ウォルト・ディズニーが安値更新 コンテンツ投資が重しとなりメディア&エンターテインメント部門が大幅減益

先週は主要3指数がそろって大幅反発 10月CPIの伸び鈍化を好感


先週の米国市場ではダウ平均が4.1%高、S&P500が5.9%高、ナスダック総合が8.1%高とそろって大幅反発しました。


注目された米10月消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びとなったことで、インフレのピークアウト期待が高まりました。

米金利が低下し、米ドルが主要通貨に対して下落したことで、年初から大きく下落したグロース株を中心に買い戻しの動きが強まり、S&P500とナスダック総合は6月24日終了週以来の大幅高となりました。


終盤を迎えた米企業の第3四半期決算は、先週はS&P500の31銘柄が発表を終え、このうち58%の18銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。

過去最高の売上高や強い見通しが好感されたソーラーエッジ・テクノロジーズが週間で31.9%高と急騰したほか、ウェルタワー、デュポン、D.R.ホートン、ウィン・リゾーツなども2桁高と急伸しました。

一方、通期見通しを引き下げたテイクツー・インタラクティブ・ソフトウエアや、予想を下回る決算や弱い見通しが嫌気されたウォルト・ディズニーが4-5%下落しました。


ウォルト・ディズニーの7-9月期決算は、売上高と利益が市場予想を下回ったほか、動画ストリーミング「ディズニー+」の鈍化見通しも嫌気されました。株価は週間で4.6%安となり、52週安値を更新。コロナパンデミックで急落した2020年3月の安値に迫りました。年初来では38.7%安となりました。

 


ウォルト・ディズニーの7-9月期決算は売上高、利益がともに市場予想を下回る


ウォルト・ディズニーが8日引け後に発表した2022年度第4四半期(7-9月)決算は、売上高が前年同期比8.7%増の201億5000万ドルとなりましたが市場予想の212億3900万ドルを下回りました。

純利益が同18%減の6億4900万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は0.30ドルと市場予想の0.55ドルを大きく下回りました。


事業別売上高は、ディズニー・メディア&エンターテインメント・ディストリビューションが前年同期比2.7%減の127億2500万ドル、ディズニー・パーク・エクスペリエンス&プロダクツが同36.2%増の74億2500万ドルとなりましたが、ともに市場予想を下回りました。



メディア&エンターテインメント部門が大幅減益 コンテンツ投資が重し


ビデオ・ストリーミング「ディズニー+」などのディズニー・メディア&エンターテインメント・ディストリビューション事業は売上高が減少したほか、営業収入は前年同期の9億4700万ドルから8300万ドルへと91%の大幅減益となりました。

「ディズニー+」の有料会員数合計は1億6420万人となり、前年同期比で39%増加しましたが、コンテンツへの投資が収益の伸びを上回っています。

北米の「ディズニー+」の加入者1人あたりの平均収益は、前年同期比で10%減少し、月額6.10ドルになりました。世界全体では、加入者あたりの「ディズニー+」の平均収益は5%減少し、月額3.91ドルになりました。


今後についてはクリスティン・マッカーシー最高財務責任者(CFO)が、「ディズニー+」は今後伸びの鈍化が見込まれるとし、2023年度通期の売上高の伸びは10%以下になるとの見通しを示しました。



国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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