9月はダウ平均、S&P500、ナスダック総合がそろって大幅続落
9月の米国市場では、ダウ平均が8.8%安、S&P500が9.3%安、ナスダック総合が10.5%安とそろって大幅に2カ月続落となりました。
上旬は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長をはじめ、FRB高官から金融引き締めに積極的な発言が相次いだことで軟調にスタート後、金利上昇やドル高が一服したことで、8月末水準を上回る場面もありました。
しかし、13日に発表された米8月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る強い結果となり、インフレのピークアウト期待や金融引き締め緩和期待が後退したことで主要3指数がそろって急落。フェデックスが世界景気の悪化を理由に通期の業績見通しを取り下げたことも相場の重しとなりました。
下旬は注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、3会合連続での0.75%の利上げが決定され、FOMCメンバーの金利先行き見通しが大幅に上方修正されたことで、高金利政策の長期化による景気後退(リセッション)懸念が強まりました。
30日に発表された米8月コア個人消費支出(PCE)価格指数が、予想を上回る強い伸びとなったことも、インフレ懸念を強めました。
在庫の増加により業績が悪化したナイキ株や、新型iPhoneの増産計画中止が伝えられたアップル株の大幅下落も重しとなり主要3指数は下落幅を拡大しました。
ダウ平均とS&P500は6月中旬の安値を下回り年初来安値を更新。ナスダック総合も終値で2020年7月以来の安値で9月の取引を終了しました。
FOMCでは3会合連続で0.75%の利上げを決定
9月は世界の主要国の中央銀行がそろって政策金利を引き上げたことで、金利高による世界的な景気後退(リセッション)懸念が強まりました。
米連邦準備理事会(FRB)は、3会合連続で、通常の利上げ幅の3倍にあたる0.75%の利上げを決め、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は年初の0.00-0.25%から3.00-3.25%に上昇しました。
米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの2022年末のFF金利予想は中央値で4.4%となり、2023年には4.6%までの上昇を予想しています。
米国以外でも欧州中央銀行(ECB)は、政策金利を0.50%から1.25%に引き上げ、英中銀も1.75%から2.25%に引き上げました。
日本と同様に長期にわたって政策金利をマイナスとしてきたスイス中銀は政策金利の中央値を-0.25%から0.50%へとプラスに引き上げました。
このほか、カナダ、豪州でもそれぞれ政策金利が0.75%、0.50%引き上げられました。
セクター別ではS&P500の全11セクターが下落
9月は不動産の13.6%安を筆頭にS&P500の全11セクターが下落しました。
景気後退(リセッション)懸念が強まる中、米10年債利回りが8月末の3.13%台から3.80%台に上昇したことで、景気敏感セクターから、高配当利回りセクター、ハイテク・グロース・セクターまで幅広く下落しました。
一方、景気の影響を受けにくいヘルスケアは、アルツハイマー型認知症治療薬の良好な治験結果が好感されたバイオジェンが36%超急騰したことも支えとなり、1桁台前半の小幅安にとどまりました。
年初来では、エネルギーが30.7%高と唯一上昇した一方、コミュニケーション、IT、不動産、一般消費財が30%超の下落となりました。
ダウ平均採用銘柄は2銘柄が上昇し、28銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は9月月間で2銘柄が上昇し、28銘柄が下落しました。
ヘルスケアのジョンソン・エンド・ジョンソンが1.3%高、メルクが0.9%高となった一方、737Max墜落事故の不適切情報開示で2億ドルの課徴金を科されたボーイングや、在庫の急増や大幅減益決算が嫌気されたナイキが20%超下落したほか、インテル、ウォルトディズニー、アップル、ゴールドマン・サックス、キャタピラー、マイクロソフト、ビザなども10%超の下落となりました。
年初来ではシェブロンが22.4%高、メルクが12.4%高となったほか、ユナイテッドヘルス、アムジェンが小幅高となった一方、ナイキ、インテルが50%超下落し、セールスフォース、ボーイング、ウォルグリーン、ウォルトディズニー、JPモルガン・チェース、ホーム・デポ、マイクロソフトなども30-40%安となりました。