資するバランス型投信が含まれます。


投信市場の純資産総額は、運用成果と資金の出入りの両方によって変動します。残高の増減だけでなく、どのような投信に資金が集まっているのかにも注目すると、投資家の資金の動きがより見えてくるのではないでしょうか。


【参考サイト】

●一般社団法人 資産運用業協会「統計データ」

ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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