第3四半期決算発表がスタート 大手銀行の決算はおおむね良好
先週の米国市場では、ダウ平均が1.2%高と続伸した一方、S&P500が1.6%安、ナスダック総合が3.1%安とともに反落しました。
13日に発表された米9月消費者物価指数(CPI)が予想を上回る強い結果となったことで大幅安となったものの、空売りポジションの利益確定などをきっかけに大幅に反発しました。
しかし、週末14日はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がインフレ指標として注目する10月ミシガン大期待インフレ率速報値の伸びが加速したことでFRBによる積極的な引き締め継続の警戒感が強まり主要3指数がそろって反落。
ダウ平均は週間でプラス圏を維持したものの、S&P500とナスダック総合は前週末水準を割り込んで終了しました。
こうしたなか、発表がスタートした米企業の第3四半期(7-9月)決算はおおむね良好な結果となりました。
先週は大手金融機関やデルタ航空、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスなどS&P500採用の16銘柄が発表を終え、このうち75%の12銘柄で調整後一株当たり利益(EPS)が市場予想を上回りました。
大手金融機関はJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ、モルガン・スタンレーが発表。貸出金利が上昇し純金利収入が大幅に増加したことで、JPモルガン・チェースが4.9%高、ウェルズ・ファーゴが3.3%高、シティグループも2.5%高とそろって上昇しましたが、モルガン・スタンレーは、投資銀行部門が不振で、予想以上の減収減益決算が嫌気され4.6%安となりました。
金融株以外では、デルタ航空も5.8%高と大幅に上昇。第3四半期の調整後一株当たり利益が市場予想を下回ったものの、売上高が過去最高を記録したことや、第4四半期も黒字が続くとの見通しが好感されました。
JPモルガン・チェースの3Q決算は純金利収入が34%増加
資産規模で米銀最大手のJPモルガン・チェースが14日寄り前に発表した2022年第3四半期(7-9月)決算は、純収入が前年同期比10%増の334億9100万ドルとなり市場予想の320億9100万ドルを上回りました。
貸倒引当金を積み増したことで純利益が同11%減の99億8400万ドルとなりましたが、貸出金利が上昇したことで、純金利収入が34%増の176億ドルに増加し、調整後の一株当たり利益は3.36ドルと市場予想の2.88ドルを上回りました。
株価は14日の取引で一時、5.3%高まで上昇し、1.7%高の111.19ドルで終了。週間では4.9%高と大幅に2週続伸し、年初来では29.9%安となりました。
週明け17日の取引でも、4.2%高と大幅に続伸し、年初来では26.8安となりました。
米銀行大手のウェルズ・ファーゴの2022年第3四半期決算も純収入と調整後の一株当たり利益が市場予想を上回りました。14日に発表された7-9月期決算は、貸出金利が上昇したことで、純金利収入が前年同期比35.8%増の120億9800万ドルと大幅に増加。純収入は同3.6%増の195億500万ドルとなり市場予想の187億8100万ドルを上回りました。貸倒引当金などを7億8400万ドル計上したことで純利益が31.1%減の35億2800万ドルとなりましたが、調整後の一株当たり利益は1.30ドルと市場予想の1.09ドルを大幅に上回りました。
株価は14日の取引で前日比6.0%高ドルまで上昇し、1.9%高の43.17ドルで終了。週間では3.3%高と大幅に2週続伸し、年初来では10.0%安となりました。
週明け17日の取引でも、1.82%高と続伸し、年初来では8.4%安となりました。
モルガン・スタンレーは投資銀行部門が大幅減収
米投資銀行のモルガン・スタンレーが14日に発表した2022年第3四半期(7-9月)決算は、純収入が前年同期比12%減の129億8600万ドルとなり市場予想の132億9500万ドルを下回りました。
純利益が30%減の24億9400万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は1.47ドルと市場予想の1.49ドルを下回りました。
投資銀行部門の純収入が55%減の12億8000万ドルと大幅に減少したほか、資産運用部門の純収入が20%減の11億7000万ドルとなり、市場予想の12億9000万ドルを下回りました。
株価は14日の取引で5.7%安まで下落し、5.1%安の75.30ドルで終了。週間では4.6%安と大幅に5週続落し、年初来では23.3%安となりました。
週明け17日の取引では2.4%高と反発し、年初来では21.4%安となりました。